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35 コンパスと2穴パンチ

八月を迎え、ルミナス魔法学院の生徒たちにとって三年生最後の夏休みが到来していた。王都の街並みは、夏の夜の涼風と、露店から漂う香ばしい匂い、そして色とりどりの魔導提灯の灯りに包まれ、年に一度の『王都夏祭り』の賑わいを見せていた。


五月の新緑の大遠足、六月のレインウェア・コンテスト、そして七月の猛暑の魔導プール……。


数々の理不尽な危機を、人里離れた山奥にあり、今や誰も知らない土の下に没した実家「天照(あまてらす)神社」の蔵から現れた付喪神(デッドストック)たちと共に爆発的なハッピーエンドへと塗り替えてきた天照ひよりは、華やかな浴衣姿で夏祭りを満喫していた。


「みんな、今日は何する???広島の呉のれんが通りのお祭りや、私が育ったあの山奥の天照神社の静かな夏祭りでもね、八月になると冷たいラムネをシュワッと飲んで、甘い桃を食べるのが最高の楽しみだったけど、王都の夏祭りも本当にすごいね!

なにしろ、今日の王都夏祭りで子供たちへのお手伝いを無事に完了したら、王室の特級屋台から『八月限定・瀬戸内風レモンラムネ&冷やし白桃パフェ・おかわり自由手形』が授与されるんだから!

甘酸っぱく弾けるきんきんに冷えた瀬戸内風のレモンラムネに、とろける完熟白桃がどっさり乗った特製冷やしパフェ……!

これはもう、広島県立女子高生としての私のすべての胃袋の情熱と、我が実家の天照のお宝たちの力を合わせて、絶対にみんなで安全に夏祭りを成功させて、最高のハッピーエンドを掴み取るしかないよね!」


きらびやかな夏祭りの提灯の下、紺色の金魚柄の浴衣の裾を軽やかに揺らしながら、天照ひよりは手にした木製の特大しゃもじを夜空へ掲げ、三年A組の仲間たちに向けて元気いっぱいに大声を張り上げていた。


「おいおい、天照! 朝っぱらから……じゃなくて、夜市で白桃パフェへの執念が凄まじい魔力となって、露店の金魚すくいのポイを無駄に頑丈にさせてんぞ!

だが、浮かれている場合じゃない! 王都の中央広場に集められていた、子供たちに配るはずの『十万個の魔導浮遊風船』の制御システムが、都市の不満分子である反王政派のハッカーどもに遠隔ハッキングされたんだ!」


ツンツン頭の少年――最高学年の胸章をつけた浴衣姿のルファスが、何枚もの緊急警報スクロールを抱えながら、顔を真っ青にして額の汗を拭っていた。


「天照さん、ルファスさん! 大変ですぅ! 広場にあった十万個のカラフルな風船たちが、不気味な黒紫色の魔力を吸い込んで、お家と同じくらい巨大に膨らみ始めてますぅ!

ハッカーたちの『超過圧爆裂呪(バースト・オーバー)』のせいで、風船内部の魔圧が限界を超えて、このまま破裂したら王都全体が吹き飛ぶ巨大な『空中爆弾』になっちゃいますぅ!」


犬耳の少女ミーナが、可愛い金魚柄の浴衣姿でふさふさの尻尾を小さく丸めながら、夜空を埋め尽くしつつある巨大な風船群を指差して悲鳴を上げた。


「天照お姉様……! 私、お姉様と一緒に子供たちに風船を配って、お祭りを楽しむのをとっても楽しみにしていたのに……! あの悪徳ハッカーたちのせいで、夜空を覆う風船がいつ大爆発を起こすか分からない危険な状態になってしまいましたわ……! 王都の子供たちの笑顔を奪い、お姉様との甘い白桃パフェの時間を邪魔するなんて、私、絶対に許せませんわ!」


可憐なピンク色の着物に身を包んだセシリア王女が、手繰り寄せた着物の裾を握り締め、極光の瞳にポロポロと涙を浮かべながらひよりの腕にしがみついた。


「ふむ。 夏祭りの歓楽に乗じた、十万個の魔導風船過圧ハッキングバグか。 風船内部の気圧と形状の幾何学を破綻させ、破裂の衝撃力で都市を混乱に陥れようという理不尽な破壊プロットだな。

だが、どれほど限界まで肥大化した空中爆弾であっても、正確無比な『完璧な円の範囲』を測定・定義し、そこに破裂を起こさない正しき『空気抜け穴(バグ抜き)』を一瞬でポコンと穿ち出せば、そこには再び『安全で可愛らしい水玉模様の風船』という平穏が蘇る。

天照ひより、実家の天照神社の蔵に眠る、あの『描円と穿孔』の絶対なる規律を呼び出す時だ」


私はひよりの帯に差し込まれた竹定規の竹千代の影から、依り代である文机を精神体として小さく出現させ、滑らかな万年筆の先から透明なインクを走らせながら静かに告げた。


私の名は『硯水(けんすい)』。 災害によって土の下に没し、今は誰も知らぬ人里離れた山奥の天照神社で、千年の間、人間の様々なる「崩れそうな図形を完璧な円として描く知恵」「過剰な圧力や歪みを安全な穴から抜き出す技術」「どんな大惨事の危機であっても、人々の笑い声を守り抜く情熱」の歴史を見つめ続けてきた、文机の付喪神だ。


「そうだよ、硯水さん! 呉の学校や図工の時間でもね、まんまるな円を描く時はコンパスで軸をピシッと固定してグルッと回して、分厚い紙に紐を通す時は2穴パンチでポンッと綺麗な穴を開けるのが決まりだったんだもん!

十万個の風船が過熱して爆発しそうになってようが、私の白桃パフェへの情熱も、みんなとの夏の思い出も、全部ポコンと綺麗な穴を開けて可愛い水玉模様にしてやるんだからぁぁぁーーーッッ!!」


天照ひよりが力強く拳を握りしめ、巨大な風船爆弾が夜空を埋め尽くす王都の中央広場へと、堂々たる足取りで第一歩を踏み出した。


第二章:夜空を覆う黒い風船! 爆発寸前の過圧バグ


「ハハハ! 愚かなルミナス魔法学院の連中め! この『十万個の過圧魔導風船』は、既に不可逆の破裂カウントダウンに入っている!」


中央広場の時計塔の頂上から、黒い仮面をつけた反王政派のハッカーたちが、高慢な高笑いを響かせた。 彼らの手には、怪しいノイズを放つ『暗黒魔導ハッキング端末』が握られており、そこから夜空の風船群に向けて過剰な魔力が送り込まれ続けている。


「内部圧力は既に限界突破! 一瞬でも衝撃を与えれば、連鎖爆破を起こして王都の夏祭りごと灰燼に帰すのだ! 防ぐ術など存在しない!」


「くっ、僕の風魔法で風船を吹き飛ばそうとしても、刺激を与えた瞬間に爆発しそうだぞ!」


ルファスが風魔法の出力を調整しようとするが、過圧状態の風船はわずかな風の摩擦にも反応して「ミシミシ……!」と不気味な亀裂の音を立て、王都の住民や子供たちが悲鳴を上げて逃げ惑う。


「ひよりさん! 風船が大きくなりすぎて、夜空の月が見えなくなっちゃいましたぁ!」


ミーナが悲鳴を上げる。 セシリア王女も、巨大な風船の圧迫感に「お姉様、風船が弾けそうですわ……!」と顔を真っ青にさせていた。


「破裂するからって威張ってるんじゃないわよ! 圧力が溜まりすぎてるならね、コンパスで綺麗に範囲を測って、パンチでポコンと安全な穴を開けて圧力を抜いちゃえばいいんだからね!」


ひよりの日常防衛本能(異常なまでの安全への執念と白桃パフェへの情熱)が、極限の出力で爆発した。


「天照ひより、その通りだ。 世界がどれほど過圧のバグで風船を爆破させようとも、人間の『一本の針を軸にしてぶれない完璧な円の半径を画定するコンパスの精度と、二つの刃で厚い紙であっても破かずにポコンと美しい丸穴を打ち抜く』という日常の文具と製本の規律の前には、ハッカーどもが仕掛けた呪いの過圧など一歩も侵入できない。 天照の神社の東の第七蔵の引き出しの奥――

……昭和や平成の時代、人里離れた山奥の神社で寺子屋の勉強や神事の書類整理に使われ、何万枚もの紙に正確な円を描き穴を空けてきた、あの『絶対描円・穿孔道具たちの総力戦(デッドストック・パンチ)』を発動するのだ!」


「東の第七蔵の、綺麗な円を描いてポンと穴を開ける道具……あ! お母さんが図工やお習字のお手本を描く時に、脚をきゅっと広げて綺麗な丸を描いていた、あの足先が尖った金属のコンパス!

それに、お父さんやおじいちゃんが神社の分厚い収支台帳をファイルに閉じる時に、上から両手でグッと押して『ポコン!』って二つの丸い穴を開けていた、あの重厚な青い2穴パンチ!」


「そうだ。 あれらは、世界を滅ぼす破壊魔法ではない。 だが、人間の『どんなに破裂しそうな過剰な圧力であっても、正しき範囲を定め、美しく穴を開けて圧力を逃がせば、世界は絶対に壊れない』という、あまりにも力強い生活の知恵から生まれた道具たちだ。 ひより、彼らを呼び出して、その十万個の爆弾風船を、王都の夜空を飾る世界で最も可愛い『水玉模様の星空』へと、今すぐ強制再構築してやれ!」


第三章:新付喪神現る!「コンパスの絶対描円とパンチのバグ抜き穿孔」


「デッドストック、最大出力起動! 我が実家の天照の蔵の奥、どんな破裂の危険も絶対に許さず、綺麗な円と穴で安全にしてきた、最強の文具コンボ、おいで!」


ズガァァァァァン!!! クルッ! ポコン! ポコンッ!


空間に、研ぎ澄まされた鋼鉄の脚が軸を固定して寸分の狂いもない綺麗な360度の円を描き出す爽快な音と、二本の丸い刃が分厚い紙を一瞬でポコン!と音もなく美しく打ち抜く、あまりにも頼もしい『描円と穿孔の音』が響き渡った。


光の中から出現したのは――天照家で長年大切に使い込まれ、開閉ネジの締め心地も滑らかに絶対的な半径を保ち続ける『製図用・特撰ニッケルコンパス(コンパス)』と、青いスチールボディに強力なバネと中空刃を宿す『事務用・強力2穴パンチ(あなあけパンチ)』の一対だった。


「おやおや、随分とイビツに膨らんだ行儀の悪い風船たちだねぇ! 僕の脚で、完璧な円の範囲を定義してあげようかい!」


コンパスの金属体から立ち上る、どこか懐かしい製図室のニッケルと精密機械油の香りと、整えられた空間の煙の中から現れたのは、銀色のスマートなコンパスの脚をあしらったスーツを着て、手に巨大な製図用コンパスを構えた知的な青年の姿をした付喪神――


名を『円太(えんた)』という。


昭和から平成の時代、人里離れた山奥の天照神社で寺子屋の幾何学や神事の図面を描き続けてきた「歪みのない完璧な円」の執念から神格を得た、コンパスの付喪神だ。


「そしてそしてぇ! 膨らみすぎたバグは、アタシの刃でポコンと穴を開けて抜いてあげるわよ、ひよりちゃん!」


2穴パンチの重厚な押し手から、ピョンと飛び出してきたのは、頭に青い2穴パンチの帽子をかぶり、両手に丸い中空刃のトンカチを構えた、力強くて頼もしい少年職人の姿をした付喪神――


名を『穴蔵(あなぞう)』という。


彼は、神社で分厚い神事の台帳や和紙を、破くことなく一瞬で「一ミリの破れも生ませない美しい円穴」として穿ち続けてきた、あなあけパンチの付喪神であった。


「円太さん、穴蔵君! あの爆発しそうな十万個の風船の範囲を正確に捉えて、破裂しない安全な穴をポコンと開けて圧力を抜いて!」


「おう、任せときな、ひよりのお嬢さん! 僕の脚が描く円はね、ハッキングの呪いだろうが爆発エネルギーだろうが、完璧な『安全領域』として固定するのさ! ――【神域描円・絶対精密コンパス領域(しんいきびょうえん・ぜったいせいみつこんぱすりょういき)】!」


円太が、自らの本体である特大コンパスの針を夜空の空間にピシッと固定し、脚をクルッと滑らかに一回転させた!


キラキラキラッ!


その瞬間、王都の夜空を覆っていた十万個の巨大爆弾風船の全域に、円太の描く「寸分の狂いもない綺麗な黄金の円」の幾何学バリアが展開された! 爆破カウントダウンを進めていた暗黒のハッキング魔力が、円太の描く完璧な円の領域に包まれた途端、一切の連鎖爆発を起こせない「隔離された安全な球体」へと属性を物理的に強制固定されてしまったのだ!


「な……なにぃ!? 我が方の『超過圧爆裂呪』の連鎖爆破エネルギーが、ただの『コンパスの円』の中に閉じ込められて固まっただと……!?」


時計塔の上のハッカーたちが絶叫する。


「それだけじゃないぞ! ワシの刃で、破裂しない『バグ抜き穴』をポコンと開けてやるのじゃ! ――【神域穿孔・絶対安全二穴バグ抜き(しんいきせんこう・ぜったいあんぜんにけつばぐぬき)】!」


穴蔵が、驚異的なスピードで夜空を舞い、過圧状態の十万個の風船一つ一つに向けて、両手の丸い中空刃でポコン! ポコン! と軽快にパンチを打ち込んだ!


ポコン! ポコン! ポコンッ!


不思議なことに、穴蔵がパンチで穴を開けるたび、風船が裂けて爆発することは一切なく、内部に溜まっていた暗黒の過剰魔力だけが「プシューッ!」と音を立てて安全に抜け出していったのである!

それどころか、穴蔵が開けた綺麗な丸い穴から適度に空気が抜けた十万個の風船たちは、夜空の月光を受けてキラキラと輝く「可愛らしい水玉模様のポップな風船」へと瞬時に生まれ変わってしまったのだ!


「ああっ!? 爆弾風船が、ただの可愛い水玉風船になって夜空に舞い上がっていくぅぅぁ!?」


ハッカーたちが悲鳴を上げる中、風船のバグは完全解決し、王都の夜空には十万個のカラフルな水玉風船が幻想的な星空のように広がり始めたのだった。


第四章:夜空の水玉模様と「瀬戸内風レモンラムネ&冷やし白桃パフェ大食い」


「さあ、王都のみんな、そして子供たちも! 危険な爆弾は全部消えたよ! 夜空の可愛い水玉風船を受け取って、夏祭りを思いっきり楽しもう!」


ひよりの元気な号令と共に、安全になった十万個の水玉風船が、王都の中央広場へと優しく舞い降りてきた! 逃げ惑っていた子供たちや住民たちが一斉に歓声を上げ、舞い降りる風船を手に取って、夜空を見上げながら笑顔を取り戻した。


「す……凄い! 危険な爆発が一瞬で消えて、夜空が最高に綺麗な水玉模様になったぞ!」


「お姉ちゃん、風船かわいいー!」


「天照先輩、最高ーーーッ!」


王都全体が温かい拍手と歓声に包まれ、時計塔の上で呆然としていたハッカーたちも、駆けつけた近衛兵たちによって全員が逮捕され、夏祭りの平和が完全に守られたのだった。


そして夏祭りの熱気が最高潮を迎える中、王都の特等テラス席。 ひよりたちのテーブルの上には、ついに勝ち取った約束の報酬――王室の特級屋台から授与された『八月限定・瀬戸内風レモンラムネ&冷やし白桃パフェ』がずらりと並んでいた!


「おいしーーーい!!! 何これ、甘酸っぱいレモンラムネがシュワッと弾けて、きんきんに冷えた完熟白桃のジューシーな甘さが口いっぱいに広がって、広島の呉のれんが通りや実家の神社で食べるどんな夏スイーツより身体の芯までハッピーが染み渡るよ!」


ひよりは特大のスプーンを持ち、白桃の果肉が山盛りになった冷やしパフェをガブリと頬張り、レモンラムネをゴクゴクと飲んで、とろけるような笑顔を爆発させていた。


「フ、フン、相変わらずの凄まじい食欲だな、天照。 だが、今回は君のその『よく分からない実家のコンパスやパンチの力』に、夏祭りどころか、王都の安全まで救われちゃったわけだからね。 ……まぁ、その、天照さん。 水玉模様の夜空も綺麗だったし、残りの夏休みでも僕が君の隣で一緒に美味しいものを探してあげてもいいぞ」


ルファスは胸元の三本線章を揺らしながら、自らの分のパフェを優雅に口に運び、満足そうに目を細めている。


「天照お姉様! お姉様と一緒にきれいな風船を見上げて食べるこの白桃パフェ、人生で一番美味しいですわ!」


セシリア王女も、口元に白い生クリームと桃の果汁をちょこんと付けながら、嬉しそうにパフェをスプーンですくって口に運んでいた。


「天照さん、ルファスさん、セシリア様! ラムネがシュワシュワで尻尾がピクピクしちゃいますぅ!」


ミーナも、鼻の頭にアイスをつけながら夢中でパフェを平らげ、ふさふさの尻尾を激しく振って大喜びしていた。


「ふむ。 過圧の風船爆弾をコンパスで安全領域化し、パンチでバグ抜き穴を開けて夜空を水玉模様に染め上げ、極上の白桃パフェを堪能する。 これ以上ない見事な八月の夏祭りプロットだな、天照ひより」


私は文机に向かい、この『第三十五幕・八月の王都夏祭り編』の最後の一ページに、満足のいく文字を刻み終え、万年筆を静かに置いた。


「推敲は終わった、硯水さん?」


ひよりがテラスから差し込む、夏の夜空に浮かぶ十万個の水玉風船と美しい月光を見つめながら覗き込んでくる。 私は微笑み、表紙に力強い文字でこう書き込んだ。


『名もなき神社のデッドストック・第三十五幕~八月の王都夏祭り・十万個の魔導風船爆破バグを、コンパスの絶対描円領域とパンチのバグ抜き穿孔により、可愛い水玉模様の夜空へ変えて特大冷やし白桃パフェを大食いしてみた~』


「ふふ、完璧な大団円だ。 さあ、天照ひより。 八月の夏休みもこれにて無事幕引き。 九月からはまた、新学期のルミナス魔法学院で、新しい美味しい日常のプロットの始まりだ」


「うん! よーし、九月になったら、秋の始まり! セシリアちゃんたちみんなと一緒に、収穫祭と特大ほくほく栗マロンパフェで美味しい日常をたくさん作っちゃうぞ!」


窓の外では、夏の夜空に美しい星々と十万個の水玉風船が輝き、涼しい夏の夜風がひよりの黒い髪を美しく揺らしていた。


「パパ、ママ。 私ね、八月の夏祭りで、土の下に眠る天照のお宝たちの力を使って、爆発しそうだった風船をポコンと安全にして、みんなで一番美味しい白桃パフェを食べられたよ。 だから……いつか本当に私が呉の家に帰れた時は、パパに連れて行ってもらった、覚えてないけど、どっかで食べたたこ焼きピザ、パパの奢りで、絶対に家族みんなで、お腹がはち切れるくらい食べさせてね!」


少女のどこまでも明るいハッピーエンドの笑い声と、千年の時を超えてリュックの中で賑やかに笑う付喪神たちの声は、ぬくもりに包まれた王都の夜空へ、遠い、遠い故郷の空へと、どこまでも、どこまでも爽やかに響き渡っていった。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

今回は女子高生のお話です。

よろしくお願いします。

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