37 ジャマートレントをぶっコロすぜ!
「着いた。ここがハワラタシティの西部森林」
「ブォンブォン……ドッドッドッド(なんだかジメっとしてるなあ……湿気で壊れないか心配だぜえ)」
ハワラタシティの冒険者ギルドでクエスト依頼を受けたオレたちは、街の西側へと続く街道をしばらく歩き、鬱蒼と茂る森へと到着した。
今回引き受けたクエスト依頼で討伐対象となっている『ジャマートレント』が生息している西部森林だ。
「全体的に、樹木の種類がモッサリしてる」
「ブォン、ギュインギュイン(まあ、アナベルの言いたいことはなんとなく分かったぜ)」
オレがこの世界に転生してきたときにいた森と比べ、西部森林は更に陽の光が届かないせいで薄暗くてジメジメした雰囲気だ。
背の高い針葉樹よりも、大きな葉っぱをたくさん生やして横に広がるようなタイプの広葉樹が多く、キノコなども結構生えている。
実際、この西部森林では色々な種類のキノコや薬になる野草が採れるということで、ハワラタシティの人たちにとっても重要な森林地帯らしい。
そんな西部森林だが、細い道が多く、太陽の光もあまり届かないレベルで暗くて空もまともに見えないので方角の把握が難しく、普通に歩いていても迷いやすい構造になっている。
「(……で、そんな迷いやすい森の中を更に迷いやすくするのがジャマートレントってわけか)」
ジャマートレントは、見た目は普通の樹木だが、実際には植物と魔物を足して2で割ったような生き物らしい。
種類も結構いて、盆栽みたいな小さいのから、樹齢数百年の大樹に似た個体も存在するのだとか。
そんなジャマートレントだが、どうやら森の中にある通り道に出現して道を塞いでしまうことがあり、依頼を受けた冒険者ギルドの人の話によると、ジャマートレントのせいで西部森林に入った人が遭難するという事故が定期的に発生するということだった。
「ぎゅいぎゅい。ジャマートレントいっぱい倒して、いっぱいお金貰おう」
「ギュイン!(おうよ!)」
今回のクエスト依頼は明確な達成条件というものはなくて『討伐したジャマートレントの数で報酬を出すよ』というものだった。
つまり、ジャマートレントを見つけて伐採すればするほど報酬金が入ってくる歩合給というわけだ。
「……さっそく、見つけた」
西部森林の中をしばらく散策すると、オレたちが歩いていた道の正面を塞ぐように1本の木が立っている。
こんないかにもな通路に1本だけ伐採されないで木が残されているとは考えられないので、おそらくコイツがジャマートレントだろう。
「それじゃあぎゅいぎゅい、さっそく殺ろう」
「ギュインギュイイイイイイイインッ!!(ぶっ伐り殺すぜええええっ!!)」
オレを構えたアナベルが、ジャマートレントの幹に向かって回転する鎖刃を接触させる。
ギュイイイイイイイイインッギャリギャリギャリギャリ!!!!
「シキャアアアアアアアアアアアアアッ!!??」
「(うおっなんか叫び出したぞコイツ! 絶対普通の木じゃねーじゃん!)」
「金切り音、うるさい……!」
伐採を始めた途端、まるで引っこ抜かれたマンドラゴラのような金切り声で叫び出す。
うん、絶対にコイツがジャマートレントだ。
ギュリリリリリリリリイイイイイイッ!!
「シッキョオオオオオオオオオオオオオッ!?」
ボコッボコッ! ドタドタッ!
「あ、逃げようとしてる」
「(根っこが足みたいになってんのか、なんかキモいな)」
体を切られて危険を察知したジャマートレントが、地面に埋まっていた大根みたいな根っこを無理やり引っこ抜いて逃げようとする。
しかし、その行動は良くなかったな……オレたちの餌食だぜ!
「この足を切っちゃえば、おしまい」
「(自分から弱点を晒してくれてありがとよっ!)」
ギャインギャインギャイイイイイイイギジジジジジジジジッスパスパスパッ!!!!
「シッギャアアアアアアアアアアアアアアっ!?!?」
ウニョウニョ動くジャマートレントの根っこと幹の間に鎖刃をぶち込むと、さっきよりも簡単に切れていく。
まあ、こういうのは幹を切るよりも根っこを切る方が圧倒的に楽だからな。
ギャリリリリリリッ! スパッ! ザシュザシュッ!!
「…………ッ」
ギィイイイ……バタンッ!!
【パプアンジャマートレント伐採! BP+35】
「……よし、1本切れた」
「ギュインギュイイイイン!(ジャマートレント伐採完了だぜ!)」
この調子でドンドン行くぜ!




