22 旅は道連れだぜ!
「ヒヒィ~ンッ!」
バシャバシャバシャッ……ガコンッ!
「脱出成功~!」
「ふぃ~、馬車を放置しないで済んだぜ。ありがとな」
「ドッ、ドッドッドッド……(そ、それは良かったぜぇ……)」
湿地にハマってしまった馬車を助けるために、泥をチェーンソーの回転で耕して液状にすることで馬の足と車輪を動かしやすくした。
その結果、馬の牽引力で車輪が動いて無事に湿地から抜け出すことに成功したのだった。
「(それはそれとして、めちゃめちゃダメージ受けちゃったぜ……)」
鎖刃を回転させて泥に突っ込んだことでボディがダメージを受け、ほぼ満タンだったエネルギーが半分以下にまで減ってしまった。
馬車を助けた後にアナベルに水で泥を落としてもらったんだが、防水じゃないから結局それでもダメージを受けてエネルギー切れ寸前だぜ……
「ぎゅいぎゅい、とっても頑張った。エネルギー回復、わたしも手伝う」
「ブォン、ドッドッド……(助かるぜ、アナベル……)」
初めて会った時みたいに、アナベルが自分のエネルギーをオレに分けてくれる。
ソーラーチャージだとどうしても時間がかかるからマジでありがたいぜ。
「ええっ!? あなた、もしかしてオートマタなの!?」
「そう。わたしはラガティーメイデンNo.001、自律式駆動人形のアナベル」
「ラガティー……もしかしてあの、伝説の大魔女ラガティーか!?」
「すごいすごい! 本物のラガティーメイデンなんて、あたし初めて見たわ!」
アナベルの自己紹介を聞いて驚くおっさんと女の子。
どうやらアナベルを作った魔女さんはすごい人みたいだな。
オレはこの世界の人じゃねえから、アナベルの話を聞いてもピンと来なかったぜ。
「えっと……改めて、あたしたちの馬車を助けてくれてありがとう! あたしの名前はルヴィ!」
「俺はジョーだ。この荷馬車は俺たちの大切な仕事道具。あのまま湿地から抜け出せなかったら大変なことになっていた。そっちの変な剣もありがとうな」
「ブォンブォン!(無事に脱出できて良かったぜ!)」
ルヴィとジョーは親子で運び屋の仕事をしているらしい。
今は仕事を終えて自分たちが暮らす街に帰る途中で、荷馬車の中には隣の街から預かった品々が積まれているのだとか。
「どうして、湿地にハマっていた?」
「街道を走っていたら、目の前をヘビが横切ってさあ。それに馬がびっくりして脇に逸れてズブズブズブ~って感じ」
「数日前に大雨が降ったせいもあって、街道脇がいつもよりぬかるんでやがったのもタイミングが悪かったな」
「川が増水していつも使ってる橋が流されちゃったから、かなり遠回りになっちゃったしね」
「(川が増水して、橋が流されて……)」
なるほど、それで街道先の橋があんな状態だったんだな。
でも大丈夫! 昨日オレたちが丸太の一本橋を架けておいたぜ!
「(でも馬車はあの丸太じゃあ渡れねえか……)」
結局、ちゃんとした橋が出来るまでは遠回りになっちまうだろうな。
「アナベルちゃんは、こんなところで何をしているの?」
「わたしは、ぎゅいぎゅいと一緒に旅をしてる」
「ギュインギュイイイイイン!」
「あははっ! そっか、あなたぎゅいぎゅいっていうのね!」
「馬車を助けてくれてありがとうな、ぎゅいぎゅい!」
本当はぎゅいぎゅいじゃなくてヤイバっつー名前があるんだが、もうなんでもいいぜ。
やっぱ、人助けをすると気分がスッキリするぜ!
「アナベルの嬢ちゃん、旅の目的地は決まってるのかい?」
「目的地は、“ビギニー伯爵”のお屋敷があった街」
ビギニー伯爵……それがアナベルが仕えてたっていう屋敷の主人か。
「ビギニー伯爵のお屋敷って……」
「俺らが暮らしてる街の外れにあったお屋敷のことだよな」
「……え?」
「数か月前に、火事で燃えちゃったけど……そこで合ってる?」
「……合ってる。ルヴィたちも、その街に行く?」
「うん! 今まさに向かってる所だよ!」
「……すごい、偶然」
まさか、アナベルが探してたお屋敷のある街がルヴィたちの地元だったとは驚きだぜ!
北側の街道を選んで大正解だったな!
「なんだなんだ、そういうことなら一緒に行こうぜ嬢ちゃん。もちろん、ぎゅいぎゅいもな」
「さあさあ、馬車に乗って! このまま街道を北に進んで行けば目的地の“ハワラタシティ”だよ!」




