Ep.15 せーめーさん、式神召喚しちゃう
暗行密使、珍客来訪
晴明が鶏塩レモン丼に舌鼓を打っていると、
晴明の脳内に老人の声が語りかけてくる。
『晴明様。私も現代の食事をこの目で見させていただきたく存じまする』
晴明はクスッと笑いながら
『太常様、あなたも知りたくなりましたか?』
と問うと、
『はい!晴明様がこのように楽しそうにお食事されているのを
久しぶりに拝見いたしまして、直に見させていただきたいのです。』
声だけだが、ワクワクしているのがよくわかるくらい高揚している。
『…少し待ってくださいね。桐生殿に相談いたします』
晴明が桐生の前を見ると、先ほどより丼の数が増えていた。
どうやら追加で頼んだらしい。
「どうした、せーめーさん?追加のたこ焼きでも頼むか?」
「いえいえ、お気遣いなく」
そう言いながら晴明はそっと桐生に耳打ちする。
『あのですね、私の式神の1体が衣食住を司っておりまして。
私を通じてでなく、直に見てみたいと申しております。
研究会の人にしか見せないようにいたしますので
出現させてもよろしいでしょうか?』
桐生はびっくりしたように目を見開き、
すぐにスマホを取り出して文字入力する。
『俺、声がでかいから他の人に聞こえる可能性があるんで、
スマホで書いてもいいですか?』
晴明は頷くと、桐生は左手でOKしながら右手でスマホに入力する。
『周囲に見えないようにできるか?』
スマホに入力されたメッセージを晴明は読み、静かに頷くと、
桐生は安心したように頷き、さらにメッセージを追加する。
『式神様のお名前、そのまま言うと
いぶきあたりが大声で叫ぶ可能性があります。
式神様に話しかけているけれども
そばにせーめーさんもいていただいて、
傍から見たらせーめーさんに話しかけているようにしましょう。
式神様の見た目はどんな感じですか?』
晴明は桐生からのメッセージを読み、自分も筆談をしたくなったのか、
懐から和紙と筆を取り出して書いた。
『太常様は七福神の恵比寿様のお顔に似ております。
いつも笑みを浮かべております。
一寸ほどの大きさで召喚しようかと思います』
桐生は晴明のメッセージを読み、スマホで返事する。
『なるほど。では「太さん」とお呼びするようにしましょう。
では、情報共有しますのでまだ召喚しないでくださいね』
そう書くと、今までの内容は一旦破棄し、
新規のページで以下のように書いた。
【研究会各メンバーに告ぐ(見たら回して!)】
・せーめーさんの式神様が食事を見学されます
・現代の食事にご興味がおありです
・丁寧にご説明するように(3センチほどの大きさで、見た目は恵比寿様)
・せーめーさんがそばにいるので、せーめーさんに話しかけるように
・仮のお名前で太さんと呼ぶように
・特にいぶき!気をつけて!
ささっと三十秒ほどで入力を終えると、
せーめーさんの隣にいた湊に桐生はスマホを渡す。
「湊!メモを見たら回して、全員見たら俺にスマホ返して〜」
「わかりました!」
湊はスマホを受け取ってメモを読んでメンバーに回し始める。
晴明は桐生におもむろに感想を述べる。
「先ほどの板のようなものが、すまほなのですね。
部室に届けられた私宛の荷物の中にスマホもありました。
筆や紙が無くてもものが書けるのですね」
桐生はうんうんと頷く。
「スマホは、文章を書くだけでなく、
人と連絡を取ったり、情報を集めたり、自己表現をしたりするために使う、
便利な現代の道具です。」
「また明日にでも、メンバーから使い方を教えてもらってください」
晴明と桐生が話をしていたら、いぶきが叫ぶ。
「桐生さーん!読めたから召かn…っ!」
いぶきがNGワードを叫ぼうとしたので慌てていおりがいぶきの口を手で押さえる。
桐生は、やれやれ、と首を振りつつ、晴明にOKサインをおくる。
晴明はそれを確認してから脳内で唱える。
『では、参りますか。
太常、召喚…!』
すると、晴明の左肩にちょこんと恵比寿様のような式神が座っていた。
「晴明様、ここは本当に日の本でござりますか?」
ほのぼのとした優しそうな声だが、少々驚きを隠せない太常の様子に、
晴明だけでなく、メンバー全員笑ってしまった。
次回、みんなのメニューを見ていくよ




