第五十八話 因縁
ギルドの依頼を熟した僕たちは、暫くはゆっくりと過ごした。ギルドでクエストを受けたり、家で仲間たちとイチャイチャしながらレベル上げに勤しんだ。
「そう言えばギルドで大規模な冒険者の募集がありましたね」
「ええ、鉱山深くに大型の魔物が住み着いたとかで、複数パーティの募集があったわね。それがどうかしたの?」
「いや…俺が前に居たパーティが受注していて、ちょっと気になっただけです」
「ああ、ライオ君を追放したってパーティか。まあ、大丈夫だろう。それに何があったってそれは自分達の責任だ。ライオ君が心配することは無いと思うぞ?」
「それは、そうなんですが…」
ライオ君は納得しない様な、煮え切らない様子だった。それから暫くして、ギルドを訪れた僕たちにいつものお姉さんから声が掛かった。
「え?僕等もですか?」
「ええ、どうやら募集人数が集まらないんです。あと一パーティなんですが、鉱山関係者や町の方から早めに対応して欲しいと懇願されてしまいまして…どうですか?報酬は弾みますよ?」
「やります!」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
お姉さんに手を握られ感謝されていると、
「ちょっとフィズ!?本当に良いの?だってそのクエストって…」
「ん?ああ、ライオ君の事か…まあ大丈夫だろう。さ、魔道具屋に寄って準備していったん帰ろうか」
「はあ…全く…」
セシリアは呆れた顔だったが、困っている人達を放っておくことは出来ないと、渋々了承してくれた。そんな彼女を連れていつもの魔道具屋さんを訪れた。
店内は暗く人気が無い。しかし、店内に入ると、
「いらっしゃい。今日は何を探しに来たんですか?」
「こんにちわ。相変わらず繁盛してませんね…」
「うーんそうなんですよね?あ、でもスライム性のアレ、重宝するってことで、ギルドから受注販売することになったんです!」
「あー、だからスライム討伐のクエストが人気になっちゃったのか…初心者でも簡単な部類だし、金額も上がったもんな」
「私がギルドに依頼してるんです。冒険者も潤って私も潤てますよ!」
「それは良かったです。今日はこれから鉱山へ入るんで。アイテムを調達しに来ました」
「分かりました。サービスしておきますから、ジャンジャン買って行ってくださいね」
気前の良いお姉さんのお陰で、お安くアイテムを揃えられた。普通の買い物を終えた僕はセシリアを呼ぶと、
「ん?何か良い物でもあった?」
「ええ、ちょっと気になったのよ。コレ…」
「ん?『転換の指輪』?」
「あら、お目が高いわね!それは男性と女性の性別を交換出来る指輪ですよ。ただ、一度使用するとすぐには戻れないので注意が必要です」
『転換の指輪』:装着した者の性別を入れ替える。効果は装着中継続するが、再変換には最低でも丸一日経過する必要がある。元に戻るまで外せない。
「毎度あり~。また来てくださいね!」
・・・
・・
・
「ええ?あのクエストを受けたんですか?」
僕たちは家に帰ると大規模クエストを受注した事をライオ君達に伝えた。ルルとシャナはまたお留守番かと、寂しそうだったが、ライオ君は不安そうであった。
「でも、そのクエストって俺の元パーティが居るはずです。そんな彼らと一緒となると、俺はちょっと…」
「ああ、そうだな。だけど、ライオ君だってバレなきゃ大丈夫だろ?」
「え?でもそんな事が…」
「出来るわよ。はい、これ」
セシリアは購入した『転換の指輪』をライオ君に手渡した。指輪を受け経ったライオ君はそれを見ながら、
「指輪?ですか、でもこれが?」
「付けてみれば分かるわよ、さあ」
「は、はい…」
恐る恐るといった感じで指輪を嵌めるライオ君だったが、付けた瞬間にボンッと煙に巻かれたかと思うと、姿を現したのは、長い金髪の少女だった。
「え?あれ?俺の声?なんで女の子みたいに?!」
「はえ~、ライオ君が女の子になっちゃいましたよ?」
「ん、可愛い」
ライオ君は自分の体を確かめる様に服の上から体を弄った。大きくは無いが胸があり女の子そのものだった。
「こ、これが俺!?」
「凄いわね。本当に女の子になったわね」
「凄いです!オッパイもあるし、女の子ですね…でもこれ、下の方はどうなってるんですかね」
「ん、確かめる」
「あ、ちょ、ちょっと…!?」
サキュとスーは好奇心からライオちゃんのズボンをするりと脱がせた。プリンとしてモチっとした下半身は恥ずかしそうに隠しながらトランクス姿を晒されたライオちゃん。サキュはその最後の砦に手を掛けるとするりと脱がせた。
「ちょっとッ///」
「無いッ!?ライオ君のアレが無いですよ!?」
「んん!すごくイイ!!」
慌てるライオちゃん、驚愕するサキュ、何だか凄く興奮した様子のスーがギャアギャアと騒いでいる。ライオちゃんは白い肌にぷにっとしたシャナみたいな身体付きだった。シャナと並ぶとまるで双子の様にも見えなくはない。
「これならバレる事は無いだろう。サキュ、適当に洋服を用意してやってくれ。準備が出来次第出発するぞ」
「分かりました。さあ、行くよライオちゃん!」
「へえええ~」
サキュに連れ去られたライオちゃん達を見送ると、
「ごめんな、シャナ、ルル。今度は暫く帰って来れないかも知れないんだ。二人でお留守番宜しくな」
「うう…分かりました。でも無事に帰って来て下さいね。待ってますから」
「シャナの事は俺が守る。安心して行って来い。でも、帰ってきたら、その分しっかり甘えさせろ!」
「!?うん、うん♡私も甘えさせて貰いますからね!」
「ふふ、モテモテね」
「ああ、勿論だ。たっぷり時間を作ってやるからな♡」
「「やったー!」」
こうして、色々と準備を整えた僕たちは、魔物の巣くう鉱山町へと向かうのであった。




