第七十六話 罠の被害者
スーが活躍?した後も、僕達はダンジョン攻略を進めた。ギルドの報告書を確認しながら、適切な選択をしつつ、罠を攻略していた。
「次は…と、これは…」
「何ですか?」
「ああ、これはサキュとライオ君にお願いするしか無いな、ほら」
「え?どれどれ…あ♡あ~そうですね♡私とライオ君にピッタリだと思います♡ライオ君頑張ろうね♡」
「ええ?!どう言う事?あ、ちょっと!まず説明を…」
「頼んだぞ~」
ライオ君の腕を引っ張り、グイグイと進んで行ったサキュにエールを送る。サキュと言うよりはライオ君にだな。
「ねえ、次の部屋って…」
「ん、何何…セックスしないと開かない扉がある部屋?普通だね」
「スー、よく読め。注意書きがあるだろ?ほら、ここに」
僕が指さすのはペンで追記された走り書きだ。その内容は、
「あ!えーっと、『精液で盃を満たす事!』?」
「ああ、一定量の精液が必要みたいだな…」
「ん、フィズさんが珍しく役に立たない!」
「うぐ…そういう理由だ。じゃあ僕等はそれまで魔物退治でもしていようか!」
サキュ達入った部屋の扉が閉まると、通路は魔物で埋め尽くされた。向こうで事が終わるまで魔物がうじゃうじゃと出てくる仕様らしい。
「雑魚も群がると厄介ね」
「ああ、タンク兼回復役が居ないからな!被弾はなるべく避けるんだぞ!」
「ん、気をつける!」
ぐぎゃぎゃーーーッ!
襲いかかってくる魔物を処理しながら、サキュとライオ君の頑張りを待つのであった。
・・・
・・
・
「うふふ♡ライオ君♡さっさと始めちゃおうか♡」
「う…お手柔らに…」
全裸になったサキュとライオ君は熱く火照った唇を合わせお互いの体をすり合わせた。褐色の大きな胸が押し付けられ、彼女の柔らかいお腹に硬い物が当たる。口から零れ落ちた唾液が胸を伝い、硬く熱い肉棒がサキュの腹越しに子宮を穿つ。
「ライオ君、やる気満々だぁ」
「早く射精しないとフィズさん達に悪いでしょ?」
「そうだけど、ちょっとくらい楽しんだっていいんじゃないかな?」
「え?」
サキュちゃんの悪魔スマイルにやられた俺は、そのままなし崩しに情事に耽った。
「あ!盃、盃ッ!」
「あ!すごいッ!」
勢いよく発射された精液が盃を満たす。地面に設置された盃は、白く白濁した液体で波打ち、溢れ出た体液が地面を黒く汚している。それがスイッチになったようで、
ゴゴゴゴゴッ…と前後の扉が重い音と共にせり上がると、汗を拭いながらフィズ達が入って来た。
「ふう…やっと開いたか。随分と時間が掛かった様だけど、問題なかったか?」
「お待たせしました♡それがつい楽しんじゃって…♡ライオ君が激しいんだもん♡」
ペロッと下を出して謝るサキュに、当のライオ君は顔を赤くしながら、
「ええ?サキュちゃんの所為でしょ?」
「ん、どっちもどっち!ライオ君。回復お願い」
「う…分かったよ…『ヒール』!」
両手一杯ほどの大きさの盃に並々と注がれた精液を横目に、僕たちは部屋の出口に向かった。あの器を一杯にするのに一体普通の人間ならどれほどの時間が掛かるのだろうか…
「まあ、全員一緒に中に入っちゃえば関係ないか…」
「ん?どういう事?」
「ほら、僕たちは魔物と戦って居ただろ?でも普通の冒険者なら全員で部屋の中に入った方が安全だって話さ。ただ…」
「ただ?」
「その場合は、気まずいだろうけどな…」
「ああ、そうね。私達みたいな関係ならともかく、全員がそうじゃないもんね」
貴重な魔石が採れるダンジョンであるが、この色欲ダンジョンを進めるのは限られたパーティだけだろう。早く通常の状態に戻してあげないとな。
「さあ、あと一部屋攻略すればポータルがある様だぞ。そこまで攻略して一端帰ろうか?」
「そうね。時間的に丁度良さそうね」
そうして、次の部屋を目指し通路を進んだ僕達であったが、
「あ!前に人の気配がありますね…冒険者でしょうか?」
索敵していたサキュから声が上がった。どうやらこの先に冒険者達がいるようだ。サキュと、スーには人型を維持するように言い聞かせると、警戒しつつ歩みを進めた。
「こんにちわ、どうかしましたか?」
「うおッ!?ん、なんだ人か…驚かすなよ…」
「そういう言い方すんなって!ごめんな、気を悪くしないでくれ。やっとここまで来たんだが魔力が心許なくてな。休憩していたんだ」
「そうだったんですね。あのそっちの人は?」
「ああ…」
僕は横になった一人の冒険者を見ながら男性2人に話しかけた。パーティの様だが横になって動かないもう一人は生気が無かった。
「こいつはこの先の部屋でな…魔物の餌食になっちまって…」
「俺達の代わりに…くそッ…」
よく見れば頬がこけ、皮膚は老人の様に皺が寄りミイラのようになっていた。彼らは何とか倒れた彼を連れ戻し、来た道を引き返したのだという。
「そうでしたか…ライオ君?」
「ああ、やってみるよ…『レイズ』!」
ぱあぁ…っと淡い光がミイラのようになった冒険者を包むと、
「…う、ううッ…」
「ああッ!?おい!大丈夫か?!」
「うう…あ、俺、生きてるのか…」
「ああ…助かったんだ!ありがとう、ありがとうッ…」
瀕死の状態から脱した彼と、付き添っていた二人に魔力ポーションを渡すと、
「僕達が先に行って魔物を倒しますよ。休憩が終わって扉が開いたら入って来て下さいね」
「ああ、分かった。悪いが頼んだ」
彼らと分かれ先の部屋に入っていく。広めの部屋の中にはどこかで見たことのある様な姿があった。悪魔の様な羽を揺らめかせ、赤い目でこちらを睨む魔物はニタァと口角を挙げると僕目掛け突進して来た。
赤い目がギラリと怪しく輝き、僕の体から力が抜ける。
「サキュバスね!フィズ、ライオ、気を付けて!」
「は、はいッ!」
「フィズさん!!」
「サキュ、大丈夫だ!『クリーン』!」
キッ?!
お得意の魅力が妨害されて困惑している様だが、それでも構わず僕に掴みかかろうとして来る。
近づいてきたサキュバスは、巨大に膨張した尻尾を口の様にガバッと開き、それで丸呑みにしようと尻尾を振った。
「ん、させない!ウリャッ!」
「ありがとうスー!喰らえっ!『セイント』!」
キィッ!?
スーの拳で怯まされた所に、僕の光魔法が振り注ぐ。肌が焼き爛れたサキュバスは、後ろに飛び退き体勢を立て直そうとするが、
「残念ね、終わりよ!」
…キィぃ…
「ナイス!セシリア!」
デモンバスターで袈裟斬りに胴体を斬りつけられたサキュバスは魔石を残し白い水の様に消えていった。
「やりましたね!流石フィズさんの浄化ですね。レベルの高いサキュバスの魅力も解除しちゃうんですもん!」
「ああ、これでここも通れるな。ほら、さっさと行こう」
サキュバスの部屋を通り過ぎると、お目当てのポータルがある場所に辿り着いた。青白く光る石碑に触れると、僕等は纏めて入り口まで移動したのだった。




