『用語等解説・その①』
この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
「歴史関連」
・『第三次世界大戦』
⇒増えすぎた総人口、それに伴う食糧問題と資源・エネルギー問題が原因となって始まった西暦末期において世界的な規模で戦われた3度目の戦争。
石油資源の枯渇目前、或いは地域によっては枯渇し、石油輸出が主な財源となっていた中東諸国が貧困に陥る。発展の最中、または技術等の問題があった国が要としていた火力発電も停止せざるを得なくなり、連鎖的に格差が広がっていった。
自然エネルギーや資源再循環技術を駆使した各先進国は一時は貧困から免れたものの、発展途上国から伝播した食糧生産量の低下や、悪化した地球温暖化の影響を受け、世界的な食糧不足と貧困の問題に陥った。
先進諸国がかねてより合同で進めていた宇宙への生活拠点進出の計画も中断せざるを得なくなり、世界全体が苦しみに喘ぐ。
先の見えない絶望が世に蔓延る中で、戦いは始まった。
ユーラシア大陸の2大国家が結託し、食料問題の解決と残る各資源確保を名目に中東諸国及びアジア諸国に侵攻。世界各国からの制裁を受ける中、目標を達成する。
勢いのまま2大国家は、アフリカ大陸の国家と結託。制裁を続ける西側諸国への反撃として穀物資源、及び鉱物資源の豊富な一部ヨーロッパ諸国を目標とし、侵攻を開始した。
この侵攻により西側諸国と東側諸国の全面戦戦争に突入。西暦史上最大の泥沼の世界大戦へと発展していく。
終わりが見えぬ全面戦争は開始から8年が経過。世界各国の経済は破綻し、諸問題は膨れ上がるばかり。地獄のような日々が人々を苦しませる最中で、痺れを切らした西側所属のアジアの1国がついに『核弾頭』の発射を決行した。
抑止力としての意味を『核』はなくし、誰もが恐れていた『核戦争』が現実のものとなった。疲弊しきった各国の戦力では迎撃が間に合わず、世界各国の主要都市と主要軍事施設は地図から姿を消していった。
残る総人口の半分以上を死に至らしめたこの『核戦争』の果てに、奇しくも主導者をこの『核戦争』で失った西側と東側の大半の国家は終戦条約を締結。徹底抗戦を訴える過激国家を抑え込むべく、世界連盟政府(WFG)を共同で発足し、事態の収拾に乗り出していった。
・『新展歴 (Ⅴ.M)』
⇒西暦の次の暦として使われ始めた年号。
勝利の果てに得た新たな世界という意味を込め、ラテン語で『Victoria.Mundus』とした。
略称としては『Ⅴ.M』とされることが多い。
・『地球再生計画(E.R.P)』
⇒世界連盟政府主導で実行された大規模計画
第三次大戦によって劣悪となった環境問題を改善すべく、必要最小限の人員を除いた全ての人々の生活拠点を宇宙へと移し、地球環境を再生させることが達成目的。
よりよい環境を求める者も多く、連盟政府の要人たちも例外なく地球を離れ、計画の第一段階となる『宇宙への進出』は無事に終わった。
第二段階となる『地球環境改善』は当初の予想では4世紀以上は必要であるとされていたが、想定を超えた245年の歳月で終えることとなる。
さらなる想定外として世界総人口の増加が重なり、最終段階である『地球への帰還』に暗雲が立ち込み始めてしまう。
帰還者の住居、各種インフラの整備、食料安定供給課題等、様々な問題が累積し、全人口の『半数』しか帰還できないとの結論に至ってしまった。
その半数の内の大部分を世界連盟政府に属する者たちと、彼らに関係していた各大企業に属する者たちが優先された。
差別的に過ぎるとされたこの帰還者の選定は、後々の残された人々の間で大きな禍根残すこととなる。
・『【179】の惨劇』
⇒暴動が過熱したグループ1に属するコロニー【179】内で発生した事件。
治安維持軍による鎮圧の最中、暴徒が建物内に備蓄していた火炎瓶を誤って着火させてしまったことで火災が発生。
暴徒化していた人々はすぐさま暴動を止めて消火活動に移ろうとするも、好機とした治安維持軍は暴徒の拘束に乗り出した。
消火よりも暴徒拘束を優先した結果、火災は延焼してしまう。瞬く間に広がった炎の中には、孤児院や病院も含まれていた。
多数の死者を出すこととなった火災はコロニー居住者が結託して何とか消し止められたものの、治安維持軍の大半は完全な消化を見届けることなく現場から撤退してしまった。
世界連盟政府は全ての原因は暴徒にあるとし、鎮圧を行った治安維持軍への処罰を行わなかった。承服しがたい決定に誰もが不満を募らせる中、当時の鎮圧部隊隊長が政府上層部の長男だったという事実が発覚した。
この一件を無責任、非情に過ぎるとしたコロニーに住む人々は、この事件を『【179】の惨劇』として語り継ぐこととなった。
「政府、団体、企業関連」
・『世界連盟政府(WFG)』
⇒第三次世界大戦の終戦と共に発足。参入した世界各国による出資で構築された『治安維持軍』を有する。
World
Federasion
Goverment
上記の単語の頭文字をとった略称で呼称されることが多い。(WFG⇒だぶりゅー えふ じー)
第三次大戦時に平和維持を目的とした国際連合が全く機能しなかったことを鑑み、加盟各国から代表者や出資金を募りつつも、有事の際には組織内部での議論の末独自に『平和』のための措置を強硬可能な組織として設立された。
強硬措置執行対象に例外はなく、戦後にて過激国家への鎮圧行動に過剰な戦力を投入したとして加盟国への厳重な処罰及び『物理的制裁』を実施したこともあった。
力をより強大な力によって抑え込むという荒さを感じられる方針に対し、設立当初こそ批判の声が多く上がったが、人々が望む平穏を確実に実現していったために、黙認されていくこととなった。
大戦の混乱収拾を実現した後、中断されていた宇宙への生活拠点進出計画を再開。数十年の時をかけ、『地球再生計画(E.R.P)』を実行に移した。
暦を『新展歴(V.M)』と定め、宇宙を生活の場とした後も世界連盟政府(WFG)の統治は続いた。
そうした中で、地球と人々のために進めていた『地球再生計画(E.R.P)』を火種とし、新たな戦いに向き合うこととなる。
・『コロニー連合政府(CUG)』
⇒宇宙に存在するグループ1からグループ9に在する全てのコロニー、そして全資源衛星が結託して発足。共同出資で構築した『コロニー連合軍』を有する。
Colony
Union
Goverment
上記の単語の頭文字をとった略称で呼称されることが多い。(CUG⇒しー ゆー じー)
世界連盟政府の方針に反する思想を抱いていた団体や企業が密かに結託して規模を拡大し、『地球再生計画(E.R.P)』の顛末の末に各グループのコロニーが一丸となって設立された。
兵器開発等の機密情報漏洩防止にも徹底し、新展歴(V.M)249年における治安維持軍との本格的な武力衝突を以て、表舞台に立つこととなる。
世界連盟政府とは戦力で劣っていたものの、戦術機動兵装【TMA】を駆使した戦法で着実に勢力図を書き換えていった。
各資材や物資は地球への輸送を止めたことで潤沢に存在し、長期戦に持ち込めばこのまま世界連盟政府を打倒可能と予想されるほどだった。
しかしながら、帰還を切望する人々のためにも早期決着を望む声が政府内でも多く、長期戦か短期戦かの意見の相違が内部で生まれつつある。
また、世界連盟政府を含む早期帰還民を根絶やしにすべきと唱える強硬派と、勝利の果てに平等な社会を構築したいと唱える穏健派で二分化している。
・『グローバル・インダストリー(G・I)』
⇒西暦末期に世界連盟政府庇護下にて創設され、コロニー開発事業や宇宙用船舶の製造といった重工業を手掛ける大企業。
『G・I』と略称で呼ばれることが多い。
数多ある宇宙工業で構築された宇宙工業組合の最上位に存在し、絶大な財力と影響力を有する。
新展歴(V.M)100年を迎えた時点で連盟庇護下から外れたものの、その地位が揺らぐことはなく他の宇宙工業企業を差し置いて発展し続けていた。
既に各グループに複数の専用コロニーを有し、治安維持軍の戦艦の建造も請け負っている。
目下の懸念は、利益面の問題から見切りをつけて独立させた子会社が急速に力をつけ始めたこと。軍需部門においては利益面だけでなく、技術面でも太刀打ちできない状況となってしまった。
・『ニューエイジ・エレクトロニクス(NA・E)』
⇒新展歴(V.M)200年の節目にG・Iが子会社として設立した軍需企業。
『NA・E』と略称で呼ばれる。
設立当初は小規模ながら頻発する暴動やテロの鎮圧のための兵器開発及び製造を行っていた。
優秀な技術者は多かったものの、予想を下回る利益しか得られずに赤字となることも多く、程なくしてG・Iから見切られて独立することとなった。
独立直後は廃業も視野にあった最中でコロニー連合政府より密かに新兵器開発の依頼を請け負い、後に戦況を左右させる新兵器である戦術機動兵装【TMA】を完成させた。
【TMA】とそれを運用するための戦艦の製造によって利益を飛躍的に上げ、かつての親会社だったG・Iの地位を脅かすほどの存在となった。
・『エウメニデス・メディカルプロダクツ』
⇒新展歴(V.M)開始から数年後に設立された医療機器製造販売企業。
宇宙という新たな環境下においても問題なく使用可能な医薬品・医療機器製造及び医療技術開発を行う古株。
四肢の不自由又は欠損を補うための義手・義足製造メーカーとしても名をはせており、設立当初から常に技術進歩に注力し続けている。
完成間近となった新技術を兵器に活用したいと秘密裏に活動していたコロニー連合政府より要望を受けるも、主義に反するとして拒否をする。
しかし、『【179】の惨劇』の後に考えを改め、早急な世界連盟政府の打倒を条件に新技術『思考投影機構(МPS)』を提供した。
「技術関連」
・『ARP』
⇒世界連盟政府が新展歴(V.M)180年ごろより使用し始めた粒子兵器。
Anti
Radar
Particle
上記の単語の頭文字をとった略称で呼称される。(ARP⇒えー あーる ぴー)
かねてより世界連盟政府は鎮圧行動時にも使用可能な電波阻害兵器の開発に着手しており、委託開発先の科学者によって新たに生み出されたのが『ARP』だった。
主に濃縮したARPを弾頭に搭載し、目標地点にて爆散させることで対象地域に探知妨害を引き起こすといった性能をもっている。
人体に害がないこと、散布後に可能な限り早期に無害化して日常生活に支障を出さないこと。その両方の条件を満たしたARPは、主に治安維持軍の鎮圧行動で多用されることとなった。
開発及び兵器化に長期間かかったものの、生産コストは低いために一部に技術が流出し、ある程度設備が整っているテロリストにも活用されるなど、問題も発生してしまっている。
・戦術機動兵装【TMA】
⇒コロニー連合政府の援助の下、NA・Eが完成させた有人人型機動兵器。
Tactical
Maneuvers
Armament
上記の単語の頭文字をとった略称で呼称される。(TMA⇒てぃ えむ えー)
世界連盟政府との戦いに際し、コロニー連合政府はより確実な勝利を得るために数種の新兵器開発を複数の企業に密かに依頼していた。そのうちの一つがNA・Eが任された有人人型兵装だった。
開発当初は人体に装着していく全高2mほどの強化外骨格のような形状であったが、コロニー連合政府からの「単騎でも戦艦を相手にできる兵器にしてほしい」と要望を受け、巨大な人型の形をとることとなった。
戦艦を相手取るための兵装の運用を考慮した結果全高は20mに達し、巨大化に伴いコスト面から強化外骨格用の人工筋繊維は使用できなる等、強化外骨格と同じ運用は不可能なものとなった。
機体構想は早期の段階で出来上がったが、これほどの大きさを制御するためには操縦桿や操作パネルだけでは到底足らないとの結論に至る。
実戦情報もないためにAIを搭載して稼働させるわけにはいかず、ARP散布化では電波が途絶するため無線運用は不可能。こうした原因から開発中止の決断が下されようとした直前に、社内所属技術者を通して得られた情報が流れを変えた。
その情報こそがエウメニデスの『思考投影機構(МPS)』。この技術を加えることで機体駆動と制御に関する諸問題をクリアし、【TMA】は正式な兵装として採用される。
新展歴(V.M)249年3月における治安維持軍との本格的な武力衝突の際に量産型である【M・TMA-04 コアⅡ】が投入され、想定を上回る戦果を挙げることとなった。
以降、続々と新機体が開発・製造され、コロニー連合軍の戦術の中核を担う兵器となっていった。
・【M・TMA】
⇒量産が決定した【TMA】に割り振られた型式。
Mass production type
・
Tactical
Maneuvers
Armament
上記の単語の頭文字をとった略称で呼称される。(M・TMA⇒えむ・てぃ えむ えー)
(読み例)
【M・TMA-04 コアⅡ】
↓
【えむ・てぃ えむ えー ぜろ よん こあ つー】
・【PA】
⇒試作兵装に割り振られた型式。
Prototype
Armament
上記の単語の頭文字をとった略称で呼称される。(PA⇒ぴぃ えー)
(読み例)
【PA-08 ハーミット】
↓
【ぴぃ えー ぜろ はち はーみっと】
・『思考投影機構(МPS)』
⇒エウメニデス・メディカルプロダクツが開発した新技術。
Mind
Projection
System
上記の単語の頭文字をとった略称で呼称される。(MPS⇒えむ ぴー えす)
【TMA】の制御機構に取り入れられたことで世に知れ渡ったが、元は義手・義足の運用のために開発された医療技術だった。
生身の手足と遜色なく義手・義足を稼働させるため、脳と人体接続物を遠隔接続し、駆動制御を行う。
接続の前に接続物に使用者の脳波等の情報を登録する手間はあるが、設定を終えれば快適な生活が約束される。
脳及び人体への負荷を日常生活に支障が出ない程にまで抑えた本技術は、エウメニデスの長年の努力の結晶ともいえる。
医療現場にも提供されて好評を得る一方、軍事転用を許諾したことと、身体欠損者が再び戦場に戻る機会を与えてしまったことで賛否両論の技術となってしまった。




