40 音響魔道具を購入するぜ!
「ひー、ふー、みー、よー……おお、結構刈ってきてくれたんだな。いやーありがたいありがたい」
「これでしばらくは西部森林の探索がやりやすくなるぜ」
ジャマートレントの討伐を一区切りつけた後、オレとアナベルはハワラタシティの冒険者ギルドに戻ってクエストの完了報告を行なった。
一応ジャマートレントを1体でも討伐出来ていればクエスト依頼は達成なのだが、今回のクエストでは倒せば倒すだけ報酬金が貰えるということで、布袋いっぱいにジャマートレントの根っこを刈ってきた。
「それじゃあこれが報酬金だ。お疲れさん!」
「また頼むぜ~!」
「ども」
…………。
「あれ? あの嬢ちゃん、来たときは背中にでっかい武器みたいなの背負ってたよな?」
「そういえばそうだったな……」
「キュィンキュィィ~ン!(オレはここにいるぜ~!)」
オレは今、エネルギーの消耗を抑えるために自分のボディをエコモードに切り換えている。
その結果、いつものチェーンソー姿よりもかなり小さくなって、アナベルの胸ポケットの中に収まるサイズになってしまっていた。
まあ、戦わないときはこっちのほうが持ち運びが便利かもな。
「お金が手に入った。これで、欲しかった魔道具が買える」
「プォンプォオン!(さっそくお店にゴーだぜ!)」
「ぎゅいぎゅい、ちっちゃくなると音がかわいいね」
「キュィンキュィ~ン!(仔犬みたいでちょっとハズいぜ~!)」
「ぎゅいぎゅいじゃなくてきゅいきゅいだね」
オレの名前はヤイバだぜ!
―― ――
「店主、この音響魔道具が欲しい」
「お、嬢ちゃんお目が高いね~」
冒険者ギルドでクエストの達成報酬を受け取った後、街の魔道具ショップに行ってアナベルが録音した音声を再生するための魔道具を買うことに。
「これはサキテスシティの魔道具職人、名匠スピーカが作った音響魔道具だ。風の魔石と雷の魔石が組み込まれていて、あらゆる外部魔道具に対応してるんだ。例えばこっちの……」
「説明は大丈夫」
「プロロロロロロ~ン(ちょっとは聞いてやろうぜアナベル~)」
小型のアンプ装置みたいな魔道具を持って熱弁するアイテム屋の店主をスルーして、さっさとお目当ての品を買おうとするアナベル。
まあ、専門的なアイテムを売ってる人ほど色々語りたがるからな。
「でも嬢ちゃんよ、コイツは結構いいお値段がするぜ? 嬢ちゃんに買え」
「はい」
「……るみてえだな」
店主の試すようなセリフに被せるように、懐から数枚の金貨と銀貨を取り出して魔道具の横に置く。
オレたちがジャマートレントを伐採しまくって稼いだ報酬金だぜ。
「ま、まいどあり……こんなマニアックなもんをポンと金出して買っちまうたあ、嬢ちゃんは一体なにもんなんだい?」
「わたしは、ラガティーメイデンNo.001、自律式駆動人形アナベル」
「ええっ!? ララララガティーって、あの!? 大魔女ラガティーかっ!?」
どうやら店主はアナベルを作った大魔女ラガティーのことを知っているようで、アナベルの自己紹介を聞いた後にめちゃくちゃびっくりしていた。
「ラガティーメイデンって、大魔女ラガティーが晩年に数体だけ作ったって言われてる最高性能のオートマタのことだよな……まさか、生きてる間に会えるとはなあ」
「(ほーん。アナベルって、そんなにすごいオートマタだったのか)」
まあ、パッと見て周りの人たちが人形だと気づかないくらいには精巧に出来てるもんなあ。
「もしかして、この音響魔道具も体の中に組み込むのか!?」
「組み込みはしない。普通に使うだけ」
「あっそれじゃあこれはどうだ!? 火の魔石が組み込まれている小型の着火装置だ! これを手首に内蔵して……」
「わたしは着火装置になるつもりはない」
「キュインキュイン!(オレは火も出せるようになりたいぜ!)」
お目当ての音響魔道具を購入したオレたちは、何かとアナベルを改造しようとする店主を放置して、ルヴィたちの家に帰宅したのだった。




