02 転生特典だぜ!
「うわ~! マジで死んじまったのかよオレ!」
「はい、マジで死んでしまいました」
女神の話によると、オレはチェーンソーのキックバックを顔面に食らってアジの開きみたいになって死んじまったらしい。
キックバックっつーのは、チェーンソーとか丸ノコみたいな切断機器を使ってる時に突然発生する跳ね返り現象のことだ。
「くっそ~、親方の話ちゃんと聞いとけばよかったな~……」
「まあ、死んでしまったものは仕方ありません。切り替えていきましょう」
「そんなすぐに切り替えられねえよ~!」
死んじまったオレが今いる所はいわゆる『天界』みたいな場所で、この自称女神によると、オレはこれから他の世界に転生することになるらしい。
他の世界ってなんだよマジで……
オレ、全然また日本でいいんだけどな~……
「私も忙しいので基本的にはランダム転生なのですが、あなたの死に様があまりにも可哀想だったので特別対応してあげます」
「マジで!?」
まあでも、それはそうだよな。
1日に何人も死んでんだから一人ひとり世話してたら仕事終わんねーよな。
特別対応あざっすって感じだぜ!
「じゃあさじゃあさ、モンスターとかいる異世界に行かしてくれよ! 剣と魔法のファンタジーってやつ!」
「まあいいですけど、自ら過酷な世界を望むとは……さすがあんな死に方をした人ですね」
「死因はかんけ~ないだろっ!」
っつーわけで、オレはなんだかすごいファンタジーな世界に転生できることになった。やったぜ!
日本でもいいけど、やっぱファンタジー世界の方が楽しそうだよな!
「とはいえ、今のヤイバさんが着の身着のまま転生してもモンスターに襲われて死んでしまうかもしれません」
「え~! すぐ死んじまうのは嫌だぜ~!」
「というわけで、ひとつだけ転生特典でお願いを聞いてあげましょう」
「マジ!? やったぜ~!」
どうやらオレは、過酷な異世界に転生する代わりに女神からちょっとサポートしてもらえるらしい!
これってあれだよな?
最初からめっちゃ強い武器とか持ってたり、めっちゃ強い魔法が使えたりするやつ!
「ヤイバさんは、なにか欲しいスキルや武器、使いたい魔法などはありますか?」
「そうだなあ……」
やっぱ最強の装備アイテム貰うのが良いのか?
伝説の聖剣とか、適当に射ってもめっちゃ当たる魔法の弓とか……
あーでも防具もいいよなあ。
無敵の鎧とか、ダメージを反射する盾とか。
「……でもやっぱ、オレにとっての最強はチェーンソーなんだよな」
あの最高にかっけーフォルムに、でっかくて堅い木でも切り倒せる破壊力。
っていうか、異世界なら普通にチェーンソーとか無さそうだし、持ってったら強すぎてマジでびっくりされるんじゃね?
「あっそうだ! ねえ女神様、オレを“チェーンソーメン”にしてくれよ!」
「ソーメンですか?」
「ちげえよ! チェーンソーメンだよ!」
チェーンソーメンは、オレの大好きなアクション漫画だぜ!
全身からチェーンソーを生やすことができて、敵が現れたら巨大なチェーンソーバイクに乗って戦うサイコーにかっけーヒーローなんだ!
オレもあんな感じで異世界のモンスター相手に戦えたらなあ……!
「チェーンソーメン……チェーンソーの、メンズ……なるほど、ヤイバさんのお願いを理解しました」
「よっしゃ! それじゃあチェーンソーメンになって異世界に転生だぜ!」
死んじまったって分かった時はマジで絶望だったけど、これから楽しくなりそうだぜ!
まさにこれからがオレの第二の人生ってヤツだな!
「それではヤイバさんを“オスのチェーンソー”に転生させますね」
「おう! ……ん? い、今なんて?」
「座標固定。転生作業開始……ヤイバさん、過酷な道になると思いますがどうかお元気で」
「ちょちょちょっちょっと待ってくれ、オスのチェーンソーってどういうことだってばよ~!?」
……。
…………。
こうしてオレは、異世界に転生してチェーンソーになっちまったんだ。




