19 街道沿いを進むぜ!
【エネルギーチャージ完了!】
「ブォオオン!(元気満タンだぜ!)」
「ぎゅいぎゅい、元気になったね」
森を抜けたオレとアナベルは、緩やかな丘の間を通る街道の脇まで移動し、体力回復の為に少し足を止めて休憩した。
おかげで太陽が沈む前にソーラーチャージのスキル効果で回復することが出来たので、魔物と戦ったりして消耗しない限りはしばらく大丈夫そうだ。
「(せっかくボイス機能のおかげで単語音声が出せるようになったから、もうちょっとアナベルと喋りたいんだけどな……)」
この世界に転生してきたときは動くことすら出来なかったオレだけど、今は習得したスキルの効果で自走したり喋ったりすることができる。
とはいえ大してスピードも出ないし、1単語ずつしか話すことができない。
更にエネルギーも結構消費してしまうので、今のところはあまり気軽に使えない機能だ。
「(もう少ししたら夕暮れだし、朝になるまで省エネで活動しよう)」
オレが現在可能なエネルギーの回復方法は、太陽光でチャージする『ソーラーチャージ』のみだ。
自律式駆動人形のアナベルは、大気中の魔力を吸収してエネルギーにできるみたいだけど、オレにはその機能は備わっていない。
これから夜になってソーラーチャージが使えないことを考えると、日の出までは大人しくしていよう。
「さてと……どっちに行こうかな?」
「ブォオン、ブォン……ドッドッド、ドッドッドッド……(右に行くか、それとも左か……うーん、悩みどころだぜ……)」
「太陽の位置を考えると、街道は北向きと南向き……わたしが働いていたお屋敷がある街の方角は……上?」
「ギュインギュイイン(それじゃあ天国に行っちまうぜアナベル)」
アナベルが暮らしていた街と現在地のマップ情報がないので、街道の北と南、どちらに進めばたどり着けるのか分からない。
山賊の野郎、この辺りの地図くらい持っとけよなあ……
「ここで悩んでいても仕方ないし、どっちかに決めて進まないと」
「ギュインギュギュギュイン!(それならオレに任せてくれ!)」
「ぎゅいぎゅい?」
どっちに行くかで悩んだ時は、木の棒を倒したり、花占いをしたり、ダーツを投げたり、ルーレットで矢印が指した方向に行くのが良いぜ!
運と神様の言う通りってヤツだな!
ギュインギュイイイイン……バタンッ!
「ブォンブロロロン!(こっちだぜ!)」
オレはチェーンソーになった自分自身を木の棒に見立て、道の真ん中で直立してからバタンと倒れた。
その後、北側の道に倒れたのでそっちに行くことにした。
「……ぎゅいぎゅいは、そっちに行きたいんだね。それじゃあ、北を目指そう」
「ブロロロロロオオオン!(北に向かってレッツゴーだぜ!)」
……。
…………。
「これは……」
「ブロロロン……(橋がぶっ壊れてるぜ……)」
北の方角に続く街道をしばらく歩いて行くと、そこそこ深そうな川が流れている場所にたどり着いた。
川は街道を横切るように流れていて、街道の先には向こう岸に渡るための橋がかけられているのだが、途中で崩れてしまっていた。
近くに別の橋はなさそうだし、どうすっかなあ……
「ぎゅいぎゅい、泳げる?」
「ギュイギュイン……(防水機能はまだ無いぜえ……)」
それに、もし防水機能と水泳機能が付いたとしても、川の流れがかなり速くて向こう岸にたどり着けずに水没しちまうかもしれない。
アナベルは水浴びできるくらい防水がしっかりしてるっぽいが、それでも激流の中を泳いで渡るのは厳しそうだ。
「(なにかいい方法は……そうだ!)」
川沿いを眺めていると、大きな木が生えているのを発見する。
橋がないなら、丸太橋をかければいいじゃない……アントワネットさんもそんなことを言っていた気がするぜ!
「ギュイン、ブロロロロン!(アナベル、あの木を切り倒して橋にしようぜ!)」
「ぎゅいぎゅい、どうしたの?」
ダメか、さすがに細かいコミュニケーションは伝わらねえよな……よし。
「(ボイス機能をちょっとだけ使うぜ!)」
【ボイス機能をオンにしました】
「__バッサイ」
「ぎゅいぎゅいが、また喋った……バッサイ?」
「__ハシ」
「ハシ……伐採と、橋? 木を伐採して、橋にする?」
「__セイカイ」
パーフェクトコミュニケーションだぜ!




