決意表明
(いやはや、実物は迫力が違うねぇ。駆逐艦でも約100mあるから大きく感じる。)
1918年
彼は呉の堤防に、海軍少佐の父親につれられて来ていた。もちろん1918年なので海軍艦艇や軍艦が停泊している。
(お父さんは磯風型駆逐艦長らしいな。うーん、一次大戦期のはあまり知ってはいないんだけど。)
「どうだ瑞穂。あれが俺の艦だ凄いだろ。」
「うん、凄いよ。でも巡洋艦とかの方がよかったかな。あと二階級だよね、頑張ってね!」
(そこは素直に喜んでくれた方がお父さんとしては嬉しいんだけどな。まだ子供だしね、しょうがないか。というか巡洋艦とかしってるんだね、え?)
瑞穂は気付いていなかった、忘れていた。自分がまだ二歳ということ。それなのに艦種のことや、階級のことも口にしてしまったこと。
(二歳なのにこんなに海軍に興味があるなんて!将来がたのしみだなぁ。)
しかしこの父親はどうでもよかったみたいだ。命拾いしたね瑞穂。
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「「ただいま」」
瑞穂達の家は呉にある、つまり出かけ気分で軍艦や艦艇をみれるわけだ。
「おかえりなさい。瑞穂、どうだった?楽しかった?」
「うん!凄く楽しかったし嬉しかった。」
(散歩で軍艦・艦艇を見れるなんて楽しいにも程があるよ。)
「そうだったの?よかったねぇ。」
母親は優しく、父親は海軍人。瑞穂にとって素晴らしい環境がここにはできていた。
瑞穂は自分の部屋に入り、自分の体を見つめる。
(外に散歩に出かけ始めてわかったことがある。この体は少なくとも平均以上には動く!つまり海軍には恐らく普通に入れるはずだ。問題は難関といわれる海軍兵学校だが、もともと高校生だ!また一から予習するわけだから他より余裕はできるはず。…でもなめてかかると落ちるかもな。)
(海軍航空隊に行きたいわけだけど、父親が大艦巨砲主義者なら、少し面倒なことになるかもしれんな。よし!直接聞いてみよう!)
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「お父さん、」
「ん、なんだ?」
くつろいでいる父親におそるおそる聞いてみる。
「僕、将来海軍に入ろうと思うんだけど…」
「本当か!…いやぁ、実の子が海軍に入りたいといってくれるなんて。こんなに嬉しいことはないよ。」
本番はここから、瑞穂は勇気を振り絞って聞いてみる。
「それで…航空隊に入りたいんだ!」
「え、……」
その時、空気が変わった。
「どうして、そう思うんだ?」
(来たな!ここの返事で家族関係が大きく変わるぞ。)
「一番の理由は、空を飛びたいんだ。そして僕は裏からの支援の方がやっていて嬉しいんだ。」
(どうだ!決して大艦巨砲主義を否定せずに僕の希望をいう!素晴らしい発言だ。)
「そうか……瑞穂がそう思うのは大いに結構なんだけどな。実はな父さんは航空機も十分戦力になると思ってるんだよ。」
(そっちだったかー!)
「最近終わった世界大戦。航空機は対地戦で十分な戦果をだしたはずなんだ。それは海にも適応できると思わないか?」
(うん、お父さん。僕はあなたの子でよかったと思うよ。)
そして瑞穂は珍しい航空主兵主義者を目の前にし、自分がどういう立場なのか、完全に忘れていた。
「お父さん……僕もそう思います!!!!航空機は小柄で高速、高機動なので船の火器で撃墜するのは難しいと思うんですよ!」
「瑞穂……やはりお前は俺の子だ!そうだよな!艦載火器で航空機を落とすのは難しいはずだ!航空機が進歩したら爆弾を大量に搭載できるはずだ!」
いつかの怖い空気はどっかにいって、今はまるで久しぶりに親友にあって笑い話をしているような、そんな空気になっていた。近所迷惑にならなければ良いけど、
「お父さん、甘いですね。爆弾だけでなく魚雷も積めるようになるのでは?」
「おま…天才か?」
こいつらは親子ではなく、親友同士といった方が良いかもしれない。そんな雰囲気だ。
「でも、いいのですか?」
そんな時、会話を聞いていた母親が瑞穂にそういった。
「母さん、どうしたの?」
母親の顔は心配しているような、悲しいような顔をしていた。
「軍隊に入るってことは、死ぬかもしれないんだよ?大丈夫なの?」
(どんだけ優しいんだこの人は!…いや、親としては普通の反応かな。)
瑞穂は優しく、安心させるように母親の質問に答えた。
「大丈夫だよ母さん、まだ猶予は十分ある。その猶予を使って生きるためのことを考えるから。」
皆さん、この両親がわかってないだけで、二歳そこらの子供がこんなことを言うのは異常です。
読んでいただきありがとうございました。
忘れていましたが両親の名は、母親が千歳で父親が駿です。本文に書いてなくてすみません。




