10 冒険の始まりだぜ!
……。
…………。
【強力な光エネルギーを感知。ソーラーチャージを開始します】
「(ん……なんか眩しいな……)」
山賊たちを殲滅してからしばらく洞窟の中でボーっとしていたところ、急に視界が眩しくなって意識が覚醒する。
洞窟の入り口が光っていてすごく眩しい。
もしかして、朝日が差し込んできてるのか……?
「ブォン、ドッドッド……(眩しいけど、温かくて元気が出る光だな……)」
「……あ、起きた。おはよう、ぎゅいぎゅい」
「ギュイギュイン!(おはようアナベル!)」
異世界転生2日目。待ちに待った朝がやってきたぜ。
チェーンソーの画面上には太陽みたいなマークと『エネルギーチャージ中』の表示が出ていて、昨日習得したソーラーチャージのスキルが発動している事が分かった。
これでなんとか生きていけそうだぜ!
「ぎゅいぎゅいのエネルギーが自動でチャージされてる……日が出ている間は回復できるのかな?」
「ブォォオン!(正解だぜアナベル!)」
エンジンをフカしてアナベルに返事をする。
オレがなんて言ってるのかアナベルには分からないだろうけど、なんとなくのニュアンスで理解してくれている感じもするぜ。
「……今日から、わたしは自由。ぎゅいぎゅいのおかげ」
「ブォォン! ギュインギュイーン!(そうと決まれば、こんな薄暗い洞窟を出て外の世界に旅立とうぜ!)」
洞窟の中から必要な物資のみを回収したアナベルは、荷物を背負って両手でオレを抱え、洞窟の外に移動する。
するとそこには……食い散らかされた山賊たちの残骸が放置されていた。
「昨日の夜、ミッドウルフの群れが血の匂いを嗅ぎ付けてやってきた」
「ブォオン……ドッドッドッド(そうだったのか……そりゃあさぞかし豪華なディナーになっただろうな)」
どうやら昨日の夜、オレが低エネルギーでボーっとしてる間にモンスターがやってきて山賊の死体を食ってくれたらしい。
まさに天然のゴミ処理業者だぜ。
「これから、どうしようかな」
洞窟を出たアナベルは、朝日を眺めながらそんなセリフを呟いた。
今まで暮らしていたお屋敷は山賊どもに襲撃されて燃やされちまったみたいだし、人間じゃないから実家に帰省するとかもできねえのか……なんだか可哀想だぜ。
「ブォンブォン、ギュインギュイーン!(オレもこっちの世界じゃあ天涯孤独だし、一緒に冒険しようぜ!)」
「ぎゅいぎゅい……うん、そうだね。もしかしたらお屋敷の人たちの生き残りがいるかも。わたしが暮らしてたお屋敷のある街がどこにあるのかも分からないけど、とりあえず森を出て近くの集落を探そう」
オレのエンジン音を励ましと受け取ってくれたアナベルは、一旦の目的地を決めたみたいだ。
まずは今いる森を出て、山賊とかじゃない“ちゃんとした”人が住んでる村なり集落なりを探す。
「(とはいえ、山賊の稼ぎは他人の物を奪うことだ。そう考えたら人気がまったくない所には潜伏しないはず……)」
街は無くとも、人通りの多い道くらいは森の外にありそうな気がするぜ。
ガサッ! ガサガサッ!
「グルルルルル……」
「ヘッヘッヘ……!」
「ドッドッドッド……!(なんか出て来たぜ……!)」
アナベルに抱えられたまま森の中を移動していると、中型犬くらいのモンスターが数匹現れる。
「……あれがミッドウルフ。わたしとぎゅいぎゅいに付着した返り血の匂いに反応してる。昨日の夜に山賊を食べてた個体とは別のヤツら」
「(山賊を食ったオオカミどもの仲間か……)」
昨日の夜現れたミッドウルフは山賊どもを食って満足し、オレたちに付着した血の匂いをスルーしたのかもしれない。
朝になって空腹の仲間に洞窟の場所を教えて、ソイツらがオレたちの後を追ってきた……そんなところか。
「わたしたちは人じゃないから食べられないよ」
「ガルルルルルル……!」
「ブォンブォオン(腹が減ってそれどころじゃないみたいだぜ)」
「こうなったら、やるしかないか」
「ギュイイイイイイイイイン!(朝から伐採ポイントの稼ぎ時だぜ!)」
ソーラーチャージでエネルギーも回復したし……いっちょ、オオカミ狩りといきますか!




