第六十ニ話 キノコの化け物
パラサイトタイタンに寄生されたゴーレムが、フィズ達に敵対しその巨体をゆっくりと動かした。成長するに従って、寄生した魔物を巨大化させるパラサイトタイタンはとても巨大だった。
背中の巨大なキノコの所為でバランスが崩れそうな程に傾いたゴーレムだったが、自前のパワーでそれを抑え込みながら一歩一歩と近づいて来る。
「うーん、本体の弱点は火だけど、ゴーレムが厄介だな。あのゴーレム、魔法、物理への耐性が高いぞ」
「嫌なタイプね。私達との相性は最悪みたい…」
「ああ、でもやりようはあるさ。サキュ、ライカは何処だ?」
「それが、多分あいつの後ろにある坑道の方に居るみたい。使い魔からの様子だと、かなり不味そうです…」
「僕とセシリアで奴の注意を引くから、サキュとスーは、先に行け!」
「分かりました!行くよスー!」
「ん、二人とも頑張って」
「ふん。こっちは任せなさい!ライカを頼んだわよ」
走り出した二人に襲い掛かるパラサイトタイタン。操ったゴーレムの巨大な拳を振り上げて今にも殴りつけようとしている。そんな奴に向かって、
「おいおい、そんなにバランスの悪そうな体でよくも手を振り上げられるな…でもそれは悪手だろ『クエイク』×4!」
ズンズンズンズンッ!とパラサイトタイタンの足元が大きく揺れ地盤が崩れる。巨体を支えていた足が地面にめり込み、急激にバランスが崩れた結果、振り上げた巨大な手を支えられずに後ろに倒れ込んだ。しかし、反対の手で何とか完全に倒れずに背中を守った姿勢で留まった。
奴が引っ繰り返ったその隙に、サキュとスーは奥の坑道へと駆け込み姿が見えなくなった。二人の無事を確認した僕は、
「直接魔法が効かなくても、熱によるダメージは受けるよね『クエイク』『フレイム』×3!」
地面を細かい砂の粒子に変換し炎で熱し溶けた溶岩の様にドロドロになるまで溶かす。手足を取られ、背中のキノコを熱で燻す。
キ――――――――ッ!??!?!?
音の無い悲鳴が蠢く本体から聞こえて来る。巨体を動かそうと必死な様だが、逆さまで体を支える巨体が仇となり、ズブズブと熱せられた地面に埋まってしまう。そんな、スーパーピンチなパラサイトタイタンに向かって、天井付近まで飛び上がったセシリアは、
「頑張るじゃない…でも、早く倒れちゃいなさいよ!『ブレイブ』『メテオスラッシュ』×3!」
セシリアの体が赤く光ると、デモンスレイヤーをしっかりと握り、倒れたパラサイトタイタンに向かって物凄いスピードで突進すると、強力な一撃を3度放った。
物理攻撃の耐性が高いとはいえ、隕石の如くゴーレムに放たれた攻撃を受けた事で、ついに体勢を完全に崩したゴーレムは背中に生えた本体を押しつぶしながら溶岩の中へと沈んで行った。
広い空間にはジュ――――ッと焼ける音と、溶岩を波立てる音が響き渡り、最後には朽ち果てたゴーレムが崩れる音だけが重く残った。
「セシリア、無事か!?」
「ええ、見ての通りピンピンしているわ」
「さすが勇者だな。じゃあ僕達もライカの元に行こう!」
「ええ、きっとあの二人の事だから問題無いわよ?」
「そうだな。でも心配だろ?」
「まあね…じゃ、お先に♪」
「え?!ちょっと待ってよ!」
セシリアは上昇したステータスの分、僕より速く駆け出すと、一目散に走って行った。何だかんだ言ってもライカが心配なんだろう。そんな彼女の背中を追って僕も急いだ。
・・・
・・
・
「と、まあ、今回の原因である魔物は討伐したって訳さ。それにしても、これは酷いな…」
僕は倒れて動かなくなった少年4人を見ながら呟いた。明らかにパラサイトタイタンに寄生されている。彼らの局部が巨大化しているのもその所為だろう。
「フィズさん、浄化でどうにか出来ますかね…」
「分からないが、やらないよりマシだろう…『クリーン』!」
パラサイトタイタンの胞子に寄生された少年達に浄化を施す。寄生したパラサイトタイタンは発芽して間もなかったお陰か、体は綺麗に元通りになったが、
「瀕死ね…このままじゃいずれ死ぬわ…」
「ライオ君の回復でどうにか成りませんか?」
「ここまで重症だと回復程度じゃ…ッ!?そっか、それなら『レイズ』!!」
ライオ君は新しく覚えていた蘇生を試した。魔力を殆ど使い切って瀕死の状態から一命を取り戻した戦士の様子を見ると、
「サキュちゃん!もっと魔力ポーションを!」
「えっ?!あ、ハイ!」
渡された瓶を受け取ると、キュポンとポーションの蓋を開けグビッと飲み干した。魔力を回復すると、次々に『レイズ』を瀕死の3人にも掛けて、どうにか命を繋ぎとめた。息を吹き返したように顔色が元に戻った4人に、ライカは回復を掛けてやっと一息ついた。
その場にぺたりと座り込んだライカを倒れない様に抱きかかえた僕は、
「ふう―ッ…やった…」
「お疲れライカ。大変だったのに頑張ったな」
「うん…でも、あとは…お願ぃ…」
「おう!」
ライカはそのまま、僕の腕の中で目を閉じて気を失った。
「サキュ、ライカに服を着させてやってくれ。暫くすれば上の部隊がここに来るはずだ。それまで休憩しておこう」
「分かりました。スーちゃん手伝って」
「ん、了解」
サキュとスーにライカを任せると、僕とセシリアは、4人の衣服を整えた。スヤスヤと眠る彼らだが、後遺症が残っているかも知れない。僕たちは応援が到着するまで、その場で待機した。
「ええ!?あのパラサイトタイタンを倒しちゃったんですか?!それもたった四人でですか!?」
「やっぱり知ってたんですね…あんな化け物が居るって知ってたんなら教えて欲しかったですよ」
「あ、ああッすみませんッ!私とした事が大事な事を伝え忘れてました…」
「回収はお願いしますね・・・それと、彼らも」
「ええ、彼らはギルドでお預かりします。ですが、今の所怪我をした様子も無いので安心しました。これもあなた方のお陰ですね!」
坑道から魔物を殲滅しながらやって来た冒険者達も、ぞろぞろと坑道内に入ってきた。崩れ落ちた巨大なゴーレムを見て驚く彼らを尻目に、僕らは早々に鉱山から引き揚げた。
「ライカ、宿に着いたぞ」
「ん、ん~ッ…あれ、あいつらは?」
「ああ、彼らはギルドにお願いしたよ。少し様子を見てからお説教するってカレンさんが言ってたさ」
「ははは…良い薬になりそうだね」
僕等は宿に着くと、食事を取りベットに潜り込んだ。朝早く出発したはずが、すでに深夜を回っており皆もヘトヘトだった。
僕や他の仲間達がぐっすりと眠っている頃、ライカのベッドだけがモゾモゾと動き布の擦れる音が聞こえていた。坑道の奥で戦士達に犯された反動か、昇華出来なかった性欲の所為か、自慰でそれを間際らしていると、
「一人でで楽しそうなことしてるじゃないかライカ♡」
「きゃッ!?フィズさん、起きてたんですか?!」
「連れないな。誘ってくれれば良かったのに」
「ええッ///でも疲れてたんでしょ?」
「良いんだよ。仲間だろ♪」
ベッドに潜り込んだ僕はライカを肌を重ねながら、唇を合わせた。二人きりの時間をたっぷりと過ごし、僕の中で生成された魔力をライカのお腹手を当てて注ぐ。
顔を赤くし悶える表情をするライカに魔力を注ぎ込むと、そのままギュッと抱きしめた。
「はぁ…幸せって言うのかな、凄く満たされてる♡」
「僕はライオ君の時もライカの時も愛してるからな♡」
「バカ…でも、ありがとうフィズさん♡」
僕にしがみ付きながら、耳元でライカは恥ずかしそうに呟くのだった。




