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第六話 あらぎ島音楽祭!?

ある日の午後。


あらぎ島で作業をしていたソーリュージャー6人のところへ、バイクのおやっさんの奥さんがやって来た。


「なあなあ、あんたら。今度の日曜日、空いてる?」


レッドが振り返る。


「日曜日? 何かあるの?」


「音楽祭やるねん!」


「……音楽祭?」


6人が顔を見合わせる。


「そう! あらぎ島音楽祭!」


おばちゃんは、いつもの調子で話し始めた。


「せっかくこんなええ場所があるんやから、みんなで音楽やったら楽しいやろ? 展望台からも見えるし、ちょうどええやん!」


「へえ、それは楽しそうですね」


ピンクが頷く。


すると、おばちゃんは満面の笑みで言った。


「せやろ? だから、あんたらが演奏するねん!」


「……え?」


6人の動きが止まった。


「いや、俺たち楽器なんか弾けないぞ」


レッドが言う。


「大丈夫やって! やってみたらなんとかなる!」


おばちゃんは全く動じない。


そして、その場で勝手に担当を決め始めた。


「レッドはドラム!」


「俺!?」


「ブルーはギター!」


「えっ、ギター?」


「グリーンはベース!」


「……ベースか」


「ピンクはキーボード!」


「私、弾いたことないよ?」


「大丈夫、大丈夫!」


さらに、おばちゃんはホワイトを見る。


「ホワイトはタンバリン!」


「タンバリンですか」


ホワイトは妙に嬉しそうだった。


「それならできそうですね」


「ただ叩くだけやないで。踊りながらやってな!」


「踊りながら?」


ホワイトは少し考えた。


「分かりました」


「分かったんかい!」


レッドが思わず突っ込む。


そして最後にイエロー。


「イエローはボーカル!」


「私!?」


「そう! 歌って!」


「歌えるかなあ……」


「大丈夫やって!」


最後に、おばちゃんはケロ助を見る。


「ケロ助は……」


ケロ助のお腹にある黒いスピーカーをじっと見る。


「コーラス!」


「コーラス?」


「そのスピーカーから声出せるんやろ?」


「まあ、出せるけど」


「ほな決まり!」


ケロ助は少し考えた。


「……僕、カエルなんだけど」


「カエルのコーラス、ええやん!」


こうして、本人たちの意思とはほとんど関係なく、


あらぎ島スペシャルバンド


が結成された。


---


音楽祭前日


もちろん、練習は大変だった。


レッドはドラムを叩くたびにテンポが速くなる。


ブルーはギターのコードがうまく押さえられない。


グリーンはベースを真剣に練習しているが、ほとんど口数がない。


ピンクはキーボードの前で、一つずつ音を確認している。


イエローは歌の練習。


そしてホワイトは――


「♪」


タンバリンを叩きながら、なぜか左右に大きく体を揺らしていた。


「ホワイト、その踊り何?」


ブルーが聞く。


「分かりません」


「分からんのかい!」


本人にも意味は分かっていないらしい。


それでも、おばちゃんは大満足。


「ええやん! そのままでいこ!」


ケロ助はスピーカーからコーラスを入れる。


「ラララ~♪」


「ケロ助、意外とうまいやん」


イエローが笑った。


「音声出力には自信があります」


「そこだけ妙に機械っぽいな」


---


そして音楽祭当日


会場は、あらぎ島。


田園風景の中に、小さな特設ステージが作られていた。


観客はあらぎ島展望台。


展望台から見下ろすと、ステージと田んぼ、その向こうに広がる山々が一望できる。


「おーい!」


展望台から声が飛んでくる。


「おーい!」


ステージからも声を返す。


その裏では、柳生先生が音響機材を調整していた。


「へっぽこロボ、そっちのケーブルを頼む」


「はい!」


へっぽこロボは張り切ってケーブルを運ぶ。


ところが――


ガシャッ。


「……ん?」


音響が突然、全部止まった。


「へっぽこロボ!」


「申し訳ありません!」


どうやら、必要なケーブルまで一緒に抜いてしまったらしい。


「先生ー! 音、出えへんでー!」


ステージ袖から、おばちゃんの声が飛んでくる。


「今直している!」


柳生先生は大急ぎで機材を確認する。


「へっぽこロボ、今度はこのケーブルだけだ!」


「はい!」


今度こそ慎重に運ぶ。


「よし!」


音が戻った。


柳生先生は一息つく。


そのとき――


「先生! 始まるで!」


「……分かった」


こうして、いよいよ本番が始まった。


---


「それでは皆さん!」


おばちゃんがステージ袖からマイクを持って叫ぶ。


「あらぎ島音楽祭、スタートやー!」


演奏開始。


レッドのドラム。


ブルーのギター。


グリーンのベース。


ピンクのキーボード。


そしてイエローの歌声。


そこへケロ助のコーラスが重なる。


最初は少しバラバラだった。


しかし、展望台から手拍子が始まると、少しずつ演奏がまとまっていく。


ホワイトはタンバリンを叩きながら、いつもの意味不明な踊りを披露している。


「ホワイト、何してるんやろ……」


柳生先生が音響卓の前でつぶやく。


しかし、展望台からは大きな笑い声と拍手。


「まあ……いいか」


柳生先生も少し笑った。


やがて曲が終わる。


展望台から大きな拍手が響いた。


6人は顔を見合わせる。


「……なんか、楽しかったな」


レッドが言う。


「うん!」


イエローも笑った。


ピンクも頷く。


ケロ助がスピーカーから言った。


「来年もやる?」


すると――


「もちろんやるで!」


おばちゃんが即答した。


「来年はもっと大きくしよ!」


柳生先生が振り返る。


「……来年も?」


「そらそうやん!」


おばちゃんは満面の笑み。


「音楽って楽しいやろ?」


6人とケロ助は顔を見合わせる。


誰も返事をしなかった。


ただ一人。


ホワイトだけが、タンバリンを持ったまま嬉しそうに踊っていた。


あらぎ島音楽祭。


どうやら来年も開催されるらしい。


――たぶん、本人たちの意思とは関係なく。

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