Ep.16 せーめーさんの式神、ご飯を食べちゃう
八珍玉食、無量大数
太常が晴明に話しかける。
「実は、現代の食事は神界から見ていましたので、名前などは存じています。
ただ、見た目や香り、味などはどうしてもそばでないとわからなくて…」
晴明はフフッと笑う。
「研究会の皆さんは親切な方たちなので、色々聞いてみても大丈夫ですよ。
では、見学させてもらいましょうか」
お座敷なので、晴明がメンバーの傍まで行って見て回ることにした。
湊:唐揚げ定食(唐揚げ10個、サラダ、味噌汁、丼ご飯)
太常が鼻をヒクヒクさせて羨ましそうに唐揚げをみる。
「これが唐揚げ…!
味付けは醤油が多いですが、塩仕立てのものもありますな。
衣の付け方なども作り手によって個性が出るので、
カラッと揚がっていたりしっとりと揚がっていたりと
様々だとは聞いていましたが…」
湊は太常の豆知識を聞いて笑ってしまう。
「ははは!太さん、やっばいっすね!
もしよかったら1つどうぞ!」
未使用の取り皿に唐揚げをのせ、割り箸を添えて晴明に渡す。
「よろしいのですか?」
晴明が受け取りながら申し訳なさそうに言うと、湊は笑う。
「大丈夫ですよ!
多分、他のメンバーも何かしら分けるつもりだと思うんで、遠慮なく食べてください!
…あ、大きすぎますかね?」
湊が心配そうに聞くが、一瞬目を離して再び取り皿を見ると、
唐揚げがすでに無くなっている。
「え!?俺、確かに置いたのに…」
湊が驚いていると、
晴明の肩に乗っている太常がニッコニッコと満面の笑みを浮かべながら
口をもごもごと動かしている。
晴明が申し訳なさそうに湊に告げる。
「申し訳ないです。すでに太が食べてしまいました。
美味しくて言葉が出ないそうです。」
「質量保存の法則、どうなっているんだ!?」
湊は目を丸くした。
蓮:生姜焼き定食(ご飯が丼に注がれている。ジュージューの”普通”を選んだようだ)
湊とのやりとりを横で見ていた蓮は、
晴明が持っていた取り皿に、自分の生姜焼きとご飯を一口ずつ取り分ける。
「太さん、俺からは豚の生姜焼きですよ」
太常は目をキラキラ輝かせる。
「これが生姜焼き…!豚肉は疲れた体を復活させるのですよね!
では、お言葉に甘えまして…」
湊の場合と同じように、一瞬で無くなった。
「俺、どうやって食べているのか見てやろうと思って
ずっと太さんを見ていたのに、全然わからなかった」
蓮はちょっと悔しそうに肩を落とした。
神谷:牛丼(丼では収まりきらず、おせち料理で使うような大きなお重に盛られている)
湊たちの様子を一部始終みていた神谷は、自分の番になった時、
未使用のレンゲにミニ牛丼を2つ作った。
「…ん」
晴明の口元にレンゲを近づける神谷。
「え、えぇ?私もーーふがっ」
口を開いた晴明の口にレンゲを無理やり突っ込む。
晴明はもごもごと咀嚼する。
風味豊かな甘辛い味付けの牛肉と白ごはんがマッチする。
「…ん、美味しいですね」
晴明が正直に感想を漏らすと、神谷は胸を張る。
「…ここの牛丼、マジで美味いからおすすめだ。」
「あと」
晴明の耳元でこそっと神谷が囁く。
「せーめーさん、遠慮してあんま食ってないだろ」
晴明がギョッとした様子で神谷を見る。
「…まあ、他は誰も気づいていないみたいだけどな。
二人とも、これが牛丼ですよ」
神谷の目線の先には、満足そうに食べている太常の姿だった。
信長:キムから丼(でっかいすり鉢がどんぶりとして使われている。)
「先ほど湊から唐揚げをもらっていたと思うんで、
俺からはキムチをお裾分けです」
そう言いながら信長が取り皿にキムチを置く。
「…キムチは朝鮮半島からやってきていますね。
キムチの原型となったものは晴明様が
現役でいらっしゃった時にはすでにありましたが
現在の唐辛子が入ったものは比較的新しいですね。
この香りは…にんにく?」
「そうですね、にんにくがしっかり入っています。この刺激がクセになりますね。
…あら、もう無くなってる」
静かに驚いている様子の信長ではあるが、晴明は内心、
『すり鉢の量を平らげることのできる信長殿の腹の中はどうなっているのだろう』
とちょっとした疑問で満ち溢れていた。
後書きに
次回、女性陣
一名だけ、完全に居酒屋メニューの人がいます
タイトル候補は
せーめーさんの式神、ご飯を食べちゃう
かな〜
次回、女性陣
一名だけ、完全に居酒屋メニューの人がいます




