25 異世界は弱肉強食だぜ!
「……周囲に人影なし。もう安心」
「た、助かった……? あたしたち、助かっちゃった?」
「野盗を、全員ぶっ殺しちまったのか……」
戦いという名の一方的な抹殺活動が終わり、ルヴィとジョーが恐る恐る馬車から降りてくる。
「すごいすごい! アナベルすごい!」
「わたしはすごくない。ぎゅいぎゅいのおかげ」
「ぎゅいぎゅいすごーいっ!」
「ギュオンギュオオオオン!(アナベルが上手く使ってくれたおかげだぜ!)」
突然投げ込まれた爆竹と、突然始まった抹殺パーティーでパニックになっていた馬を落ち着かせつつ、ジョーが額の汗をぬぐう。
「この辺りの街道でこんな真昼間から野盗に襲われたのは初めてだ。少し気を緩めすぎてたな……」
「あっちの山に潜んでる山賊たちが壊滅したから、別の場所にいた野盗が活発になってきたと推測」
「そうなのか……」
「山賊がいるのは知ってたけど、壊滅した情報はまだ仕入れられてなかったなー」
まあ、そりゃそうだよな。
だって壊滅させたのオレとアナベルだし。
「馬車の荷物も問題なさそうだ。そんじゃ、馬がもう少し落ち着いたら、また別の野盗に襲われる前に出発しよう」
「今のペースでいけば、日暮れ前までにはハワラタシティに戻れるね!」
馬の確認と馬車の点検を終えたジョーが操縦席に乗り込む。
ルヴィは野盗の返り血で汚れたオレのボディとアナベルの顔を濡れ布巾で拭いてくれている。
アナベルの服にも少し付いちまったけど、こればっかりはすぐには落とせないか。
「野盗の死体は、このまま放置?」
「そうだな。後から来たヤツがビックリするかもしれないが……まあ、この辺は人通りも少ないし大丈夫だろう」
「次の通行人が来るまでになくなってるんじゃないかな?」
「ブロロロロン?(なくなってる?)」
それはあれか?
ゲームとかで倒した敵が徐々に透明になって消滅していくみたいな……そんなわけないか。
「……もしかして、あの子たちが狙ってる?」
「お、さっそくやってきたか」
「ごはんを見つけるのが上手だね~」
オレを抱えたアナベルが街道の東方面に目を向ける。
するとそこには、岩場の陰に隠れてこちらを観察する数匹のオオカミのような魔物がいた。
「(ミッドウルフか……)」
そういえば、山賊をぶっ殺した時も返り血の匂いを探知してやってきたミッドウルフに襲われたことがあったな。
なるほど、街道に野盗の死体を放置していてもアイツらが“掃除”してくれるってわけか。
「この場に留まっていると俺たちまで襲われちまうかもしれん。急いで馬車を出した方がいいな」
「ミッドウルフなら、ちょっと前に倒したことがあるから大丈夫」
「ブォンブォオオオオオン(伐採ポイントが結構稼げてラッキーだったぜ)」
「さっすがアナベルちゃんとぎゅいぎゅい、戦地潜り抜けてるね~」
とはいえ、わざと誘い出して討伐すんのもかわいそうなので、ここは大人しく退散しよう。
それにあのミッドウルフたちを倒しちまったら、野盗の死体の横に更に死体が追加されて余計に邪魔になっちまうしな。
「(そういえば、洞窟でぶっ殺した山賊たちも一晩でほとんど食い散らかされて骨になってたしな)」
なんつーか、どうぶつ奇〇天外って感じだぜ。
賊に襲われれたり、魔物に襲われたり……この世界は弱肉強食の食物連鎖に人間も組み込まれてるんだな。
「アナベルちゃん、ハワラタシティに着いたらその服洗ってあげるね」
「ありがとう、ルヴィ」
「ぎゅいぎゅいはー……油とか差したほうがいいのかな?」
「ギュインギュギュギュイン(このボディのメンテ方法は正直オレにも分からないぜ)」
そういえば、習得可能なスキルに『オートメンテナンス』っつーのがあったんだよな。
それを習得できればもっと快適になりそうなんだけど……
「(うげっ、習得するのに500BPも必要じゃん)」
快適なチェーンソー生活が出来るまではまだまだ時間がかかりそうだぜ~……
―― ――
転生女神です。
私のせいでチェーンソーに転生してしまったヤイバさん。
なんだかんだでエキサイティングな異世界生活を楽しんでくれていますね。
お仲間も出来て、これからますますエキサイティングしてくれそうです。
さて、次章は【ハワラタシティ編】
野盗を退けて街へ到着したヤイバさん。
アナベルさんの暮らしていた街では一体何が起こるんでしょうか?
次回もまた読んでくださいね。
じゃん、けん、ぽ~んっ✌
うふふふ(^^)ノシ




