35 仕事を探すぜ!
「うむむ……それなりにお値段がする」
「ブロロロロン(魔道具って高いんだな~)」
ハワラタシティに到着した翌日、オレとアナベルは街の通りを歩きながら魔道具ショップを物色していた。
なにが目的なのかというと、昨日アナベルがビギニー伯爵の屋敷跡で録音した街議会の連中の会話を再生するアイテムを探すためだ。
「こっちの安いヤツだと、わたしの録音機能に対応してないから再生できない。こっちの高性能魔道具が必要」
「ブォォン、ドッドッドッド……(こんなことになるなら、山賊たちのアジトから金銀財宝をかっぱらって来れば良かったぜ……)」
ハワラタシティの街議会メンバー、農業ギルド長のスコッツと警備ギルド長のマッシュ。
この二人が画策して山賊を街に招き入れ、ビギニー伯爵の屋敷を襲わせた。
つまり、スコッツとマッシュをぶっ殺すことがアナベルにとっての敵討ちなのだ。
アナベルとオレだったら、あんなクソジジイどもをぶっ殺すぐらいはなんとでもなりそうだが、ただ殺しただけじゃ100:0でこっちが悪者になっちまう。
もちろん人を殺す以上は悪ではあるんだが、とりあえず昨日のスコッツとマッシュの会話を拡散してから制裁しようと考えたのだ。
「ぎゅいぎゅい、今の持ち合わせじゃこの魔道具は買えない。どうにかしてお金を稼がないと」
「プッシュ~(仕事でも探すか~)」
オレとアナベルは人間じゃないから、ただ生きていくだけならお金が必要になることはあまりない……
という風に考えていたんだけど、これはちょっと想定外だったぜ。
もしかしたら今後も何かしらの魔道具が必要になったり、ボディの調子が悪くなった時に魔道具職人とかに検査してもらう必要があるかもしれない。
そう考えると、意外と金は持っていた方が良いのかもしれないな。
「(今のオレはチェーンソーなわけだし、それこそ林業をやるにはまさに持ってこいな気もするぜ)」
木を伐採すればポイントも入って一石二鳥だしな。でも……
「(林業ってことは、スコッツのジジイが代表をやってる農業ギルドの管轄っぽいよな~……)」
一時的にとはいえ、アイツの元で働くのはオレの矜持が許せねえな。
同じ理由で警備系の仕事もダメだ。
だがしかし、そうなってくると何の仕事をしたら良いんだろうな?
―― ――
「というわけで、何か仕事を紹介して欲しい」
「ブロロロン!(頼むぜジョー!)」
「仕事か~」
オレはこの世界のことがまだ分かんねえし、アナベルもビギニー伯爵の屋敷にずっといたので街での稼ぎ方は詳しくない。
となると、商業ギルドに加入して運び屋をやってるジョーに聞いてみるのが手っ取り早いということになった。
「そうだなあ……アナベルとぎゅいぎゅいは賊を返り討ちに出来るくらいの実力はあるわけだし、護衛業務か……それか、魔物の討伐クエストあたりを受けてみたらいいんじゃねえか?」
「討伐クエスト?」
「クエストっつーのは、ギルドで受けられる単発の仕事のことだな。報酬はピンキリだが、手軽に受けられる依頼もあるからやってみるといい」
なるほど、いわゆる単発バイトってやつだな。
オレも金がない頃はやってたからちょっとは詳しいぜ。
まあ、単発バイトに魔物の討伐とかはさすがに無かったけどよ……
でも、魔物討伐ならこっちもこっちで伐採ポイントが稼げるから一石二鳥かもな。
「それは、どこで受けられる?」
「単発のクエスト自体はどこのギルドにもあるけど、魔物の討伐クエストは冒険者ギルドだな。興味があるなら娘たちに案内させるぜ」
「クエスト、興味ある」
「ギュインギュイイイイン!(魔物をぶっ殺して金を稼ぐぜ!)」
というわけで、アナベルの敵討ちを成功させるためにまずはギルドで金を稼ぐことになったぜ!




