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56:どーせアンタもそんな澄ました顔の腹してるけど腹んなかではいい気味だと思ってんでしょ!? ほら、笑いなさいよ!  『いい気味ー! ざまぁ~!!』って醜く笑いなさいよ!




 一連の首謀者はやはり、ナルシア・ド・ローズだった。 



 捕縛され、クルードとリュネットの前に引きずり出されたナルシアは、縛られた手首を無理やり引き剥がそうともがく。髪は乱れ、装飾品もところどころ剥がれ落ちているが、ナルシアは決して怯えていなかった。


「触んないでよ、クズどもがッ! 下っ端があたしを押さえつけるなんて百年早いんだっての!」

 護衛の騎士が無言で押さえつけると、ナルシアは顔を歪め、激しく肩を震わせた。



「っていうかあたしは悪くない! 悪いのはリュネットよ!」

 声は鋭く、まるで自分を納得させるかのように繰り返される。


「そうよ……アイツは、ナルシアからすべてを奪ったの! あたしの地位も、生活も、ぜーんぶ!」 



 吠えるナルシアは、目の前のリュネットとクルードを睨みつけた。

 ナルシアは憎悪を込めて鎖を引き千切るように腕を振り回すが、鎖はじゃらじゃらと冷たい音を立てるばかりで、彼女を離そうとはしない。


 ────ハッ!

 そんな状況がおかしかったのだろうか。

 ナルシアは自嘲と嘲笑を孕んだ笑みに顔を歪ませると、彼らに向かって足を投げ、



「奪い返して何が悪いっての!? 盗られた分取り返したっていいでしょ! それとも何? アンタ『善人ぶって許してあげる』とか言いたいわけ?」 


「おいこらリュネット! アンタ、伯爵さまの隣で悲壮ぶってんじゃないわよ! なんなのよ、その気持ち悪いオンナ面!」 


「どーせアンタもそんな澄ました顔の腹してるけど腹んなかではいい気味だと思ってんでしょ!? ほら、笑いなさいよ!

 『いい気味ー! ざまぁ~!!』って醜く笑いなさいよ!」



 騒ぐナルシアが、哀れだ。

 一人で噛みつき、声を上げているが──『相手が違うのに』。

 それに気づかないなんて、愚かだ。滑稽だ。



「……ッ! なによ! なによそのすまし顔……!

 男に守られて悲劇のお姫様してんじゃないわよ!

 アンタみたいなのが一番ムカつくのよ!!

 死ね! 死ねぇ!! おまえなんか死んでしまえ!! ダルチャンを返せ!!!」


「「…………」」


 ナルシアの咆哮に、返りゆくはただの静寂。

 冷たい石の上、睨み上げた『クルード』も『リュネット』も、何も言わずにそこに佇んでいる。


 ただ、クルードのごみを見るような冷酷な瞳と、何かを憐れむようなリュネットの眼差しが降り注いで、ナルシアが叫んだ。



「くそがあああああああああああ!

 気取ってんじゃねエエエエエエエエエええ!!」













「ぷう~~~……ショーン、あなたのオヤブン人使い荒すぎ~~」


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