表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/73

第12話フシギナクスリ

昼前に散々な目に合わされた俺は、朝食を食べれなかったこともあり、お昼はやけ食いをしていた。


「って事があってさ。ミルフィーナって何者なんだよ」


「あれでも私の幼馴染なのよ? どうしてあんな風になったのかは分からないけど」


「お前でも分からないって、どんだけだよ」


先程のことをルチリアに話をすると、どうやら彼女もミルフィーナについては分からないことが多いらしい。幼馴染にも分からないって、どれだけ奥深いんだよ。


「それでカエデ君は、逃げて来たの?」


「逃げて来たっていうか、帰らさせてもらった。この先何をされるか怖かったし」


「でも今日特訓してくれるの、ミルフィーナよ?」


「そうなんだよぉぉ」


さっき気がついたのだが、今日の訓練相手はミルフィーナだ。つまりさっきのは単なる余興に過ぎないということだ。そう考えると全身に寒気がする。


「大丈夫よ、加減くらいはてまさかるから。きっと」


「加減って何? 本気だともっと怖いの?」


「さ、さあ」


「何だその意味深な言い方は。俺死ぬの? 死んでしまうのか?」


「心配しなくて大丈夫よ。私が命の保障くらいはしてあげるか」


「マジでシャレにならないからなそれ!」


結局この昼も、余計な事ばかりが頭から抜けず、落ち着いた食事が取れずに午後の訓練を迎えることになった。


(あー不安だ、間違って命なんか落としたら大問題だ)


俺は果たして夜を向かえられるのだろうか?


◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

「という事で〜、今日は私が教える番です」


「よ、よろしくお願いします」


訓練の為に呼び出されたのは、再び彼女の家。明かりがほとんどない為、かなり不気味な雰囲気の中でミルフィーナの授業が始まった。


「まずはカエデさんには〜、これを飲んでもらいます」


と言って彼女が渡してきたのは、いかにも怪しげな液体。


はい、早速アウト。


「ちょっと、どこへ行くんですか〜。まだ始まっていませんよ〜」


「無理無理、こんなの飲めないって」


「これはカエデさんの体内に、魔力を宿らす為のものなんですよ〜。これがなければ、黒魔術は〜使えません」


「もう覚えなくていいから、勘弁してくれマジで。遺跡の謎を解く前に死ぬのは嫌だ」


「文句を〜言わないでください〜。ほら〜、飲んでくださいよ〜」


「来るな、来ないでくれ」


暗闇の中から一歩ずつ寄ってくるミルフィーナ。逃げようにも、扉を見つけ出せず、なかなか逃げ出せない。


(まるで幽霊から逃げているみたいだな)


って、何呑気な事考えているんだよ俺。


「さあ一緒に、黒魔術を学びましょう〜、カエデさ〜ん」


「嫌だぁぁぁ」


この日ポカリミ村には、二度か三度大きな叫び声が響き渡ったらしい。



◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

「ルチリア……俺人間やめちゃったのかな」


「そんな事ないって。カエデ君はちゃんとした人間よ」


「だって俺、あの薬飲まされてから生きている感じがしないんだ」


「き、気のせいよ。きっと」


結局その後、あの液体を飲まされてしまった俺は、その場で気絶。気がついたら自分の部屋で眠っていた。しかも日付も変わっていて、今はルチリアとの訓練の最中だった。


「でもこれで、カエデ君も使えるようになってよかったじゃない」


「黒魔術をか? 怖くて使えやしないよ」


「黒魔術じゃなくても、体に魔力が宿ったなら、使うことができるじゃない、魔法」


「そんな簡単にできる物じゃないだろ、魔法は」


よく漫画や小説とかで魔法とか登場するが、ああいうのを使えるのって、才能がある人くらいしかいない。それに比べて俺は、至って普通の人間なので、当然だけど使えるなんて微塵も思わない。


「そんな事言って、興味あるんじゃないの?」


「あるわけないだろ。そもそも薬だって強制的に飲まされたんだし、気分は最悪だよ」


「じゃあ訓練やめる?」


「いや、続けるけどさ」


二度目となるルチリアの訓練は、前回に引き続いて基礎的な事を何度も繰り返すような形だった。そのおかげもあってか、最初は苦戦していた動きも、ぎこちないながらも少しずつ身になってきた。


「うん、いい動きになってきたね。カエデ君もやろうと思えばできるじゃない」


「そうか? 俺的にはまだまだな感じがするんなけど」


「ううん。二日目にしてすごい成長よ。これならきっと、ポチの剣術もすぐに身につくし、黒魔術は……うん、大丈夫」


「その大丈夫って言葉が、安全とは全然思えないけどな」


逆に不安を煽られている気がしてならない。


「よし、カエデ君の動きも良くなってきた所だし、そろそろいいんじゃないかな」


「良いって何が?」


「いつまでも隠れてないで、そろそろ出てきなさい」


ルチリアが俺の背後に向けて言う。後ろに誰か隠れていたのだろうか?


「全く、怪我治ったからってすぐに戦いを申し込もうとするなんて、どれだけ恨まれてるのよ」


「怪我? まさか」


振り向くと案の定そこにはフォルナがいた。そういえば気がつかない間に怪我は治っていたらしく、いつでも倒せるとか言っていたな。


いや、そうじゃなくて、


「おいルチリア、まさかとは思うけど、今からフォルナと戦えとか言うんじゃないだろうな」


「そのまさかよカエデ君。今のカエデ君なら一矢くらい報いれるわよ」


「いや、いくらなんでも無理があるだろ」


そんな事を言っていると、頬を何かがかすめた。おいおいマジかよ。


「ほらカエデ君、戦闘態勢に入らないと、死ぬよ?」


「その言葉を今言われるとシャレにならないからやめてくれ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ