42 シティリーダーに告発するぜ!
「そうかい、ビギニーの屋敷周りを綺麗にしてくれたのはアンタだったのかい」
「お墓も作った。また今度、草むしりに行く」
行政ギルドセンターの最上階にある執務室に通されたオレとアナベルは、そこでシティリーダーのシェリンさんと話をすることに。
まあ、話すのはアナベルだけどな。
「それじゃあ改めて自己紹介をしようじゃないか。アタシはシェリン。ハワラタシティのシティリーダーをしているよ」
「わたしは自律式駆動人形・アナベル。ビギニー伯爵のお屋敷でメイドをしていた」
「キュイインキュイイイイン!(オレはチェーンソーのヤイバだぜ!)」
「そのちっこいのはなんなんだい?」
「ぎゅいぎゅいだよ。本当はもっと大きいよ」
アナベルがシェリンさんにオレのことを『意思のある武器』だと説明する。
その後アナベルは、ビギニー伯爵の屋敷が燃やされ、山賊に攫われてからの暮らしをシェリンさんに話して聞かせた。
「そうかい、そんなことが……」
「ぎゅいぎゅいのおかげで、お屋敷が無くなる前にハワラタシティに戻ってくることが出来た。そこでわたしは、ご主人様のお屋敷を襲った黒幕の会話を聞いてしまった」
アナベルは用意していた音響魔道具を取り出し、シェリンさんに向けて音声を再生させる。
≪ひょっひょっひょ。ここはいつ来ても気分が晴れますなあ≫
≪あの伯爵ババアが屋敷ごと灰になった場所じゃからのう≫
「……!」
≪そういえば、この場所はいつまでこのままにしておくんだね? 女を囲うための館でも建てたいところなんじゃがのう≫
≪賊をけしかけて燃やしたまではいいが、シティリーダーが『土地の所有はまだビギニー伯爵にある』と……最低でも3年は放置らしい≫
≪ふん、どうせヤツの関係者など現れんじゃろ≫
「これは……スコッツと、マッシュの声だね」
「そう。お屋敷を山賊に襲わせた、本当の犯人」
「キュイイイイン、プロロロロロ……!(立場を利用して、クソ外道な奴らだぜ……!)」
うーん、やっぱエコモードだと情けねえ音しか出ないな。
自走やボイス機能も使えないし、一旦元に戻ろう。
「キュイイイイン!(ノーマルモードに切り換えだぜ!)」
【エコモードからノーマルモードに切り換えます】
ガシャンッ! ウィイイイイイイン! パアアアアアア……!
ブォン、ドッドッドッド……
「__コンニチハ」
「な、なんだいなんだい!?」
「ぎゅいぎゅいがいつもの姿に戻った」
「__ノーマルモード」
ボイス機能を使って簡単に自己紹介を済ませる。
へへ、やっぱこっちの方が開放感があるな!
「なるほど、これが本当の姿かい……たしかにこれなら、アンタを山賊から救ってくれたという話にも納得さね」
「ぎゅいぎゅいは、とってもすごい。昨日、西部森林に行ってジャマートレントも討伐してきた」
「ほう、やるじゃないかぎゅいぎゅい」
「ブォンブォオン! ギュインギュイイン!(ジャマートレントくらい朝飯前だぜ! スケルトンは倒せなかったけどな!)」
まあ、オレのことはどうでもいいんだ。
今はシェリンさんにスコッツとマッシュの悪行を告発することがメインだからな。
「この音声が本物ならば、あの二人にはそれ相応の罰を受けて貰わないといけないね……アイツらが代表をやっている農業ギルドと警備ギルドも調査しないと」
シェリンさんはそう言って、執務室の引き出しから小型の音響魔道具を取り出した。
「アナベル。細かい調査のために、一度その音声データをアタシの魔道具にコピーさせてもらってもいいかい?」
「大丈夫。真実が分かったら、スコッツとマッシュに然るべき処罰をお願いしたい」
「ああ。ハワラタシティを治める者として……そして、彼女の古い友として。このシェリン、全力でこの事件の闇を暴いてみせるよ」
「ブォオオン!(正義執行だぜ!)」
ビギニー伯爵を殺した真の悪党ども、首を洗って待ってろよ!




