第十話 黄金の稲穂、収穫の秋
あらぎ島の田んぼが、一面の黄金色に輝いていた。
夏の暑さを乗り越え、風に揺れていた稲穂も、いよいよ収穫の時を迎えたのだ。
「今年も、きれいに実ったね」
イエローが、黄金色の田んぼを眺めながら嬉しそうに言った。
彼女の力は、黄金の稲穂。
実りの季節を迎えたあらぎ島は、まさにイエローの季節だった。
六人は町の人たちと一緒になって稲刈りを手伝い、無事に今年の収穫を終えた。
刈り取られた稲が運ばれていく。
黄金色だった田んぼは少しずつ姿を変え、秋の風が吹き抜けていった。
「終わったなぁ」
レッドが、刈り終えた田んぼを眺める。
「今年も無事に収穫できてよかったね」
ピンクも頷いた。
みんなが一息ついていると、そこへおやっさんの奥さんがやってきた。
「ほな!」
「……ほな?」
「収穫も終わったし、そろそろ行こか」
六人が顔を見合わせる。
「えっ? どこへ?」
奥さんは、当たり前のように答えた。
「決まってるやろ」
そして、にっこり笑う。
「おいしいご飯を食べにやで!」
「えっ?」
「近井キャンプ場、もう押さえてあるから!」
「いつの間に!?」
「昨日」
「早っ!」
こうして六人は、半ば強制的にお疲れさま会へ連れていかれることになった。
向かったのは、あらぎ島から少し離れた近井キャンプ場。
テントを張り、薪を用意する。
そのあたりは、意外にもホワイトが手慣れていた。
「ホワイト、こういうの得意なんだ?」
ブルーが尋ねる。
「うん。一人キャンプでよくやるから」
「へぇ……」
みんなが感心している横で、柳生先生もへっぽこロボを連れてきていた。
「料理なら、こいつに任せればいい。簡単な調理機能も搭載してあるからね」
先生がロボを指差す。
六人が一斉にロボを見る。
そして――
「今日は大人しくしてて!」
「……了解しました」
ロボは素直にその場に座った。
「さて、ご飯炊こか!」
イエローが飯盒を火にかける。
やがて、飯盒から湯気が立ち上った。
イエローが蓋を開ける。
「ご飯炊けたで!」
ふわっと立ち上る湯気。
炊きたての新米を見て、みんなの顔がほころぶ。
イエローが一口食べる。
「うん!」
そして、満足そうに笑った。
「今年のコメも、おいしいわ!」
稲刈りを終えたあとの、最初の一口。
今年も無事にお米が収穫できたことを、みんなで喜んだ。
その横では、焚き火の中でサツマイモがじっくり焼かれている。
「焼き芋、そろそろかな?」
「もうちょっとやな」
待っている間、ピンクがキーボードを弾き始めた。
音楽祭で覚えた曲だ。
ホワイトはタンバリンを手に取り、なぜか妙な踊りを始める。
「なんでタンバリン持つと踊るんや……」
レッドが呆れながらも笑う。
そんな秋のひととき。
収穫したばかりのお米と、焼き芋、栗、梨、キノコ。
秋の味覚が並んでいく。
そして――
「ほな、そろそろ仕上げるで!」
イエローが鍋を取り出した。
「何作るの?」
「決まってるやろ!」
イエローは得意げに胸を張る。
「秋の味覚を、いっぱい入れたカレーやで!」
キノコ、栗、梨、サツマイモ。
秋の味覚をこれでもかと詰め込んだカレーだった。
「それにキャンプってゆーたら、カレーやろ?」
「まあ……そうやな」
みんなで食べ始める。
「おいしい!」
「これ、意外といけるな」
「梨も入ってるんだ……」
そんな中。
イエローだけは、黙々と食べ続けていた。
一杯食べ終わっても、またよそう。
食べ終わったら、またよそう。
気がつけば、鍋の中身がどんどん減っている。
「……なあ、イエロー」
レッドが恐る恐る声をかけた。
「ん?」
「ちょっと食べすぎちゃう?」
「そう?」
イエローは首を傾げる。
そしてまた、一口。
「……めっちゃ食べてるやん」
ブルーが呟いた。
誰も止めない。
というより、本人に止める気がない。
やがて、鍋の中も、炊きたてだった新米も、見る見るうちに少なくなっていった。
みんながイエローを見つめる。
「食欲の秋って、こういうことだったっけ……」
しみじみ呟いた、その瞬間。
「おかわり!」
六人は一斉に、ずっこけた。
こうして、今年の稲刈りを終えたあらぎ島の秋の夜は、にぎやかに更けていった。
黄金の稲穂が実らせた、今年のお米。
その収穫を喜ぶように、秋の味覚もまた、みんなの食卓を彩っていた。
あとがき
今年も無事に稲刈りを終えた、あらぎ島。
収穫のあとは、やっぱりみんなで楽しく食べるのが一番ですね。
秋はまだまだこれから。
次はどんな「秋」が待っているのでしょうか。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




