46 ベニーの体の秘密だぜ!
「わ~やっぱ齧られちゃってるな~」
ミッドウルフに襲われていた人魔人間のベニーを旅の仲間に加えたオレたちは、街道脇で焚き火を囲んで夕食の準備をしていた。
といっても、オレとアナベルは食物からエネルギーを摂取出来ないので、夕食が必要なのはベニーだけなんだけどな。
「それ、ミッドウルフに襲われた所?」
「そうそう。ちょっと食べられちゃったよ~」
「ブォン、ドッドッド……(うわあ、めちゃめちゃエグいぜ……)」
ベニーのわき腹が文字通り抉れていて、あばら骨のようなものがチラチラと見えている。
正直、そんなものをチラ見せされても嬉しくないぜ……。
「でも大丈夫~。ごはん食べてゆっくりすれば治るから」
「治るの、それ?」
「治る治る、再生しちゃうよ~。だってボクはレザーフェイス博士が作った、ほぼ不死の生命体『人魔人間』だからね~」
ベニーの説明によると、彼女の体は人間版ゴーレムみたいな感じになっているらしい。
ゴーレムという種族の魔物は、体の中にある『核石』が壊れていなければ周囲の石材などを集めて再構築し、復活することができる。
そしてそれはベニーも同じで、体内にある『コア』を破壊されない限り、食物などから栄養を摂取することで失った肉体を再生することができるんだとか。
ただ、再生部分の肌は色が悪く、周囲の皮膚と違ってツギハギ模様のようになってしまうので、ぱっと見はマジでゾンビガールって感じなんだよな。
「(それはそれとして、服はもうちょい何とかしてほしいぜ……ちょっと目のやり場に困っちまう)」
当たり前だが、人魔人間のベニーでも着ている服までは再生することができないので、今は色々な所が見えそうなボロボロの服のままだ。
研究所で爆発に巻き込まれて川に落ちた結果、ここまで流れ着いたってことらしいから服がボロボロなのは仕方がないんだけどよ……
「__ベニー」
「ん~……あれっ? 今ぎゅいぎゅい喋らなかった~?」
「ぎゅいぎゅいは、たまにちょっとだけ喋れる」
俺はまだ拙い単語音声しかできないボイス機能を使い、ベニーに体を隠すように伝える。
「__フク」
「ふく……服? もしかして、ちゃんとした服を着た方が良いってこと~?」
「たしかに。今のベニーの服装だと、賊に襲われるかもしれない」
「ボクなんて襲ったって、向こうが病気になっちゃうけどね~」
「(な、なんか生々しい話だな……)」
とはいえ替えの服もないので、アナベルが持っていた布団代わりの長い布切れを加工してベニーに着せてやる。
まあ、ちょっと不格好なワンピースって感じだな。
「デイルタッカーシティに着いたら、ちゃんとした服を買おう」
「でもボク、お金持ってないよ」
「__オゴル」
「ぎゅいぎゅいが奢ってくれる」
「うわ~本当? ぎゅいぎゅいありがとう~」
「ギュッギュォオオオオンッ……!(なっなんかアナベルとは違う感触が……!)」
自律式駆動人形のアナベルは見た目は普通に可愛らしい女の子なんだけど、ボディはかなり頑丈で硬い素材で出来ている。
しかし、人魔人間のベニーは普通の人間と変わらないような柔らかい肌をしていて、抱き着かれるとちょっとドキドキだぜ……
更に言うと、フラットなアナベルにはない凶悪な胸部装甲が、その……
「ジトー……」
「ブォンッ、ギュォオオオオンッ!!(いや、これは違うんだアナベル!!)」
「ぎゅいぎゅい、わたしが抱えている時よりもなんか嬉しそう……」
「そうなの~?」
「__ヒテイ」
「そんなことないってさ~」
「怪しい……」
「ブロロロロロロン!(信じてくれアナベル~!)」
しょうがないんだアナベル、オレはオスのチェーンソーなんだ……!
それに、ゾンビとチェーンソーってのは、ある意味相性が最悪で最高だからな……
もちろん、ベニーはゾンビとはまたちょっと違うんだけどよ。
「(自我を持ったチェーンソーと、自律式駆動人形と、ツギハギだらけの人魔人間か……)」
なんつーか、オレたちホラー映画すぎるかもな。




