36 冒険者ギルドに行くぜ!
「2人とも、こっちだよ~!」
「着いたよ、ぎゅいぎゅい」
「ギュイギュイ~!(ここがギルドか~!)」
ジョーに仕事を受けられる場所を教えてもらったオレたち。
案内役として任命されたリアンと一緒に街の中を歩いて行くと、2本の剣がタルの前で交差している看板を発見する。
どうやらここが『冒険者ギルド』らしい。
「こんにちは~!」
「おうリアン! こんな所に来るなんて珍しいな」
「ん? おいおい、随分と可愛らしい嬢ちゃんと一緒じゃねえか」
「ギルドで護衛の依頼か?」
「……って、なんか背中に物騒なモン背負ってんな」
冒険者ギルドの中に入ると、ガラの悪そうな男たちがアナベルを物珍しそうに眺めてくる。
ちなみに今のオレはアナベルの背中に括り付けられている状態で、他の人から見たらアナベルが大剣を背負っているように見えているかもしれない。
「(ジョーの話では、掲示板っつー所にクエスト依頼がどうたら言ってたよな……)」
アナベルの背中越しに周囲を観察すると、学校にある黒板くらいの大きさの壁にチラシのようなものがいくつも張り出されている。
パッと見、不動産屋の賃貸情報みたいな感じだ。
「これが掲示板だよ。張り出されてるクエスト依頼書を確認して、受けたいのがあったらあっちのカウンターに持って行くの」
「わたし、人間じゃなくて自律式駆動人形だけど、クエスト受けられる?」
「ちゃんと依頼を達成できるなら誰だって大丈夫だよ!」
掲示板の前に移動して、貼り出されているクエスト依頼書を確認する。
なんつーか、こういうの見ると異世界って感じするよな!
「(あ、でも職安センターとか行くと似たようなの貼ってあるかあ)」
昔、金が無かった頃は単発で日雇いの仕事とかやってたな~……
1日中、解体現場のガラ拾いとかな。
いや~あれはキツかったぜ。
「(異世界でも、似たような仕事はあるんかな?)」
勝手なイメージだけど、やっぱ肉体労働系が多そうだよな。
インターネットもパソコンもスマホも無いだろうし、リモートワークなんて夢のまた夢だぜ。
「ぎゅいぎゅい、どんなクエストがいいかな?」
「ギュインギュイン……(そうだなあ……)」
パッと見た感じ、魔物の討伐と素材の採取が多そうだな。
やっぱここが冒険者ギルドだからかな?
素材採取なんかは農業ギルドの管轄っぽいけど、畑で農作業するのと、魔物がいる場所に行って何か採って来るのはまた違うのかもしれないな。
「(ん? これは……)」
【ジャマートレントの討伐】
ハワラタシティの西部森林に出現するジャマートレントの討伐をお願いします。
クエスト報酬:1体討伐につき5000エル。
「__ジャマートレント」
「わっぎゅいぎゅいが喋った!」
「ぎゅいぎゅい、そのクエストが気になるの?」
「__ナル」
ボイス機能を使い、気になるクエストをアナベルたちに伝える。
さすがにこういう状況だとギュインギュイン言ってても伝わらねえしな!
「ジャマートレントかあ、あいつら確かに迷惑なんだよねえ」
「迷惑?」
「ハワラタシティを出て西の街道を進んで行った所に森があるんだけど、その森の中にある通路をジャマートレントが塞いじゃうんだ」
リアンの話によると、『ジャマートレント』という自分で移動できる魔法の樹木みたいなのがいるらしく、人間が整備した道路をそいつが塞いでしまうらしい。
そういう理由もあって、定期的にジャマートレントの討伐依頼が出されるんだとか。
「(樹木の伐採ならオレの出番だぜ!)」
ギュイイン! ブロロロロン!
「ぎゅいぎゅい、やる気マンマン」
邪魔な木を伐採して金が貰えるならやるに越した事はないぜ!
「ぎゅいぎゅい、木とかめっちゃ切れそうだもんね!」
「ぎゅいぎゅいは、木も切れるしゴーレムも砕ける。人間も切れる」
「人間も!?」
驚くリアンを横目に見つつ、オレとアナベルはジャマートレントの討伐クエスト依頼書を剥がしてカウンターに持って行った。
よっしゃ、異世界に来て初クエストだ! 気合い入れていくぜ!




