05 美少女が助けてくれたぜ!
ギュイイイイン……カチッ。プシュー……
「(……よし、一丁上がりだぜ)」
ゴブリンに襲われたオレは、チェーンソーの必殺技『キックバック』を発動し、暴れまわりながら鎖刃を振り回した。
その結果、何匹かのゴブリンをブチ殺すことに成功し、それを見た仲間のゴブリンたちはどこかへと逃げていった。
「(視界が返り血で青緑色に染まってるぜ……誰か拭いてくれねえかな)」
ゴブリンを追い払ったオレは、体力温存のために駆動をなるべく最小限にすることにした。
必殺技を使ったり、ゴブリンから受けたダメージでかなりエネルギーを消耗してしまったのだ。
「(伐採ポイントはまあまあ貯まったけど、まだ100BPには届かねえ、な……)」
エネルギー残量が少ないせいか、急激に眠気のようなものが襲ってくる。
オレが使ってたチェーンソーも、使い終わった後はこんな気持ちだったのかな。
「(あ、ダメだ……なんか意識が……)」
オレの作戦では、こうやって体力を温存している間にまた別のモンスターに襲われるのを待って、そしたらそのモンスターを倒して伐採ポイントを稼ぐ。
それを繰り返してなんとか100BPを貯めて、ソーラーチャージのスキルを習得する。
これで体力回復ができるようになるはずだ。
「(なんとか、夜になる前に……回復、しねえ……と……)」
……。
…………。
ザッ、ザッ……
「ゴブリン、死んでる。それに、見たことない武器」
「…………」
「動力源機構が内臓されてる。あなた、ただの武器じゃない。今は……エネルギー切れ? 動力源を切って温存中? ゴブリンはあなたが殺った?」
「…………」
「それなら、わたしのエネルギーを少し分けてあげる」
ガチャッ、カチャカチャ。キュインキュインキュイン……
【エネルギーチャージ確認! +30%】
「(え……?)」
エネルギー不足でボーっとしていたオレの画面にポップアップ通知が表示される。
その通知には、オレのエネルギーがチャージされたことがお知らせされていた。
「ブォン、ドッドッドッド……?(なんだ? なんで回復したんだ?)」
「……あ、起きた」
「(えっ?)」
ゴブリンの返り血で染まる画面の先で、1人の女の子がこちらを覗き込んでいるのが見えた。
もしかして、この子が充電してくれたのか?
「ギュイイイインッ! ブォンブォン!(ありがとな見知らぬ少女! 返り血であんまよく見えねえけど!)」
「あなた、名前は?」
「ギュイン! ギュインギュイイイイインッ!(オレはヤイバ! チェーンソーのヤイバだぜ!)」
「ぎゅいんぎゅいん……ぎゅいぎゅい?」
「ギュイイイイイイインッ!(違うけどそれでいいぜ!)」
まさか、オレみたいな得体の知れない血まみれ武器を助けてくれる人がいるなんてなあ。
異世界も捨てたもんじゃないぜ!
「わたしはラガティーメイデンNo.001、自律式駆動人形アナベル。よろしくね、ぎゅいぎゅい」
「ドッドッドッド、ブォン! ブォン!(ちょっと何言ってるか半分くらい分からなかったが、よろしくな! アナベル!)」
自立式駆動人形アナベル……つまり、この子は人間じゃねえってことか?
見た目も声も全然普通に人間と変わらない気がするぜ。
「これだけゴブリンの死体があるということは、他にもたくさんいるはず。戻って報告しないと」
戻って報告……なるほど、この辺に彼女の住んでる集落的なのがあるんだな。
でもアナベルは人形なんだよな? もしかして人形の村か?
それはちょっとホラーな感じだぜ。
「ぎゅいぎゅいも村に来てくれる? あなたがゴブリンを倒したのなら、とても心強い」
「ブォン! ギュインギュイイイイイン!(おういいぜ! 回復させてくれたお礼もしたいしな!)」
っつーわけで、オレは謎の美少女人形アナベルに連れられて異世界の村に行くことになった。
いやー、エネルギー切れになる前に人里に行けそうで良かったぜ!




