第六十八話 新たな仕事
日頃から仲間達とギルドのクエストや魔物退治をしているフィズ。彼の大事な役目である、勇者セシリアを最強にする為に、日夜彼女と、さらには仲間達と濃厚な毎日を過ごしている。
そんな忙しいフィズの家に、珍しい訪問者が来たのだ。そもそもこの家にフィズ達が住んでいるのを知る人物は少ないのだが、
「来ちゃった♪」
「へぇ?!魔道具屋のお姉さん?!どうして?」
ノックされた扉を開けると、そこには例の魔導具屋の店主であるお姉さんが居たのだった。
「急にゴメンね、実は折り入って依頼したい事があってね…」
「依頼、ですか?ここじゃあ何ですから、中にど)目うぞ」
「ありがとう。お邪魔します」
お姉さんを案内し皆を集めると、お茶を啜りながらお姉さんが口を開いた。
「実は、魔道具を作るのに必要な魔石を納品して欲しいんです」
「魔石ですか?それならギルドに言えば良いんじゃ?」
「う~ん…私が使う魔石ってかなりレアな物でして。普通の魔物から取れる魔石じゃあダメなんです」
お姉さんが言うには、魔王領に近い場所にあるダンジョンでしか取れないそうで、
「分かりました。いつも面白い魔道具を提供してくれるお姉さんの頼みです。僕達に任せて下さい」
「本当てますか?!助かります。お礼はたっぷりしますからね♪宜しくお願いします♪」
魔導具屋のお姉さんはそう言うと帰っていった。そんな彼女を見送っていると、
「またそんな安請け合いして、貴方って人は…」
「いやいや、セシリア、これも先行投資だよ。あの魔導具屋にはいつもお世話になっているし、いい商品が増えるなら僕等だって嬉しいだろ?」
「まあそうね…でも魔王領ってここから随分遠い筈よ?かなり家を開けると事になるわよ?」
「ああ、シャナとルルが心配なのか?それなら心配ないぞ?なにせ僕には『分身体』があるからな!」
すかさず分身体を出現させる。研究の結果、魔力が尽きなければ分身体は消えない。それに、
「こうやって分身体を分身させて…よし、これ位かな」
元のステータスの10分の1程に分身させた個体を残し、他を回収すると、
「これで10分の1僕の完成だ!」
「僕が居れば安心だろ?」
「…う~ん、確かに…」
並び立つ2人の僕を見たセシリアは、納得したような、困惑した様な表情で唸っていた。
「凄いです!フィズさんが一緒にお留守番してくれるのなら安心ですねルルちゃん!」
「お、おう…そうだな。頼もしいぜ!まぁ、家の事ならオレやシャナに任せてくれよな」
「ああ助かるよ。じゃあ、明日の昼くらいにはダンジョンに向けて移動しようか。皆もそのつもりで準備しておいてくれ」
「了解です。ライオ君、スーちゃん、一緒にお買い物に行こうか!私、重たい物は持てないから宜しくね」
「ん、了解。ライオさんお願いね!」
「それって荷物持ちだよね?!」
「まぁでも、そんな男らしいライオ君見たいな~♡」
「ん、きっと格好いい」
「こ、今回だけだからね?!よし、行こうか!」
チョロい…チョロすぎるぞライオ!サキュ達に絆されて、ライオ君を先頭に買い物に出掛けた三人は、夕方には両手で持ちきれない程の荷物を持って帰って来たのだった。
「シャナちゃん…頼まれてた物も買ってきたよ…アイタタタ…」
「はわわわわ…あ、ありがとうございます!大丈夫ですか?!」
「ああ、へ、平気だよ…」
シャナとルルの買い物までま引き受けたライオ君は腰を痛そうに擦りながら疲れた様子だ。
「ライオ君、回復した方が良いんじゃ無いかな?腰を痛めたんだろ?」
「ええ、そうみたいです…『ヒール』を掛けたんですが筋肉痛はなかなか取れないんですよ…アイタタタ…」
「しょうがないな…どれ、僕がマッサージしてあげるから、向こうに行こうか」
「え?!フィズさんがですか?!いや、悪いですって!」
「遠慮すんなって、明日は馬車で移動するんだ。痛みが残ってると辛いぞ?」
「んー…じゃあ、お願いします」
「おう!任せとけ」
ライオ君を連れて部屋を移動しようとすると、案の定他の皆もマッサージして欲しいとおねだりしてきたので、分身体を作り出しそれぞれに宛てがった。
余ってる部屋でライオ君と2人っきりになると、
「よし、じゃあ服を脱いでうつ伏せに寝てくれるか?」
「え?!裸になるの?!」
「ああ、ローションをたっぷり使うからな。すぐにお風呂に入れる様にな、さあ」
「う、はい…」
渋々とライオ君は服を脱いで横たわった。白い肌に薄っすらと筋肉が付いた背中から、キュッと締まった丸いお尻がプリッとしている。
「じゃあ始めるぞ」
「うっ…」
背中にたら~とローションを垂らす。腰回りを中心に両掌を当て、グッ、グッと押す。硬くなった筋肉を解しながら背骨に沿ってアライメントを整えていく。
「くあ…そこ痛気持ちいい…」
「だろ?ここもどうだ?」
「ん…ん…良いです…」
腰から下に、臀部のほっぺたをグリグリと押し込む。痛い腰を庇っていたお尻に負担が随分と掛かったのだろう。足の付け根から太ももの裏、脹ら脛に掛けて指を滑らせた。
血行が良くなったのだろう、僕が体を揺らす刺激も加わった結果、ライオ君の腰がググっと持ち上がり、不自然にケツが上がってきた。
「ん、?ライオ君、大丈夫か?」
「///あ、ハイ、大丈夫です!///」
「そうか?」
僕は気にせずに続けて足の裏を揉み、今度は上に戻りながら張りのある脚をマッサージしていく。
「くふぅ……」
「随分解れたな、どうだライオ君?楽になっただろ?」
「は、はい…随分楽になりました」
「こっちの方は随分と硬くなってるみたいだけどな♪」
「う・・・、そっちは自分でどうにかしますよッ?!」
「そっか。じゃあ、今夜はこれで終わりにするか。明日は早いから早く休めよ」
「あ、でも、みんな今、フィズさんの分身体と・・・」
「ん?ああ、そっか、サキュ達も今頃魔力供給されてるな・・・うん、随分と盛り上がっている様だな」
僕は分身体の感覚を共有してみんなの状況を知った。うーん、みんな魔力をたっぷりと作り出すために、色々とやっている様だ。
「仕方ないか、じゃあ、ここで一緒に休むか」
「は、はい///」
「ん?どうした?」
「いや、二人っきりって初めてじゃないですか・・・ちょっと緊張しちゃって・・・」
「ん?ライカの時とは違うのか?」
「あの時は、女の子でしたし、普通に甘えても問題無いというか・・・今はその、男同士ですし・・・」
「ああ、変じゃないかって?別に僕は嬉しいけどな、ライオ君に甘えられても全然問題無いぞ」
「え///じゃあ、あの、一緒に寝てくれますか?」
「ああ、いいよ。おいで」
「///」
マッサージを終えた僕たちは別の部屋で営まれる愛情表現に耳を傾けながら、ゆっくりと休むのであった。




