59 デイルタッカーシティにやってきたぜ!
「うわ~! おっきい街だね~!」
「今度は山じゃなくて、大穴?」
「キュインキュイン!(でっかい窪みの中に街があるぜ!)」
街道沿いの沼地付近で捕獲隊の男たちをぶち殺した後、オレたちは沼地の横を伸びる南の街道をまっすぐ歩いていった。
そのまましばらく進んで行くと、巨大な隕石が落ちた跡に似た、ドでかいクレーターが出現する。
そして、このクレーターこそがオレたちの目的地……ハワラタシティの南にある『デイルタッカーシティ』だ。
「……あなのなか、おうちいっぱい」
「この窪み全体が街になってるんだね~」
「雨が降ったら、水没しそう」
「トットットット……(さすがにそこは上手いこと水が掃けるようになってんじゃねえかな……)」
街の入り口に向かうと、長い槍を構えた男たちが検問をやっていた。
でかい街なだけあって、警備ギルドもしっかりしているっぽいな。
「こんにちは~」
「街に入りたい。手続きは必要?」
「見ない連中だな……他の街からの犯罪追放リストに顔と名前がないかだけ調べる」
なるほど、そういうブラックリスト的なやつが出回ってんのか……
ということは、ハワラタシティで追放されたスコッツやマッシュみたいなのは他の街に入ることもできず、野垂れ死ぬか無法者の賊として生きるしかないんだろうな。
……まあ、アイツらに関しては野垂れ死ぬ前にオレたちが終わらせてやったけどよ。
魔物に襲われて生きたまま食い殺されるよりはマシな死に方だったんじゃねえかな。知らんけど。
「はいは~い。ボクはベニーだよ~」
「アナベル。こっちはぎゅいぎゅい」
「……チャウンシー」
「ベニーにアナベル。ぎゅいぎゅいに、チャウンシー……ん? ぎゅいぎゅいってのはどいつだ?」
「ぎゅいぎゅいはこの子だよ~」
「キュインキュイン!(オレだぜ!)」
「ああ、魔道具に名前付けてんのか。了解」
アナベルの胸元で元気に返事をするオレ。
魔物を討伐したり捕獲隊の男をぶっ殺したりして体力がヤバいのでエコモードになってるぜ。
「――よし、全員リストには載っていないな。入場を許可する。自由と夢と大穴の街・デイルタッカーシティへようこそ」
……。
…………。
「うーん、おなかいっぱい! アナベルごちそうさま~!」
「……ごちそ、さま」
「エネルギーが回復できたなら、良かった」
「キュインキュイ~ン(オレもメシを食ってみたいぜ~)」
デイルタッカーシティに入ったオレたちは、とりあえず近くの食堂で腹ごしらえをした。
まあ、腹ごしらえと言ってもオレとアナベルは食事ができないので、エネルギーをチャージしつつベニーとチャウンシーが美味そうに食事を平らげるのを見てただけなんだが。
いっぱい食べる女の子、良いと思うぜ。
「ボクもチャウンシーも、お金ないから助かっちゃったよ~。どっかで稼いで返さないとだね!」
「気にしなくていい。でも、お金は稼ぎたい」
「プロロロロロン(後で冒険者ギルドにでも行こうぜ!)」
そんな感じで腹を満たした後に、今日の寝床でも探そうと街をプラプラ歩いていた時だった。
「……ここ。この、さき」
「チャウンシー? どったの?」
「……こえ、きこえる」
いきなり人気のなさそうな路地を覗き込んだチャウンシーが、路地の先から誰かの声が聞こえるという。
オレたちには何も聞こえないが……
「……こえ、たすけてって、いってる」
「マジ!? なんか事件っぽいじゃん!」
チャウンシーが聞いたという助けを求める声。
そんなのを知っちまったら、さすがに黙ってスルーはできないぜ!
「……こえ、よわくなってる」
「よし、急いで助けに行こう」
「お助け人魔人間が今向かうよ~!」
「プォン! ポッポッポッポ!(よっしゃ! ヒーローチャンスだぜ!)」
…………。
「プォン、キュインキュイイイイン(それより先に、まずはエコモードを解除しないとだぜ)」




