23 みんなの境遇に感動だぜ!
「そっか~、アナベルちゃんは自分で魔力を吸収することが出来るんだね」
「魔石燃料を補充しなくても自力で動けるなんてすごいな」
「わたしは偉大なるラガティーメイデンなので、それくらいは余裕」
「ギュオン、ブィンブィン!(よく分かんねえが、アナベルはすごいぜ!)」
「ヒヒィ~ンッ!」
湿地にハマって立ち往生していた馬車に乗っていたルヴィとジョー。
彼女たちは『ハワラタシティ』という街で暮らす運び屋で、今は隣の街で受け取った荷物を乗せて帰る途中だったらしい。
しかも、なんとそのハワラタシティがアナベルの目的地でもあるっぽいことが分かって、オレたちも一緒に連れて行ってもらえることになったぜ。
「それにしても、お前さんはナニモンなんだい? こんな魔道具見たことないぜ」
「ギュインギュイイイイイン!(オレはチェーンソーのヤイバだぜ!)」
「ぎゅいぎゅいは、ぎゅいぎゅい。馬車を助けて、木も切れる」
「ぎゅいぎゅいありがとーっ!」
やっぱイマイチ通じてないけど、今はエネルギー回復が優先だからボイス機能は使えないな……
その内ボイス機能がパワーアップしたらちゃんと説明したいぜ。
「それにしても、アナベルちゃんがビギニー伯爵のお屋敷にいたなんて知らなかったな―」
「昔からあの人は街との交流をほとんど断っていたからな。屋敷があるのも人気のない街の外れで、火の手が上がるまで賊に襲われていたことも気付かなかった」
アナベルがオートマタメイドとして暮らしていたビギニー伯爵のお屋敷。
ルヴィたちと同じ街にあったみたいだけど、ほとんど街の住民と関わらないで過ごしていらしい。
「わたしも、お屋敷から出ないで暮らしていたから街のことはよく知らない」
「アナベルちゃんはどうしてビギニー伯爵の所にいたの?」
「ビギニー伯爵は、わたしを作った大魔女ラガティーと友達だった。ラガティーが生前に、わたしを託す約束をしていた」
「なるほど、ビギニー伯爵にとっては友の忘れ形見ってワケか……」
「娘をよろしくな~って感じだったのかな」
亡き友人が心を込めて作り出した意志を持つ人形か……
それはたしかに、ビギニー伯爵にとっては大切な忘れ形見だったのかもな。
「わたしはラガティーが作った自律式駆動人形。娘じゃない」
「本当の子供かなんて関係ないさ。現に、コイツも俺とは血が繋がってないしな」
「そうなの?」
「ブォオオオン(そうなのか?)」
どうやら、ルヴィとジョーに血縁関係はないらしい。
どっからどう見ても仲の良い親子に見えるけどな。
「俺とミーア……ああ、ミーアってのは俺の妻な。それで、俺たちの間には何年も子供が出来なくて……ある日、街の教会に子供を授かれるようにとお祈りに行ったら、教会の前に赤ん坊が二人、布に包まれて置かれていてな」
赤ん坊を見つけたジョーたちは急いで教会の神父に知らせ、色々あってその二人の赤ん坊を引き取って育てることにしたという。
子捨てなんて不幸なことだけど、ジョー夫妻にとっては天からの授かりものみたいな気持ちだったのかもな。
「引き取ったのは、2人?」
「そうだよ。リアンっていう名前で、あたしの妹! 今はお母さんと一緒に街にいるよ!」
「ルヴィとリアンは同い年だから、お互いに相手の事を妹だと思ってるがな」
「えー! あたしのほうが絶対お姉ちゃんっぽいって!」
「はっはっは。どうだかなあ」
ルヴィの家族は、血は繋がってなくても仲が良さそうでよかったぜ!
でもそれはそれとして、赤ん坊を捨てるヤツは許せないぜ……!
バチバチバチバチッ!!
「ヒヒィ~ンッ!!」
ガタガタガタッ!!
「うおっなんだ!?」
「爆竹の音っ!?」
そんな感じでお互いに身の上話をしながらハワラタシティに向かって街道を進んでいると、突然バチバチッという破裂音が聞こえて馬がパニックになってしまう。
「へっへっへ、悪いなあ嬢ちゃんたち……」
「荷馬車を置いて消えるか、ここで死ぬか選びなあ……」
「こ、コイツら……!」
「チクショウ、賊に囲まれたっ……!」
爆竹を撒いて馬車を止めたのは、浮浪者のような恰好をした荒くれ者の男たち……要するに、賊だった。
「こういうの、もういいんだけど」
「ギュインギュイイイイイイインッ!?(またまたピンチだぜええええっ!?)」




