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せーめーさん、大学へ行く 〜神界から派遣されたら、大学が“現代陰陽寮”すぎました〜  作者: 水無月あすか
第二章

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Ep.23 強力な助っ人(神)

等価交換、急転直下


晴明が式神を召喚すると、そこには体長約3mの白い虎がいた。

「「……!!」」

流石の一ノ瀬姉弟も驚きと恐怖で口をパクパクさせ、顔は青ざめている。

晴明は見慣れているのか、白い虎の首元を優しく撫でる。

「…あなたの毛並みはいつも綺麗ですね。」

もふもふする晴明も心なしか楽しんでおり、白い虎も満足そうに喉を鳴らす。


すると、10センチほどの大きさの老婆が晴明の頭にチョンと飛び乗り、

晴明の額をペチペチと叩く。

「…いつもの戯れはいいんじゃが、怯えておる若者たちのことも考えてやらんと」

「あぁ、太陰たいおん様、そうでした。

普通に考えたら、虎がいたら驚きますね。」

そう言いながら晴明は一ノ瀬姉弟に顔を向ける。

「今回お越しになられたのは、太陰たいおん様と、白虎びゃっこ様です。

白虎様に撫でさせてもらいます?」

一ノ瀬姉弟は首をブンブンと横に振る。

「…流石に、今回は遠慮しておきます」

「湊、あんた、いつかは触らせてもらうつもり?」

湊のコメントにさやは小声で突っ込んだ。


「…晴明」

バリトンボイスのような低い声が部屋に響く。

「…ち⚪︎〜るは俺でも食べれるか?」

「さぁ…

まず、私がその食べ物を存じておりませんので、聞いてみましょう。

あの、⚪︎ゅ〜るは白虎様が召し上がってもいいものですか?」

さやが慌てながらスマホを取り出し、しばらく調べる。

「えっと…白虎様?ですかね。あの、猫ちゃんのご飯なのですが…」

さやがそう告げると、白虎は目をカッと見開く。

あまりの威圧感に思わずさやは尻餅をついてしまう。

「…ふむ、今日は小さな体になる気分ではないから、猫の飯では腹が満たされぬな」

白虎はそう呟くと、ピカッと光が白虎を包み込む。

光がなくなるとそこには20代前半くらいの体躯のいい青年が立っていた。

白を基調とした、スケートボードがよく似合うような格好である。

「あ、ちゃんと今時の格好だ」

湊がそう呟くと、白虎がジロジロと見ながら湊のそばに近づく。

「…お前が湊か」

「は、はい」

白虎はニヤリと笑う。

太常たいじょうが言っていたぞ。この前、飯を食った時、

どれも美味かったけど、中でも湊がくれた唐揚げがとりわけ美味だったと。

俺にも食わせろ」

「は、はいぃ!」

白虎の威圧におされたか、湊の声は裏返る。


そんな白虎のシルバーヘアーの上に、太陰たいおんがぴょんと飛び乗る。

「これ、白虎。この若いのを怖がらせるでないぞ。

あと、働かざるもの食うべからずぞ?」

「あぁ、わかっているよ、太陰たいおんのバァさん」

そう言いながら太陰たいおんをシッシッと頭の上から払い除けるが、

太陰たいおんはひょいとかわしてさやの頭の上に乗る。

「さてと」

白虎は晴明に尋ねる。

「お前の望みはなんだ?」

ニヤニヤしながら白虎は晴明の顔を覗き込む。

「そうですね…ここにある私の学び道具や衣類を私の下宿に運んでいただけますか?」

大きな段ボール箱4箱を白虎は確認すると、

「なぁ、晴明。一つ質問なんだが。

俺の背中にその荷物を乗せて一っ飛びしたらやはりダメか?」

ダメもとで聞いてみる白虎に対し、晴明は爽やかに返事する。


「いけませんよ」


「ダーッ!…やっぱりダメか〜」

ガクンとうなだれる白虎だが、晴明はくすくす笑いながら話を続ける。

「ですがね」

「学生の醍醐味には、買い食いというのがあるそうです。

運搬を終わらせてくださったら、これで唐揚げを買って食べてもいいですよ」

そう言うと、晴明は一万円札を白虎に渡す。

「お、晴明!わかっているではないか!そうと決まれば、早速やるぞ!」

そう言って大きな段ボールを2つ、軽々と両肩に担ぐ。

晴明は湊に申し訳なさそうな表情を浮かべる。

「申し訳ありませんが、私の荷物の運送のお手伝いを白虎様と一緒にしていただけないでしょうか?

あと、唐揚げ代を白虎様に渡していますので、湊さんも召し上がってください」

「わかりました!せーめーさんの下宿、うちのじーちゃんの家ですもんね。

荷物はせーめーさんの部屋の前に置いておきますね。」

そう言いながら湊はちらっと白虎が持っているお札を確認し、ギョッとする。

「せーめーさん、1万円だと、ジュージューで唐揚げ250個くらい変えちゃいますよ?」

湊が慌てて晴明に伝えると、晴明はふふっと笑う。

「流石にそこまで買わないかと思います。もしかしたらやりかねないですが」

「ただ、久々に下界に降りてきた方なので、楽しんでもらったらいいかなと思いまして。

おそらくですが、白虎様、こちらに来るのが楽しみだったのだと思われます。

そうでなければ、わざわざ現代の服装で人の姿になるということはされないでしょう。

…ああ見えて、白虎様、勉強家なのですよ?」

二人がそう打ち合わせをしていると、白虎がぴょんぴょん飛び跳ねる。

「あぁ、もう!話が長すぎるぞ!!早よう!!!」

「…湊さん、すみませんが、あとはお願いしますね」

「いいですよ、せーめーさん!」

湊はサムズアップして、白虎と共に部室を出て行った。


「さてと…?」

白虎を見送ったあと、晴明はさやの方をみると、太陰たいおんに髪をといてもらっていた。

太陰たいおんは150センチくらいの着物を着たお婆さんになっている。

晴明の目線に気づいた太陰たいおんは、晴明を手招きする。

「坊、やっと終わったかえ?

暇だったから、さやの髪をといてやっておった。

きれいになったじゃろう?

昔みたいに、お前の髪もすいてやろうか?」

「お気持ちはありがたいですが、また別の機会にお願いいたします。

これから、”術式展開”をさや殿とするのですが、太陰たいおん様も一緒にいかがですか?」

「ほう?この子も陰陽師かえ?」

“術式展開”に引っ張られて勘違いした太陰たいおんの様子に、晴明とさやは慌てて説明をしたのはいうまでもない。

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