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せーめーさん、大学へ行く 〜神界から派遣されたら、大学が“現代陰陽寮”すぎました〜  作者: 水無月あすか
第二章

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Ep.21 神々との交渉術

十神十色、交渉完了


陰陽師モードの晴明は、ジャージ姿の貴人と共に京都の街を離れる。

「せーめーくん、今から何するの〜?」

体をくねくねさせながら貴人が晴明に尋ねる。

「今後について、神界で十二天将と打ち合わせします。

あの…だから私の姿で変な行動しないでください…」

晴明の心を乱す言動が多い貴人に呆れながら、晴明は神界に向かった。


薄紫の空に、あたり一面白いふわふわな雲が敷き詰められている空間に降り立った二人。

「…ふう、久しぶりの神界です。

さて、お呼びしますかね」

晴明は懐から色とりどりの和紙を取り出し、筆でつらつらと招待状を書く。


その招待状を見ながら、貴人が呟く。

「招待状という名の強制召喚状」

「…否定はしません。今回は全員に聞いてもらわなければならないので」

「まぁ、そうだよな〜。あんなの見てしまったら、全員に言っておかねぇとな〜」

貴人はそういうと、ジャージ姿から平安貴族の装束に身を包んだ姿に変身した。


「流石に、おふざけで済む話ではないのでね」

先ほどまでの軽薄な雰囲気は消え失せていた。

晴明はフッと笑うと、招待状に息を吹きかけ、それぞれの神のもとへ届けた。



程なくして、貴人を含めて12柱全員集まった。

晴明は一呼吸おき、語りかける。

「お忙しい中お集まりくださりありがとうございます。

今後のことで情報共有とご相談がありましてーー」

晴明が話だすと、思い思いに神々が口を開く。


騰蛇とうだ「戦いを起こすのか?」

朱雀すざく「現世で飛び回ってもいいのかえ?」

勾陳こうちん「京は俺が守る」


話してもいい、という前例ができちゃったので、他の神々も言い出す。


青龍せいりゅう「再び天が京にいらっしゃるようにするには…」

天后てんこう「鴨川の水が減った気がするのだけど…」

太陰たいおん「坊は相変わらずかわいいねぇ」


黙っている神もいる、と思いきや。

玄武げんぶ「…」

白虎びゃっこ「おい、玄武のおっさん。寝るな!」

天空てんくう「黄砂の量、もう少し増やそうかしら」

太常たいじょう「今度はステーキが食べたいですな」

六合りくごう「晴明様のお話、聞きましょうよ〜」


うるさいわけではない。ただ、神々なので晴明も下手に嗜めるわけにはいかない。

晴明が対応に困っていると、それを察して貴人が声を張り上げる。

「皆の者!」

「そろそろ静まりたまえ!」

ピタッと神々がおしゃべりをやめる。


貴人は続ける。

「今回集まっていただいたのには他でもない!

現在、京の街では新たな『もののけ』の仕業と思われる事案が発生している!

我らの力を使って安倍晴明が再び現世について調査することになった!」


貴人はニヤリと晴明をみて話を続ける。

「ただ、タダで俺たちの能力を使うとは言っていない!

なんと!千年前に俺たちをこき使った時と違って、

きっちりと協力したらそれ相応の対価を払ってくれるぞ!」


晴明はギョッとする。

『貴人、私はそんなこと一言も言っていません!!!』

慌てて思念を送るが、貴人は受信拒否して話し続ける。


「さぁ!この話に乗るか、乗らないか!

ど っ ち な ん だ い ! ? 」

一瞬の静寂ののち、神々は全員雄叫びを上げる。


玄武「やるに決まっているじゃないか!」

白虎「うわっ、おっさん、寝ていたんじゃないのかよ?」

太陰「今度はいつ召喚するんだい?」

太常「飯じゃ!飯を用意するのじゃ!」


神々が自分の希望を好き勝手に言い始める。

歓喜の声が収まらない中、貴人がニヤニヤと笑う。

「今回の事案、総力戦になるぜ?

ってなったら、こんぐらいせーめーくんがやってくれないと、ね?」

「…分かっていますよ。(私から言おうと思っていたのに)」

一瞬ムッとした晴明は、一つの妙案を思いついた。


晴明は冷静さを取り戻して、神々に語りかける。

「みなさま、喜んでくださりありがとうございます。」

「今後のことでございますが、簡単に申し上げますと、

正体不明の『もののけ』が京の街を出入りしているところでありますので、

その調査をこれからいたします」

「調査内容やその結果、今後の予定などは、貴人を通じて発信いたしますので、

今回の観測結果なども踏まえて、知りたいことは貴人にまずは聞いてください」


この発言を受けて、今度は貴人が目を見開く。

『ちょ、ちょっと待て!俺、間に挟まれる役人の立場じゃねーか!?一番面倒なやつ!』

貴人が晴明の脳内に直接抗議するが、神々がわーっと貴人の周りに集まる。


六合「晴明様がおっしゃっていた、よく分からない現象ってなんなの?教えなさい!」

騰蛇「俺と戦え!」

青龍「話を聞け。どさくさに紛れて貴人に勝負を仕掛けるな」

白虎「ところで太陰が言っていた『⚪︎ゅ〜る』というものは美味いのか?」

太常「それ、猫のおやつですが、いいのですか?」


収集が本当につかない状態になりつつあるが、

晴明は冷酷な笑みを浮かべながら話を続ける。


「今回の調査、おそらく今までにない面白いことになるかと思いますので、

それを貴人様にも直で体験してもらうことが多いですね。

なので、その役割は貴人様が適任かと思われます」


「なっ…(俺への対価は「面白いことの提供」だから、こいつ、それを逆手にとりやがった)」


言葉を失った貴人を尻目に、晴明はさらに続ける。

「では、私はそろそろ現世に戻りますが…

知りたいことがありましたら貴人様にお聞きくださいね。

貴人様は…できれば私に相談してからみなさまにお話をお伝えくださいね。」

そう言って、手を控えめに振りながらスッと現世を後にした。


それを見届けた貴人は、他の神々にもみくちゃにされながら

『あのせーめーくんが、あそこまで頭が回るとは…

これは、面白くなってきたぜ…!』

と、これから見通しの立っていない面白いことにワクワクしていた。

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