21 馬車を助けるぜ!
……。
…………。
【強力な光エネルギーを感知。ソーラーチャージを開始します】
「ブォン……ドッドッド……(ん……朝日が眩しいぜ……)」
壊れた橋の代わりに切り倒した木で丸太の一本橋を架けたオレたちは、川を渡って少し歩いたところで日が落ちてきたので本日の活動を終了することに。
エネルギーを消費しないようにとにかくじっとして夜を明かし、異世界チェーンソー転生3日目の朝がやってきた。
「おはよう、ぎゅいぎゅい」
「__オハヨウ」
「ふふっ。やっぱり、ちょっとだけ喋れるようになったんだね」
「__セイカイ」
ボイス機能をオンにして、アナベルと朝の挨拶を交わす。
マジでちょっとしか話せないしエネルギーも消費するけど、これから1日が始まるわけだし、挨拶は大事だよな。
「今日はこのまま街道を北に進んで、あの丘の上まで行ってみたい」
「ブォンブォォォン!(丘の上から近くの街とか見えるかもな!)」
オレたちの目的地は、アナベルが暮らしていたお屋敷……が、あった街だ。
お屋敷は山賊たちに襲われて燃やされてしまったらしいが、現状がどうなっているのかアナベルは知らない。
だからその辺を確かめるためにも、彼女を街まで連れて行ってあげたかった。
「(ま、オレは行きたい場所とか別にねえしな)」
行きたい場所がないというか、この世界のことを全然知らないので何を目指してどこにいったら良いとかが全然分からないんだよな。
アナベルと一緒に旅をして、立ち寄った街で地図を手に入れたり、街の住民に今いる世界というか、国の情報を聞いてみたり……
まずはそういうことからやっていこう。
「(とはいえ、そのためにはもうちょい普通に喋れるようにならねえとだな)」
今のオレは、ブォンブォンとエンジンをフカしたり謎の単語をたまに発するだけのチェーンソーだ。
人に話しかけようにも、チェーンソーが自走しながら近づいてきたら普通にビビられそうなんだよな。
「(とにかく今は街道を旅しながら魔物を討伐したり、木を伐採してポイントを貯めないと)」
よっしゃ、今日も気合入れていくぜ!
「ヒヒ~ンッ!!」
「(ん? 今なんか、馬みてえな鳴き声がしたな)」
アナベルと一緒に街道を進んでいると、前方にある丘の先から馬の鳴き声のようなものが聞こえてくる。
もしかして、暴れ馬の魔物とか……ケンタウロス的な?
そうだとしたらさっそく戦闘開始か?
いやでも、ケンタウロスだと上半身は人間だから会話できるかも。
「ヒッヒィ~ン!」
「……この丘の先に、何かいる」
「ギュインギュイイイン!(とりあえず行ってみようぜアナベル!)」
少し警戒しながら、アナベルに抱えられて街道を進んで行く。
するとそこには、街道脇の湿地にハマってしまい、立ち往生している1頭の馬と1台の馬車がいた。
「ヒヒ~ンッ!」
「くそっ! 車輪が……!」
「お父さん、このままじゃ魔物に襲われちゃうっ……!」
馬の後ろ足が湿地帯の泥にハマっており、その後ろに車輪が半分沈みかけている馬車がいる。
馬車にはおっさんと女の子が乗っていて、会話を聞いている感じ親子のようだ。
「……ピンチ確認。助ける」
「ブォンブォン!(困った時の人助けだぜ!)」
とはいえ、どうすっかな……あの馬を牽引できるほどの馬力は今のオレには無いだろうし。
「(……泥を振動させて、液状にすれば馬の足が抜けるんじゃねえか?)」
馬が街道に復帰できれば、馬車を引っ張り上げることは出来そうだし……
よし、やってみるか。
「ブロロロロロロロロロロン!(フル回転で湿地に突撃だぜええええええ!)」
「ぎゅいぎゅいっ?」
鎖刃を地面に接地させてエンジンをフカし、一気に回転しながら自走する。
そのまま馬の後ろ足がハマっている湿地に飛び込み、泥を鎖刃の回転で耕して液状にする。
「ギュガガガガガガガガガッ!(うおおおおおおおおおっ!)」
「なっなんだなんだ!?」
「回転する剣みたいな変なのが泥に飛び込んで暴れてるわっ!?」
「ヒヒィ~ンッ!?」
【ダメージ発生! -5%】
【ダメージ発生! -5%】
【ダメージ発生! -5%】
【ダメージ発生! -5%】
「ギャガガガガガガガ~!(泥でめっちゃダメージ食らってるぜ~!)」
「ぎゅいぎゅい、たのしそう」




