56 愛が重いぜ!
「チャウっち、とりま話聞かせてよ~。なんで博士殺っちゃったの? てか爆発したのになんで生きてんの?」
「ギュインギュイン(めちゃめちゃ軽い感じで聞くじゃんよ)」
無事に人の姿に戻ることができたチャウンシーに、ここまでの出来事を聞くベニー。
オレたちがベニーから聞いてた話だと、人魔人間の研究所でチャウンシーがレザーフェイス博士をぶっ殺した後に爆発したってことだったんだが……
「……はかせ、けっこんしてた」
「あ~なるほどね~! おっけ~理解理解!」
「わたし、なにも理解できてない」
「ギュロロロロン!?(どういうことなんだぜ!?)」
レザーフェイス博士が結婚してたからぶっ殺した……?
なんなんだそれ、意味わかんないぜ!
「チャウっちはね、博士のことが好きだったんだよ」
「……はかせ、すきだった」
「なるほど……理解した」
「ギュオンギュオン!?(アナベルまで理解してるぜ!?)」
チャウンシーはレザーフェイス博士のことが好き……まあそこは分かった。
そんでもって、そんなチャウンシーの想い人のレザーフェイス博士には結婚相手がいた……だからぶっ殺した。
どういうことだってばよ!?
「__セツメイ」
「ぎゅいぎゅいは、まだ分かってないみたい」
「そっか~。じゃあボクが解説してあげるね」
「(頼むぜベニー。オレにも分かるように解説してくれ)」
「好きな人に奥さんがいたってことは、チャウっちはもうレザーフェイス博士とは両想いになれないの。それなら博士を殺して自分だけのモノにしちゃったほうがいいよね?」
「(いいよね? って言われてもよ……)」
死んじゃったらもう会って話すこともできないじゃねえか。
それなら博士が将来何らかの理由で奥さんと離婚して、アタックし続けたチャウンシーを好きになって再婚ルートのほうがワンチャンあるんじゃねえかなあ。
「……はかせ、しぬとき。まほうつかった。ウチ、ばくはつ」
「レザーフェイス博士が死ぬ間際に、チャウっちに爆発する魔法をかけたってこと? それで爆発したんだ~」
「……へんしんして、ばくはつ。ギリたえた」
「メタモルフォルムに変身して耐久をアップさせて、爆発を耐えた……なるほど、理解」
「ブロロロロン(さすがに修羅場すぎるぜ)」
人魔人間には自己再生能力があるので、爆発して死にかけたけどなんとか回復したってわけか。
で、ベニーと同じように研究所を出て彷徨って、この沼地で旅人や動物を襲って暮らしていたと。
うーん、波乱万丈な人魔人生だぜ。
「チャウっち、色々話してくれてありがとね~。チャウっちのやったことは悪い事かもしれないけど、ボクは自由になったから感謝だよ」
「ベニーは、研究所が嫌だったの?」
「うん! だって痛い実験ばっかりしてくるし、やめてって言っても博士の命令は絶対だったから」
「……はかせ、ウチ、きりきざんだ」
「あ~チャウっちはよく切り刻まれてたよね~」
「ドッドッドッド……(その状況でレザーフェイス博士を好きになるのはよく分かんねえなあ……)」
そういうの、もしかしてストックホルム症候群ってやつじゃねえか?
誘拐犯を好きになっちまうみたいな……
まあ、最終的に愛が重くなりすぎてぶっ殺されてたんじゃ世話ねえけどよ。
「そういえば、ベニーもメタモルフォルムになれるの?」
「なれるよ~。なになにアナっち、ボクのメタモルフォルム見てみたいの?」
「ギュィイイン!(見てみたいぜ!)」
「ぎゅいぎゅいが、見てみたいって言ってる」
「しょうがないな~。じゃあちょっとだけね?」
ベニーはそう言うと、懐から木の枝みたいなものを取り出した。
「いただきまーす。ポリポリ……んっ!」
バキッボキッゴリゴリ……ババーンッ!
「ウサウサウサ~!」
「わあ、本当に変身した……!」
「ブロロロロロロロン!(ベニーがウサギになっちゃったぜ!)」
謎の木の枝を食べたベニーの体がバキボキと音を立てて変身……というか、変形を始める。
変身が終わったベニーは、両手の先に長い鎌のような爪を持ったウサギの魔物になっていた。




