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第15話 恐竜たちのサイバー大作戦!〜世界を救ったのは誰だ〜

これは、いつもの世界とはちょっと違う、ある日のお話。

その日、世界中の携帯電話が突然使えなくなった。


電話はつながらない。メッセージも送れない。インターネットも完全に沈黙。


原因は不明。


しかし、ただ一匹、この異常事態を予測していた恐竜がいた。


ブルーである。


薄暗い部屋。壁一面のモニター。流れる無数のプログラムコード。


ブルーはキーボードを静かに叩いていた。


挿絵(By みてみん)


「……やっぱりな」


レッドが駆け込んでくる。


「ブルー! 世界中の電話が使えやんらしいぞ!」


「知ってる」


「知ってるって、お前、何してんねん!?」


「調べてる」


「何を!?」


「犯人」


ブルーは画面から目を離さない。


「通信ネットワークに不正なプログラムが侵入している。こいつを止めないと、世界中の通信が復旧しない」


グリーンが顔をしかめた。


「そんなことができる奴がいるのか……」


「いるんだろうね」


ブルーは眼鏡もないのに、なぜか眼鏡を押し上げるような仕草をした。


その姿が、やけに決まっていた。


レッドは思った。


(こいつ、いつの間にこんな凄い奴になったんや……)



「僕も手伝おうか?」


ホワイトがひょこっと顔を出した。


「必要ない」


「でも、僕、パソコン得意かもしれないよ?」


「触ったことあるのか?」


「ない!」


「帰れ」


「ひどい!」


その横では、イエローが大きなカレーパンを頬張っていた。


「ねえ、世界中の電話が止まったら、デリバリーも来ないの?」


「今は食べ物の心配をしている場合じゃないだろ!」


グリーンのツッコミが飛ぶ。


ピンクはケロ助を肩に乗せ、心配そうにモニターを見つめた。


ケロ助の腹部スピーカーが光る。


「こりゃ大ごとやで! 世界中がえらいこっちゃ!」


ブルーは最後のキーを叩いた。


「侵入経路を特定した。あとは、このプログラムを切り離せば……」


その瞬間。


「これ、押したらどうなるん?」


ホワイトの指が、赤いボタンに伸びた。


「押すなあああああっ!!」


レッドの叫びもむなしく。


ポチッ。


画面が真っ赤に染まった。


警告音が鳴り響く。


『SYSTEM ERROR』


『CRITICAL FAILURE』


『COUNTDOWN START』


モニターに数字が表示された。


10。


9。


8。


「ホワイトォォォォッ!!」


レッドの怒号が部屋を揺らした。


「えっ!? だって、押すなって言われたら押したくなるやん!?」


「なるかぁぁぁっ!!」



「落ち着け!」


ブルーが叫んだ。


「これは本来のカウントダウンじゃない。システムを破壊するための自動プログラムだ!」


「つまり!?」


グリーンが尋ねる。


「三十秒以内に止めないと、通信ネットワークが完全にダウンする!」


「最初から言えぇぇぇっ!」


レッドが叫ぶ。


ブルーの指が猛烈な勢いで動き始めた。


画面には理解不能なコードが流れていく。


10秒。


9秒。


8秒。


「ブルー! 何かできることはないのか!?」


「静かにしてくれ!」


「はいっ!」


レッドが口を閉じた。


イエローもカレーパンを持ったまま固まった。


ピンクも息をのむ。


ケロ助まで、スピーカーの音量をゼロにした。


そして。


3秒。


2秒。


1秒。


ブルーが最後のキーを叩いた。


「……止まった」


画面が青く切り替わった。


『CONNECTION RESTORED』


『SYSTEM SECURE』


世界中の通信が、復旧したのだ。


「やったあああああっ!!」


レッドがブルーに飛びついた。


グリーンが拳を握りしめる。


イエローはカレーパンを掲げた。


「これでデリバリーも復活ね!」


「そこかよ!」


ピンクもほっと胸をなで下ろした。


ケロ助が高らかに宣言する。


「世界を救ったんは、ブルーやぁぁぁっ!!」


ブルーは静かに椅子から立ち上がった。


「……当然のことをしただけだ」


かっこいい。


あまりにも、かっこよすぎる。


レッドは思わずつぶやいた。


「お前、ほんまに何者やねん……」


ブルーは振り返り、ニヤリと笑った。


「ただの読書好きさ」


その瞬間。


世界中のモニターが、一斉に真っ暗になった。


そして、画面の中央に浮かび上がった文字。


『WELCOME BACK, WHITE』


「……え?」


ブルーの顔色が変わった。


「まさか……まだ終わっていないのか!?」


ホワイトが、おそるおそる手を挙げた。


「あのぉ……」


「何だ!?」


「僕、さっきの赤いボタンの隣も押しちゃった……」


「何ィィィィィッ!?」


世界が再び、闇に包まれた。


……

………

…………

……………


「うわぁぁぁぁぁっ!!」


ホワイトは飛び起きた。


目の前には、見慣れた天井。


窓の外には、いつものあらぎ島。


隣では、レッドが呆れた顔で覗き込んでいた。


「おい、ホワイト。大丈夫か?」


「れ、レッド……? 世界は!? 携帯電話は!? ブルーは!?」


「何の話や?」


ホワイトは慌てて周囲を見回した。


ブルーは縁側で、分厚い本を読んでいる。


グリーンは農作業の準備中。


イエローは朝ごはんを食べている。


ピンクの肩では、ケロ助がのんびり日向ぼっこをしていた。


いつもの朝。


いつもの仲間たち。


「……夢?」


ホワイトは、ぽつりとつぶやいた。


「僕、世界を救ったんだよ! ブルーが天才ハッカーで、僕が……」


「寝言で世界を滅ぼしかけてたけどな」


レッドが即答した。


「えっ!?」


「赤いボタンを押すなぁぁぁっ! って、寝ながら叫んどったぞ」


「そ、そんな……」


そこへ、ブルーが本から目を上げた。


「ホワイト」


「な、何?」


「パソコンというのは、ボタンを押せば何でも解決する機械じゃない」


「……なんで知ってるの!?」


ブルーは再び本に視線を落とした。


「さあね」


ホワイトは首をかしげた。


そのとき、ケロ助が口を開いた。


「ホワイト、寝る前にスマホの電源ボタン、ずーっと連打しとったで」


「えっ!? 僕、そんなことしてた!?」


「画面ついたり消えたり、えらいことになっとったわ!」


レッドが腹を抱えて笑い出した。


グリーンまで肩を震わせている。


イエローは朝ごはんを食べながら、ひと言。


「ホワイト、パソコン触らんほうが世界のためやね」


「ひどいよぉぉぉっ!!」


あらぎ島に、いつもの笑い声が響いた。


こうして世界は救われた。


……いや。


最初から、世界は何も危機にさらされていなかったのだが。


ホワイトだけは、しばらくの間、赤いボタンを見るたびに飛び上がることになった。

今回はまさかの、天才ハッカーブルー爆誕!!


世界中の通信障害に立ち向かうクールなブルー。

その一方で、事件を次々とややこしくしていくホワイト(笑)


いつものソーリュージャーとはひと味違う、パラレルワールドの番外編です。


……まあ、夢オチやけどな


ブルーの新たな才能が開花したのか、それともホワイトの夢に巻き込まれただけなのか。


真相は、夢を見た本人にもわかりません(笑)

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