09 スキルを習得するぜ!
山賊たちをぶっ殺した後、アナベルと一緒に彼らがアジトにしていた洞窟の中を物色する。
まあ物色するっつっても、オレはチェーンソーでアナベルは人形だから、金目のもんとか食いもんとかは別に要らねえんだけどな。
「……あった。これが魔石燃料」
「ギュインギュイン!(キラキラしてて宝石みたいだぜ!)」
アナベルが洞窟の中から持ち出したのは、大根を輪切りにしたような形のキラキラした結晶だった。
イメージ的にはこの世界で使われてるおっきな電池って感じだな。
「今のわたしは、駆動制御の枷がなくなったから自動でエネルギーをチャージ出来る。でも、場所や時間によって出来ないこともあるから予備でコレを持っておく」
「ブォンブォン!(予備電源は大事だよな!)」
予備電源があれば停電とかしても多分大丈夫だしな。
魔石燃料、備えあれば憂いなしだぜ!
「(そういえば、さっきの戦闘で伐採ポイントが結構貯まった気がするな……)」
アナベルが魔石燃料を回収している間に『BS-SYSTEM』を起動して貯まったポイントを確認する。
【伐採スキルシステム起動】
・名称:チェーンソー/ヤイバ
・装備者:自律式駆動人形/アナベル
・エネルギー残量:48%
・必殺技:キックバックLv2[-5%]
・伐採ポイント:165BP
・習得スキル:自律駆動、言語理解
・習得可能スキル:自律駆動Lv2[100BP]、ソーラーチャージ[100BP]、エコモード[150BP]、軽量化[150P]、ボイス機能[200BP]、視界拡張[300BP]
「(お、100BP超えてるじゃん! これなら習得できるスキルがあるぞ!)」
っていうか、なんか装備者の項目が増えてるじゃねえか!
山賊どもと戦う時にアナベルが装備してくれたからか?
まあそこはとりあえずいいとして、現在習得可能なスキルで165BP以内だと……
自律駆動Lv2、ソーラーチャージ、エコモード、軽量化ってところか。
とりあえず最優先で習得したいのはエネルギー補給系だよなあ。
「(よし、ソーラーチャージを習得するぜ!)」
画面を操作して、習得可能スキルからソーラーチャージを選択して……
ちなみにこの画面操作は脳波っつーか感覚っつーか、目力みたいなやつで動かしてるぜ!
【100BPを消費して『ソーラーチャージ』を習得しますか?】
「ブォン!(習得するぜ!)」
【習得済みのスキルに『ソーラーチャージ』が追加されました】
よっしゃ、これでオレもアナベルみたいに自動でチャージができるぜ!
「(アナベルに回復させてもらったエネルギーも山賊との戦闘で半分切っちまってるし、早速チャージを……)」
…………。
「ブォンブォン! プシュ~……!!(って、いま夜じゃん! ソーラーチャージできねえじゃんか~!!)」
「……ぎゅいぎゅい、どうしたの?」
結局、日が出てないと意味ねえスキルだなこれ……まあこればっかりは仕方ねえか。
明日の朝になるまで大人しくしてるしかねえな。
「(チャージ出来ないって考えたら急にひもじい気持ちになってきたぜ……これがチェーンソーとして腹が減ってる的な感覚なのか?)」
とりあえずソーラーチャージのスキルは習得できたわけだし、朝になればちゃんとエネルギーをチャージできるはず。
山賊も全員ぶっ倒したし、今夜くらいは安全に過ごせそうだ。
「ぎゅいぎゅい?」
「ブォン……ドッ、ドッ……ド……」
「……エネルギーはまだ大丈夫。いっぱい頑張ってくれたから、お疲れ?」
「……プシュー」
「それじゃあ、朝になるまで少し休もう」
魔石燃料を回収したアナベルは、万が一魔物が来ても良いように洞窟の陰に隠れた。
返り血で汚れた自分自身とオレのボディを濡れた布で拭いて、オレを胸に抱きしめたまま座り込んだ。
「おやすみ、ぎゅいぎゅい……助けてくれて、ありがとう」
ちゅっ。
「(ん……なにか、温かい、感触が……)」
…………。
こうして異世界転生でチェーンソーになってしまったオレは、怒涛の1日目をなんとか乗り越え、アナベルと一緒に穏やかな眠りに就くのであった。




