06 山賊のアジトに来ちゃったぜ!
「(エネルギー残量、55%か……アナベルのおかげでだいぶ回復したぜ)」
ゴブリンたちを追い払った後、アナベルという女の子に出会ったオレは、彼女が暮らす村に連れて行ってもらえることになった。
アナベルは自分のことを『自立式駆動人形』だと説明してくれて、自分のエネルギーの一部をオレに分けてチャージしてくれたらしい。
いやあ、それにしても異世界ってすげーな!
普通の人間みたいに動いて喋る人形がいるんだな!
「ブォン、ギュイイイン(アナベル、重くないかー?)」
「なんて言ってるか、分からない」
くっそ~、やっぱ言葉が話せないのはつれえな~。
一応『言語理解』っていうスキルは最初から持ってるおかげなのか、アナベルの言ってる言葉は分かるんだけど、オレはエンジン音と駆動音しか出せないからなあ。
そういえば『ボイス機能』っていうスキルがあったから、それを習得したら喋れるようになるんかな?
「(それにしても、アナベルは見かけによらずめっちゃ力持ちだぜ)」
大の大人でもそれなりに重く感じるチェーンソーを両手で抱えながら、しっかりとした足取りで道悪の森を歩くアナベル。
見た目はかなり華奢な女の子に見えるが、これだけパワフルに動けるということはやはりその辺りが強化された魔法の人形とかなのかもしれないぜ。
「……ぎゅいぎゅいにエネルギー分けちゃったから、怒られるかも」
「ギュインギュイン?(お前のご主人様にか?)」
「本当はあそこに、戻りたくない……でも、戻らないといけない」
どうやら、アナベルは村であんまりいい扱いを受けてないっぽいな……
人間じゃないから仕方ないのかもしれねえが、ちょっと可哀想だぜ。
「ブォンブォンブォン! ギュインギュイイイイイイイン!(いざとなったらオレが村人をぶっ殺してやるぜ! そしたら伐採ポイントも稼ぎ放題だぜ!)」
「ふふ……なんて言ってるか分からないけど、ありがと」
……。
…………。
「到着。ここがわたしの住んでる場所」
アナベルに連れられてしばらく森の中を進んで行くと、崖下に空いた洞窟らしき場所に到着する。
中に入ると、ボロボロの服を着た髭もじゃの男たちが数人、水を飲んだり葉巻を吸ったりしていた。
水っていうか、ありゃあ多分酒だな……匂いを感じる機能が無いせいで分からんが、明らかに酔っ払っている。
「(村っつーか、山賊のアジトじゃねえか?)」
洞窟の中はまあまあ広く、ランタンの明かりがあるにはあるがだいぶ薄暗い。
見た感じかなり散らかっていて、誰かから奪ってきたお宝っぽいものも無造作に置かれていた。
「おうクソ人形、薪は集めてきたんだろうなあ?」
「薪はまだ集めてない。ゴブリンの死骸があったから引き返してきた」
「あぁ!? ゴブリンだあ!? そんなんで戻ってくんじゃねーよ!」
「薪拾いしてこいって言ったよなあ!? そんな簡単なこともできねえのかこのポンコツはよお!」
「でも、ゴブリンは危険だから見かけたらすぐ知らせろと言っていた」
「うるせえ! 奴隷人形がオイラたちに口答えするんじゃねえ!」
な、なんだコイツら!
アナベルを奴隷扱いしてやがんのか!?
許せねえよオレ!
「ブォンブォンブォオオオオオオオンッ!!」
「オイなんだそれ……見たことねえ武器だな」
「お前が拾って来たのか?」
「この子はぎゅいぎゅい。多分、この子がゴブリンを殺した」
アナベルがオレと出会った時の状況と持ち帰った経緯を説明する。
すると、自分のエネルギーをオレに分けたという話のところで山賊たちがブチギレ出した。
「おいクソ人形! 何勝手にエネルギー分けてんだよ!」
「テメエを生かしてる貴重な“魔石燃料”は誰に貰ってるモノか分かってんのかあ!?」
「……それなら“駆動制御の枷”を外してほしい。わたしは魔石燃料無しでも動ける」
「口答えすんなって言ってんだろ!」
ガンッ!!
「(この髭もじゃ、アナベルを蹴りやがった!)」
「痛って~……!」
「わたしのボディは頑強な素材で出来ている」
「うるせー!」
アナベルを蹴った山賊の男が足を押さえてうずくまる。
どうやら彼女は装甲ボディで出来ているらしい。
「(それにしても、こんな所でこんなヤツらと生活とか流石に劣悪すぎるぜ)」
なんとかして、アナベルを助けられたらいいんだけどな……




