29 姉妹仲良くだぜ!
「とうちゃ~くっ! アナベル、ぎゅいぎゅい、ここがあたしの家だよ!」
ひったくり犯の男をぶっ殺した俺は、ルヴィの案内で彼女たちが暮らす家までやってきた。
運び屋をやっているからか、馬小屋と馬車を停める車庫があって結構広い。
「お母さ~ん! リア~ン! ただいま帰ったよ~!」
「お邪魔します」
「ブロロロン!(邪魔するぜ!)」
タッタッタッタ……
「ルヴィおかえり~。あれ? お客さん……って、なんか血まみれなんですけど!?」
「いや~ここに来るまでに色々と襲われちゃってさ~」
「全部、ぎゅいぎゅいが返り討ちにした」
「ブォオン!(悪は成敗だぜ!)」
ルヴィと一緒に家の中に入ると、彼女と同い年くらいの女の子が出迎えてくれる。
返り血で汚れまくったオレたちを見た女の子が驚いた声を上げるが、ルヴィがここまでの道中のことを説明すると納得してくれた。
「そっか、そんなことがあったんだね……アナベルちゃん、ぎゅいぎゅい、ルヴィとパパを助けてくれてありがとう!」
「二人に紹介するね。この子はリアンっていって、あたしと一緒に教会の前に捨てられてたところをお父さんとお母さんが一緒に保護して家族になったの」
「わたしリアン! よろしくね~!」
「わたしは自律式駆動人形・アナベル。よろしく」
「ブォンブォン! ギュイイイイイイン!(自律式チェーンソーのぎゅいぎゅいだぜ! 本当はヤイバって名前があるけどな!)」
たしかに、ルヴィとリアンは見た目の年齢こそ同じくらいに見えるけど、容姿の似てる似てないで言うと姉妹って感じじゃないかもな。
ルヴィの方が背が高くてちょっとボーイッシュ、リアンは華奢でガーリッシュな雰囲気だ。
でもおっぱいは……リアンの圧勝だな。
「二人は、どっちがお姉ちゃん?」
「そこはやっぱあたしかな~」
「お姉ちゃんはわたしだよ~!」
…………。
「あたしのほうが背高いからお姉ちゃんだって~」
「わたしのほうがおっぱいおっきいも~ん!」
「胸の大きさは関係ないし!」
「じゃあ背の高さも関係ないも~ん!」
どちらが姉か妹かで言い争いを始めるルヴィとリアン。
そういえばここに来る前にも、ジョーが『娘たちはどっちが姉っぽいかでよくケンカする』みたいな感じのことを言ってたな。
「ルヴィとリアン、誕生日が早いのは?」
「教会に捨てられてたから、いつ生まれたのかは分かんないんだ」
「パパとママに拾われた日が誕生記念日ってことにしてるの」
「ギュイン。ドッドッドッド(なるほどなあ。それじゃあ双子みたいなもんだからどっちが早いとか分からねえか)」
二人して教会の前に捨てられてたって話だから、捨てたヤツは同じで意外と本当に双子の姉妹だったりして。
実際、見た目が似ない双子だっているわけだしな……
とはいえこの世界にDNA鑑定の技術なんてないだろうし、真相は闇の中だな。
「そういえばお母さんは?」
「市場にお買い物行ってるよ~。わたしはお洗濯中」
「それなら丁度良かった。アナベルちゃんの服も洗ってくれない?」
「もちろん! さあさあアナベルちゃん、服脱いじゃって」
「かたじけない」
「ブォン……ガガッ、ガガガガガガガガ~ッ!(渋い言葉遣いだぜ……って、オレの前で脱ぐのは勘弁してくれ~っ!)」
駆動人形とはいえ、アナベルの外見はほぼ人間の女の子だ。
オレは紳士なチェーンソーなのでアナベルの姿を見ないように目を閉じた。
「ぎゅいぎゅいはあたしが拭いてあげるね」
「ブォオオオン!(かたじけないぜ!)」
この世界に転生してはや数日。
ようやくオレは、まともな屋根のある家の中で落ち着くことが出来たのだった。
……ん? 山賊の洞窟にも屋根があっただろって?
あの山賊のアジトは、さすがにまともな建物にはカウントできないぜ。




