48 街道の行商人だぜ!
「わ~すごいね~。昨日は青色だったけど、今日は灰色だね~」
「昨日は晴れだった。今日は曇り」
「プロロロロロン……!(ソーラーチャージの効率が悪いぜ~……!)」
曇り空の下、3人で南に向かって街道を進んで行く。
今日は天気が悪くてソーラーチャージの回復速度が遅いから、エコモードの小さいボディに切り換えている。
この小ささなら自走してても体力がほとんど減らないぜ!
「……ん~? ねえねえ、あそこに誰かいるよ~」
「大きな馬車が2台……もしかして、また泥にハマってる?」
「キュィイイイイイン(そういうわけでもないみたいだぜ)」
街道の脇にトレーラーハウスみたいな大型の馬車が2台停まっていて、何やら色々と展開している。
これはもしかして、路上販売ってやつじゃないか?
「おう、そこの旅人のお嬢ちゃんたち……って、アンデッドだー!?」
「こんな真昼間の街道に!?」
「おい聖水の在庫あったか!?」
「アンデッドじゃないよ~人魔人間だよ~」
ツギハギ肌のベニーを見た馬車の御者たちが、彼女をアンデッド系の魔物と勘違いして慌てている。
売り物の中からアンデッドに効果がありそうなアイテムを探しているが、多分それ使ってもベニーには効かないぜ。
「ベニーは魔物じゃない。あなたたちも襲わない」
「そうだよそうだよ~。仲良くしようよ~」
「プロロロロロロン!(一期一会の出会いに感謝だぜ!)」
まあ、魔物じゃないけど人間ってわけでもないけどな。オレたち全員。
「ここで、何をしているの?」
「あ、ああ……オイラたちは旅の行商人だ」
「街でモノを仕入れて、街道で売り捌きながら旅をしてるんだよ」
「よかったら見ていかないか?」
「面白そうなことしてるね~」
「キュロロロロン!(何か掘り出し物がありそうだな!)」
こういう人たちって色んな街を巡って商品を仕入れているだろうから、意外なレアものが売ってたりしそうだ。
「っていうか、そっちのアンデッドの嬢ちゃんはすごい恰好してるな……」
「アンデッドの嬢ちゃんじゃないよ~。ボクはベニーだよ」
「わたしはアナベル」
「プォオオオオン!(オレはヤイバだぜ!)」
研究所で起きた爆発に巻き込まれて川流れに遭ったベニーの服はボロボロで、見た目のツギハギ具合も相まってアンデッドに見えてしまうのもおかしくはない。
実際、オレも最初に会ったときはゾンビかと思ったもんな。
「ベニー、こっちに服が売ってる。わたしがお金を出すから、好きなのを選ぶといい」
「え~本当に買ってくれるのっ? アナっちありがと~」
目的地のデイルタッカーシティに着いたら早急にベニーの服を買ってやろうと思ってたけど、こんな所で行商人に会えてラッキーだぜ!
「っていうか嬢ちゃんたち、なんだか面白いのを持ってるな」
「これ、なんだ……? 小型のナイフみたいなのが付いてるが……」
「噴気音を出してるし、動力機構を持ってる魔道具か……?」
アナベルとベニーが仲良く服を選んでいる横で、エコモードでちっちゃくなってるチェーンソーのオレに興味津々の行商人たち。
やっぱ男って、こういうガジェットみたいなのが好きだよな。
「あっこのフリフリのやつ可愛い~」
「動きにくそう。こっちの素材なら防水だし、魔物の攻撃もある程度防げる」
「え~それゴワゴワしてて可愛くないよ~」
どうやらアナベルとベニーはデザイン重視か機能重視かで意見が割れているっぽいな。
まあ、街道を旅していくならある程度丈夫な方がいいし、かと言ってダサいのを着て歩いてても気分が上がらないし……気に入った服が見つかるといいな。
「うお~! コイツ自走するぞ!」
「もしかしてこの車輪部分って刃になってんのか!?」
「な、なあ嬢ちゃん! これオイラたちに売ってくれねえか!」
「だめ」
「ぎゅいっちは売り物じゃないよ~」
この後、行商人の男たちがオレをどうにかして手に入れようとめちゃめちゃ交渉してきたけど、アナベルとベニーは絶対にオレを売ろうとはしなかった。
まあ、もし攫われでもしたら全員ぶっ殺した後に自走機能で爆走して逃げるけどな!




