55 チャウンシーを助けるぜ!
「チャウっちどう? 落ち着いた?」
「モグモグ……ヴォアア……」
「ごはん食べたら落ち着ついたっぽいよ~」
「わかった。今のうちに体を調べる」
「ブォンブォン!(やっぱ空腹だとイライラするもんな!)」
メタモルフォルムの変身が解けないせいで暴走していた人魔人間のチャウンシーに、その辺の草むらで狩ってきたルークワームを食べさせる。
食欲が満たされて少し落ち着いてきたようで、その隙にアナベルとベニーがチャウンシーの体を調べて変身が解けなくなった原因を探ることに。
「ん……背中になにか、刺さってる」
「ほんとだ! これは~……なんだろ?」
どうやらアナベルとベニーがチャウンシーの背中に謎の物体が刺さっているのを発見したらしい。
それがメタモルフォルムの変身が解けない原因かもしれねえな。
「ここからすごい魔力を感じる……でも、魔石燃料とはちょっと違う」
「とりあえず取ってみよっか。チャウっち~! ちょっと痛いかも~!」
「ヴォァ?」
「ドッドッドッド(背中に刺さってるヤツを抜くんだってよ)」
麻酔も無しで異物の摘出か~……オレだったら怖くて気絶しちまうかもな。
「それじゃあアナっち、いくよ~」
「せーの……」
「お~えす! お~えす!」
…………。
「全然抜けないね~」
「馬力が足りない」
「ヴォォア……モグモグ」
チャウンシーの背中にぶっ刺さってるヤツ、アナベルとベニーの力だけじゃ抜けないっぽいな。
それにしても、本人は呑気にルークワーム食ってるけど痛くねえのかな。
「ぎゅいぎゅい、手伝ってほしい」
「ぎゅいっちヘルプミ~!」
「ギュイイイン!(任されたぜ!)」
っつーわけで、今度はオレも一緒に引っ張ることになったぜ。
とはいえオレには手も足も無いからそのままじゃ引っ張れないので、チャウンシーの背中に刺さってる物体にロープを括りつけて、オレのボディに固定する。
そんでもってオレは後ろに向かって爆走するという作戦だ。
「(なんつーか、車の牽引みたいだな)」
雪にハマってスタックした車とか引っ張る動画好きなんだよな。
軽トラとか、意外とデカい車引っ張れるよなあ。
「それじゃあ行くよ~! せ~のっ!」
「おーえす、おーえす」
「ブロロロン! ブロロロロン!(オーエスだぜ! オーエスだぜ!)」
ズッ……ズズッ……
「モグモグ……ヴォァ?」
ズズッ……ズズズッ……! スッポオオオオンッ!!
「やった~抜けたよチャウっち~!」
「さすがぎゅいぎゅい。馬力が違うね」
「ブロロロロン!(良いエンジン積んでるぜ!)」
チャウンシーの背中にぶっ刺さった異物に括り付けたロープを全員で綱引きみたいに引っ張ると、スポンッ! とナニかが抜ける音がした。
なんか、昔こういうシーンを映画で見たことあるな……引っ張ったらドロドロのチャリが出てくるやつ。
「ゥ……ヴォ、ァアアア……!」
バキッ、ボコッ……グチャグチョッ!!
「……ぅお? もどった?」
「チャウっちの変身が解けた~!」
チャウンシーの背中に刺さっていた物体を引っこ抜いた途端、ドロドロで毛むくじゃらのゾンビみたいな体がバキボコと変形しはじめて、最終的に女の子の姿になった。
「……べにー、おひさ」
「おひさじゃないよも~! でもチャウっちが無事でよかった~!」
「あなたがチャウンシーの、いつもの姿?」
「ブォンブォオン……ギュイイイイン!(たしかに人の姿になったけど……めっちゃでかいぜ!)」
変身が解けたチャウンシーの姿は、身長がかなり高い女の子だった。
多分、180……いや、190cmは超えてると思う。
アナベルがかなり小柄だから、横に並ぶと差が凄い。
「……たすかった、さんくす。うち、なまえ……ちゃうんしー」
「わたしは自律式駆動人形のアナベル。よろしく、チャウンシー」
「ギュインギュイン!(オレはぎゅいぎゅいだぜ!)」
こうして、オレたちの仲間がまた1人増えたぜ!




