28 自業自得だぜ!
「ひぃっ!? なっなんだコイツ……!?」
「向こうから走ってきた男が、いきなりに血まみれになって……!」
「こ、この変な刃が付いた魔道具が暴走したのか……!?」
ハワラタシティの大通りでならず者の男にひったくられたそうになったオレは、必殺技のキックバックを発動して男をぶち殺すことに成功した。
しかし、ここは洞窟でも森でも街道でもなく、大勢の人々が暮らす街の中。
ひったくり犯の殺戮自滅ショーを目撃した住民たちが集まってきて人だかりが出来てしまった。
「ママー、あれなにー?」
「見ちゃいけませんっ……!」
「(まあ、見ちゃいけないのはその通りだな。グロすぎてR15って感じだぜ)」
オレのキックバック攻撃でグチャグチャのズタボロになったひったくり犯の死体。
子供時代にこんなのをじっくり見ちまったらトラウマもんだぜ。
そういえばオレも昔、脱出ホラー系のグロ映画を見てしばらく豚肉が食えなかったもんなあ。
個人的には頭皮ベリベリと注射針の中に手突っ込んで鍵探すのが1番痛そうだったぜ……
「(って、そんなこと思い出してる場合じゃないぞ。とりあえず、アナベルたちのところに帰らないと)」
キックバックを発動してエネルギーを消耗したとはいえ、まだ自走して移動できるだけの体力は残っている。
とはいえ、あまりに人に囲まれ過ぎてるからなあ。
コイツみたいなひったくり犯はともかく、今まわりにいるのはハワラタシティの善良な住民たちだろう。
ここで下手に動いて誰かを傷つけちゃうのは避けたいぜ……
「ぎゅいぎゅい~っ!」
「ぎゅいぎゅい……!」
「(おっ、この声は……)」
人混みをかき分けながら、2人の少女がこちらに駆け寄ってくる。
アナベルとルヴィだ。
「ぎゅいぎゅい、無事でよかった……」
「ブォン! ブロロロロロン!(オレは無事だぜ! ひったくりは成敗したから無事じゃないけどな!)」
ひったくり犯の返り血で汚れたオレのボディを気にせず抱き上げてくれるアナベル。
毎度毎度、可愛い服が血まみれになって可哀想だぜ……
はやくルヴィの家に行って服を洗ってもらおうな。
「皆さん! この人はひったくりです! しかし今回、装備者から離れたら暴走する魔道具武器を盗んでしまい、自滅してしまいました!」
「なんだ、そういうことだったのか……」
「それじゃあ自業自得だな」
「盗まれた暴走する機能、めっちゃ良いじゃん。俺の魔道具にも付けられないかな……」
ルヴィが周りに集まっていた野次馬に状況を説明する。
まあ、実際のところオレにそんな機能は付いていないのだが、集まっていた人たちは納得して立ち去って行った。
「あとはこの死体だけど……警備に知らせるために発煙筒を設置しておこう」
ルヴィが荷物の中からドラゴン花火みたいな筒を取り出し、紐を引いてひったくりの死体の横に設置する。
すると、筒から青白い煙が立ちのぼってゆらゆらと空に消えていく。
「これで少ししたら片づけに来てくれるはず。状況説明は~……簡単なメモ書きを置いといて、後は周りにいる人に任せてあたしたちは行っちゃおう」
「わかった」
「ギュイン、ブォオオオオン!(警備のみんな、余計な仕事を増やしてすまねえな!)」
というわけで、ひったくりの惨殺死体を大通りのド真ん中に放置して、オレたちはルヴィの家へと移動を再開したのであった。
こんな処理で済むなんて、ハワラタシティではこういう事件は日常茶飯事なのかもな。
……。
…………。
「狼煙が上がってんのはあそこか……って、なんだこりゃあ!?」
「この男の死体、体がタコさんウィンナーみたいに避けちまってるぜ!?」
「ああ、その死体ならここ最近頻発してたひったくり犯だってよ」
「ひったくった魔道具武器の暴走でこうなったらしい」
「そうか……近頃の魔道具はおっかねえんだなあ」
「まあ、人のモンを盗んで食い扶持を稼いでたヤツにはお似合いの末路だな」
「さっさと片づけて、マジメに汗水たらして稼いだ金で酒でも飲もうぜ」




