41 行政ギルドセンターにカチコミだぜ!
「ここが行政ギルドセンター……」
「キュインキュイン(なんだかでっかいお墓みたいだな)」
ジャマートレントの討伐クエストを完了し、アイテムショップで音響魔道具を手に入れた翌日。
オレとアナベルはハワラタシティの頂上にある『行政ギルドセンター』へとやってきていた。
ここはハワラタシティのいわゆる市役所みたいな場所で、各ギルドの代表者で構成される街議会や、ハワラタシティの長であるシティリーダーもこの行政ギルドセンターで働いている。
「それじゃあ行こう、ぎゅいぎゅい」
「キュイキュイ!(カチコミだぜ!)」
今日の目的はまずシティリーダーに面会して、アナベルが録音した、ビギニー伯爵の襲撃を裏で指示していた農業ギルド長スコッツと警備ギルド長マッシュの証拠音声を聞いてもらうこと。
そしてスコッツとマッシュの地位を失墜させ、彼らが画策しているビギニー伯爵の土地の強奪をやめさせる……とりあえずはそんなところか。
「(まあ、それでもうまくいかなかったら暴れちゃえばいいだけだからな)」
いざとなったら全然ぶっ殺すし。
もちろん、アナベルの気持ちを尊重することが第一だけどな。
「お待たせいたしました、こちら行政ギルドセンター総合案内です。本日のご用件をお願いいたします」
「シティリーダーに会いたい」
「シティリーダー・シェリンへのご面会でございますね。アポイントメントは取り付けておりますか?」
「そういうのはしていない」
「申し訳ございませんが、事前のアポイントメントが無い場合はご案内することができません」
うーむ、断られてしまったぜ。
まあでもそうだよなあ……街で1番偉い人にいきなり会いに行っても無理だよな。
そもそもアポだって普通に取れるか分からねえし。
「ぎゅいぎゅい、これは出直すしかなさそう」
「キュインキュイィイイン(まあ、仕方ねえなあ)」
一旦帰ってシティリーダーに会うための作戦を考えようとしたところ、近くにあった扉が開いて中から数人の爺さん婆さんが現れる。
「なんじゃなんじゃ、キュインキュインとうるさいのう」
「そうかあ? ワシには何も聴こえんかったがの」
「お前は歳で耳が聞こえなくなっとるだけじゃろ」
どうやら会議か何かをしていたようで、中にはこの間ビギニー伯爵の屋敷跡で見かけたスコッツとマッシュの姿も確認できた。
「一体どうしたんだい?」
総合案内にいたオレたちの元に、千と千尋の湯〇婆を若干シュッっとさせたような婆さんが近寄ってくる。
「あ、シェリンさん。お疲れさまです」
「どうも、ご苦労さん」
「(なるほど、この人がシティリーダーのシェリンさんってことか)」
会議室から出てきた白髪の婆さんは、まさにこのハワラタシティを治めるシティリーダーのシェリンさんだったようだ。
どうやらさっきまで街議会の人たちと会議してたってことっぽいな。
「実は、この方がシェリンさんに面会を希望していまして……」
「わたしはアナベル。アポがないから断られた」
「なるほどさね……ん?」
唐突な訪問者であるアナベルを見てなにやら考え出すシェリンの婆さん。
なんだろう、贅沢な名前だからアナベルじゃなくてアナにしろって言うのかな。
「お前さん、もしかしてビギニーの所にいたメイドかい? アイツの屋敷で庭の掃除をしていたのを見かけたことがある」
「そう。ご主人様を、知っている?」
「アイツとは馴染みの仲だったからねえ」
おお、この婆さんはビギニー伯爵の知り合いなのか。
それじゃあ、少なくともスコッツやマッシュと共謀したりはしてなさそうだな。
「あの、シェリンさん……」
「おっと、仕事の邪魔をしてすまなかったね。ちょうど退屈な打ち合わせも終わったし、少し時間が空いているから話しを聞こうじゃないか」
「ありがとう、シティリーダー」
「キュインキュイン!(太っ腹な婆さんだぜ!)」
「そのキュイキュイいってるのはなんなんだい?」




