01 死んじまったぜ!
ブォン……ブォン……!
腹にズドンと響くようなエンジン音がどこかで鳴っている。
いや、違う。これは……オレ自身の音だ。
「ギュイイイイイイインッ!(なんでオレ、チェーンソーになってんだ!?)」
ことの発端は数時間前……正確には『オレが死んだ瞬間』から始まった。
―― ――
ブォンブォン……ギュイイイイイイイン!!
「今日も絶好調だな相棒~!!」
オレの名前はヤイバ!
伝説のチェーンソー使いだぜ!
「あんまり調子のんなよヤイバ! 事故ってケガしても労災下りねえからな!」
「うっす親方!」
オレが伝説のチェーンソー使いってのは実は嘘で、本当は山で木の伐採をする仕事をしてんだ。
オレみたいなヤツでも稼げる林業ってのはすげーな!
「伐採伐採! いくぜ相棒~!!」
ギュイイイイイイイン!! ドガガガガガガガ!!
最近まで地味な雑作業ばっかりだったけど、親方のOKが出てようやくオレも伐採作業をやらせてもらえるようになったんだ。
チェーンソーっつう木を切る機械を使って、ギュイギュイ伐採しまくりだぜ!
「やっぱかっけーな、チェーンソー!」
ディープバイオレットの金属ボディに、無骨な黒いグリップ、猛スピードで回転する鎖刃……
まさに武器って感じで最高にクールだぜ!
「さすが相棒……いや、もはやオレの右腕だな!」
「使い始めて1週間も経ってねえヤツが右腕とか言ってんじゃねえよ!」
「す、すいやせん親方っ!」
まあでも、それはそうだな……
オレはまだ伐採作業を始めたばかりのペーペーだ。
マジで右腕って言えるまで使い込むには親方くらい長年やっていかねえとな。
「もっともっと伐採しまくって、本当のチェーンソー使いになってやるぜ!」
ギュイイイイイイイン! ドガガガガガガッガッガッガ!!
「お、相棒もやる気マックスだな!」
チェーンソーの駆動音がまるでオレに返事をしてくれているみたいだ。
親方くらいのベテランになると、チェーンソーが何言ってるのかも分かんのかな?
「……っ!? おいヤイバッ!!」
「へ?」
ドガガガッ!! ガガガッガガッガッガ……ギュインッ!!
「っ!?」
その時、オレの視界が一瞬だけゆっくりになった。
木の側面に当てたはずのチェーンソーの刃が、跳ね返って何故かオレの顔面に向かってきやがったんだ。
ギュイイイイイイインドドドヂュッ!! ブヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂッブッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
「ぎゃああああああああああああああああああああっ!!!!!?????」
「ヤイバあああああああああああっ!?」
こうしてオレは、チェーンソーのキックバックをモロに食らって死んじまったんだ。
……。
…………。
「う~ん……はっ!」
目が覚めたら、病院みたいな白い部屋にいた。
おかしい、さっきまで山の中にいたはずだよな……?
「っていうかオレ、チェーンソーでグッチャグチャに切られて死んだはずじゃ……?」
自分の体を確認してみる。
うん、服に血とか付いてないし、頭も真っ二つになってない。腹も痛くない。
ということは、もしや……さっきのは全部夢か?
「な~んだ、夢だったのか~」
「夢じゃありませんよ」
「えっ?」
知らない女の人の声がして振り返ると、そこには……真っ白な翼の生えた姉ちゃんがいた。
「な、なんだお前っ!? ニワトリ人間かっ!? ホワイトレッグホーン種か!?」
「女神の翼をニワトリと表現されたのは初めてですね。しかも品種まで。なるほど、中々面白いジョークです」
「め、女神……!?」
真っ白な部屋に、真っ白な翼を生やした女。
オレはまだ夢を見ているのか……?
「初めましてヤイバさん。私は輪廻転生を司る女神です。あなたは先ほど死にました。よって、これから転生の手続きに入らせていただきます」
「転生、女神……? 女〇転生!?」
「それはゲームです」




