第九十ニ話 ドラキュラの誤算
シャナを部屋に監禁したドラキュラのラミーは焦っていた。自身のスキル『ナイトメア』は眠らせた相手が目覚めると同時に、支配下に置く事が出来る彼女の取って置きのスキルだ。
しかしどうだ、目覚めた聖女は自分の命令に従うどころか、断固拒否し反発したのだった。
「私のチカラが及ばなかった?まさか、そんな事が?いや、人間如きにそんな事が出来るわけ無いわ…」
「そんな顔をして、どうかしたの?」
「な?何でもないわよ。貴方こそ、私に何か用かしら?」
ラミーの私室を訪れたメデューサは、呼びかけても上の空だったラミーを心配していたが、
「ああ、聖女様の方はどうかと思ってね。順調かい?」
「え、ええ…今は私の部下が調整中よ!心配無いわ!」
「…そっか、それなら良いんだ。邪魔したね」
何とかメデューサには取り繕う事が出来たが、あの聖女を必ず服従させるため、ラミーは策を講じるのであった。
翌日、
「これはどういう事…」
ラミーは一晩も使って聖女を犯す様に命じていた。流石にあの強情な聖女も堕ちただろうと部屋を訪れたのだが、
「結界…こんな強力な結界を張れるのですか?流石聖女ですね…」
周りの改造吸血鬼共は結界に阻まれじりじりと体力を削られている様だ。しかし、中に篭る聖女も疲弊している様で、
「あら?随分と頑張っているのね?どう?もうそろそろ辛くなって来たんじゃなくて?」
「…」
「声も出せないのかしら?いつまで続くか見物ね♪」
「…」
「く…お前達!もっと気合を入れなさい!もたもたしていると豚の餌にしますわよ!」
ふんッ!と鼻を鳴らすとラミーは部屋から出てい行った。
一体何なの?!あの娘、一晩中あんな強力な結界を張り続けたっていうの?まさか私が改造した人間が押し負けているなんて…くッ…もっと強い個体が必要なの?…今いる戦力で使えるのは…ちッ…彼女を頼るのは…
メデューサに頼りたくないラミーは、人数を増やすように指示を飛ばすと、真っ赤に波打つグラスを一気に煽った。
ドラキュラが出て行った部屋では、シャナと男達の攻防が続けられていた。外の音は全く聞こえない。こちらの声も聞こえているのか分からないが、
「やめて下さい!お願いです、正気に戻って!」
「…」
周りを囲む手が結界に阻まれ焼け爛れる。頑丈な結界は何人もの男達をシャナから遠ざけるが、シャナの想いは彼らにも届かない。
痛々しくボロボロになる彼らを見て、シャナは心を痛めた。命令とはいえ、意思に反して自らの欲望に呑まれ、本能のままに動くしか無い彼らに対しても。
「それ以上は貴方たちの体が!」
シャナは立ち上がると、結界に近づき内側から一人の男の手を取った。それは結界に宿った女神の意思を驚かせる行為だった。
女神が強化した結界は外からの悪意あるモノを弾くが、内側からはその限りでは無い。しかし、拒絶されているモノに手を差し伸べるという行為は、自らも同じ苦痛を受けるのだ。
「くぅッ!…早く、やめて、下さぃ…このままじゃ、貴方の、体がッ!…」
「ぐぐ…がぁ、た、スケ、て…」
「え!?…くぅっ!だ、大丈、夫です!今、私が…いま、助けます!!くッ…!?!?」
結界越しに男の手を両手で掴むと、シャナにも電撃の様な痛みが流れる。バチバチバチっと結界が困惑した様子でシャナに警告をするが、
「黙って下さい!フィズさんだったらきっと見捨てません!同じ様に、いえ!もっと簡単にやってくれます!今の私じゃ無理かも知れないけど!私だって!」
シャナの優しい気持ちが、強い決意に変わる。性女として役割を得た彼女は、理由はアレだったが、子供達の悩みを解決しようと奮闘した。同じように目の前の魔物にされた人達も助けてあげたいと切に願った。
そんな彼女に芽生えた使命感が結界に宿る女神の意思に伝わったのだろう。拒絶していたチカラが弱まり、温かみのある波長に変じた。柔らかく包み込む様な結界は、両者を隔てながら、それでいてシャナの思いやる気持ちや愛情を外へと伝播している。
「ぐ…ううっ、暖かい…」
「ご…心が…俺は…」
「が…母さん…」
「皆さん!?意識が?…頑張って!しっかりして下さいっ!」
「ガああぁぁッ!?ダメだっ…体が、言う事をっ…!!」
一瞬、理性を取り戻したかの様に思えたが、彼らの内側に宿る悪意がそれを阻む。植え付けられた悪意は、男達の本能を強く刺激して結界越しに勃起した男根をシャナに向けて突き出した。肉茎の先端から溢れ出す悪意の塊がシャナの目に留まると、
「まさこ…でも、今の私に出来る事は…えいッ!」
シャナは結界で包まれた男根を優しく握った。
「不思議です…結界越しでもはっきりと感触が分かります。大きさは…まあ、普通ですね…はッ!?って今は大きさ何て関係ないです!早く悪いモノを出しちゃいましょう!」
シャナは、器用にそれぞれの手で一本ずつ掴むと、リズムよくそれを扱き始めた。結界がグニュグニュと纏わり付き、男達を刺激する。不思議な事に結界に包み込まれた他の男根も、シャナの動きを真似したように同じ刺激を自動で与えていた。
「ぐッ…」
「うッ…」
シャナと結界の責めに情けない声を上げ出す男達は、体を震わせ結界に向け腰を振り始めた。快楽に忠実な理性を捨てさせられた怪物たちは、欲望のままに結界を犯し始めた。
「皆さん!我慢しないでいっぱい出して下さいね!」
「ぐううッ!」
「ガアアアッ!」
シャナに握られた男根から黒い悪意の塊が勢いよく放出される。結界に阻まれた悪意は、結界の温かさで浄化されてしまった。それを皮切りに、周囲の男達からも悪意が注がれては浄化される。その度に、
「くうッ…きもちいい…」
「体が軽くなる…」
「お、俺は何を…」
「さあ皆さん♡遠慮はいりません♡本能の赴くまま貴方達の思いを出し切って下さい♡」
悪意と理性の狭間で揺れ動く男達の本能が体を動かす。我先に結界に体を押し付け人を犯す様に腰を振る。シャナが手を動かすと結界も再び動き出す。何本もの肉棒から数多の悪意が放出され部屋の中に居た男達は、次第に理性を取り戻していった。
「くッ…俺は何を…」
「ここは何処だ?それにこの体…」
「体が軽くなったがこれはいったい…」
その様子を結界の中から見ていたシャナは、手を動かしながら、
「良かった!皆さん正気に戻ったんですね!」
「おい!あんた何をやってるんだ!?そんな化け物相手に…」
「いや、よく見ろ!あの化け物、俺達を同じだ!」
「何!?」
シャナと結界に搾り取られた男性が一人また一人と正気に戻って行く姿を見た男達は、
「ぐ…うっ…あれ?僕は何を…」
「おい!そこのお前、大丈夫か?」
「え?あ、はい…うげッ?これは!?」
「まさかあの子が俺達を助けてくれているのか?」
「ああ、多分な…誰だか分らんが正気に戻ったのはあの子のお陰だろう」
男達が呆気に取られている内に、部屋に居た男たち全員が正気を取り戻した。結界を解いたシャナは、
「これで全員ですね♪本当に良かったです」
「なあ、あんたが、いや、君が俺達を救ってくれたんだな。礼を言う。ありがとう」
「いえ…今の私には正気に戻すしか…魔物の姿は治せませんでした…ごめんなさい」
「いやいや、そんな事はない。あのまま気持ちが化け物のままだった方が地獄だぜ」
「そうだな。見てくれはこんなだが、人間の頃とは違って力が漲ってるしな!」
「みなさん…あッ、正気が戻った皆さんに是非協力して頂きたいことがあるんです…手伝ってくれますか?」
「おう!勿論だ!」
「何でも協力するぞ!」
「ありがとうございます!」
男達の期待とは裏腹に、シャナは妖艶に舌なめずりをすると、静かに内ももを擦り合わせるのであった。




