50 街道脇は危険が危ないぜ!
「あ、道が分かれてるね~」
「ここから先が、行商人のおじさんが言っていた所」
デイルタッカーシティを目指して南の街道を歩いて行くオレたち。
そのまましばらく進んで行くと、直進する道と斜め左に向かって伸びている分かれ道に到着した。
「(直進したほうが近道だけど、危険な魔物が潜んでいる可能性が高いんだよな……)」
旅の途中で会った行商人のオッサンたちから聞いていた情報通りだとすると、直進した先にある沼地にゾンビみたいな魔物が潜んでいて、通りがかった旅人や馬車などを襲っているらしい。
っつーわけで、安全をとるなら少し遠回りになるけど南東方面……つまり斜め左に向かって伸びている道に進んだ方が良いとのこと。
「ギュインギュイン!(でもオレたちは直進ストレートを選ぶぜ!)」
「まっすぐ行こう~」
「魔物を倒して、安全な道にする」
魔物が出たらぶっ殺せばいいし、賊が出てもぶっ殺せばいい。
ドンドン倒して伐採ポイントを稼いでやるぜ!
……。
…………。
「あ、沼が見えてきたね~」
「あそこが、危険地帯」
分かれ道を直進して更にしばらく進んで行くと、岩と草木に囲まれた小さな沼地が見えてくる。
オレたちが歩いている街道はその沼地の横に続いていて、このまま進んで行けばあの沼地にたどり着いてしまう。
「てかさてかさ~。あの沼の近くに行ったら街道を外れて少し避ける感じで歩いてけば襲われなくな~い?」
「ブォン、ギュルルルルン(む、それはたしかにそうかもって気がするぜ)」
ゲームとかでも道を塞ぐようにモンスターがいて、迂回するかソイツを倒さないと進めない……みたいなのがあるけど、冷静に考えたらちょっと街道から逸れて進めば気付かれずに行けるんじゃね? って思っちまうよな。
実際この辺りは平原地帯が多いし、川に架かってる橋を渡るわけでも、街道の周りが岩で覆われてそこしか進めないっつーわけでもないわけだし。
「馬車は整備された街道じゃないと進めない」
「なるほどね~。でもでも、ボクたちは馬車に乗ってないし~、ちょっと道から外れても歩きにくいだけじゃないかな~?」
「ブロロロロロン(ベニーの言うことも一理あるぜ)」
「そうとも限らない」
アナベルはそう言うと、街道に落ちていた石ころを適当に1つ選んで拾い上げる。
「魔力サーチ、起動……うん、やっぱりいる」
「ブォン?(アナベル?)」
「何がいるのさ~?」
「道を外れた獲物を待ち構える、魔物」
自律式駆動人形としての機能を使って周囲をサーチするアナベル。
その後、手に持っていた石を街道脇の茂みに投げ込んだ。
ポイッ……トスッ。
ズボッ!! シュババババババババッ!!
「(……えっ?)」
「な、なになに!? 何が起きたの~!?」
アナベルが投げた石が茂みの中に落下した辺りから、物凄い勢いで太い木の根のようなものが伸びてきた。
「あれは『ルークワーム』の一種、だと思う。地面に潜んでいて、近くの震動を感知して襲いかかってくる」
「ウニョウニョで気持ち悪いね~っ」
アナベルが投げた石に反応して飛び出してきたルークワームは、しばらくウニョウニョと身体を動かしてから獲物がいないことを確認し、再び茂みの奥に姿を消した。
あんなのが地面の中にいるんじゃ、ちょっと街道避けて移動しようってわけにもいかないわな……
「(いや、待てよ? 震動に反応して飛び出してくる魔物か……)」
これ、意外と伐採ポイント稼ぎに使えるんじゃね?
ギュイン……ギュロロロロロン……
「ぎゅいぎゅい? どうしたの?」
「いきなりエンジンフカしはじめたね~」
「(済まねえなアナベル、ベニー! ちょいと道草食って来るぜ!)」
ギュインギュイイイイン……ブロロロロロロロロン!!
「ぎゅいぎゅいが、茂みに向かって走って行っちゃった」
「ぎゅいっち~そっちは道じゃないよ~!」
「ギュロロロロロロオオオオン!!」
草むらに潜む魔物狩りの時間だぜ~!!




