14 森を抜けるぜ!
森を進みながら道端の木の枝を伐採し、伐採ポイントを貯めること数時間。
オレは……めちゃめちゃに疲れていた。
「ブォン、ブロロロ……(ダメだ、移動のエネルギー消費にチャージが追い付かねえ……)」
「ぎゅいぎゅい、大丈夫?」
鎖刃を車輪代わりに地面に向けて回転させることで自走が可能になったのだが、自走したり伐採したりっていうアクションで消耗するエネルギーがソーラーチャージの回復量よりも多いせいで、気付いたらかなりの体力を失っていた。
「(森の中っていうのも良くないんだろうな。木が太陽光を遮ってあんまりチャージできてない気がするぜ)」
結局、低エネルギーでフラフラ進んでいるところをアナベルに見つかり、今はまた彼女に抱えてもらった状態で移動している。
なんつーか、散歩に行ってはしゃぎ過ぎて、疲れて飼い主に抱っこされて帰宅する小型犬みたいだな……情けねえぜ。
「(それにしても、アナベルはすごいな。結構長い時間休まずに歩いてるけど、まだまだエネルギー残量は問題なさそうだ)」
自律式駆動人形のアナベルも、オレと同じように自分で回復することができるらしい。
オレのソーラーチャージスキルとはまた違って、大気中の魔力を吸収してどうのこうのって感じらしいんだが、アナベルの説明を聞いてもオレには難しくてよく分からなかった。
「ブォオン、ドッドッドッド……(しかも、結局細い枝しか切れなかったぜ……)」
木の幹からガッツリ伐採するには結局アナベルが操縦者になってやるしかないのだが、オレが言葉を発せないのもあってうまくお願いできないので、無理やり木の枝に突撃して切るというコスパの悪い方法しか取ることが出来なかった。
しかも木の枝は切っても入手できる伐採ポイントが少ないので、これならしばらくは襲ってくる魔物を討伐した方がポイントを稼ぎやすいかもしれない。
「(次にスキルを習得するときは絶対に『ボイス機能』だな)」
ボイス機能のスキルは200BP……ついさっき伐採ポイントをほぼ使い切って『自立駆動Lv2』を習得したばかりなので、しばらくは今の状態が続くだろうな。
「ぎゅいぎゅい、もう少しで森を抜けられそう。今日は、このまま行っちゃって良いんだよね」
「ギュオン、ギュイイイイイイン(ああ、お前を縛る枷はもう無いからな)」
山賊に攫われ、奴隷のように扱われていたアナベル。
薪拾いや山賊たちの食材探しで森の中を歩き回ることはあったが、駆動制御の枷を付けられていたせいで今まで森の外まで逃げることができずにいた。
しかし、今の彼女は自由の身。
森を出てどこまでだって行けるんだぜ。
「(よっしゃ、アナベルが運んでくれてるおかげで大分エネルギーが回復したぜ)」
とはいえ、夜になったらオレは完全に回復できなくなっちまう。
今はアナベルの世話になって、エネルギーのチャージを優先した方がいいかもしないな。
ドスッ……ドスッ……
「(ん? なんだこの音)」
深い森を進むオレたちの進行方向から、ドスドスという、巨大なナニカの足音のようなものが聞こえてくる。
これはまた、なんというか……いや~な予感がしてきたぜ。
ドスッ、ドスッ……
「……ぎゅいぎゅい、エネルギーは回復した?」
「ブォン、ドッドッドッド……ギュイン、ギュイイイイイイイン!(おう、バッチリ……とまではいかないけど、戦う準備は出来てるぜ!)」
「うん、元気そう。なら大丈夫だね」
両手で抱えていたオレの体を剣のように構え直し、正面からやってくる大きな足音のナニカを警戒するアナベル。
そして……遂にヤツは現れた。
ドスッ、ドスッ、ドスッ……
「フシュー……シュコー……」
「(な、なんだコイツは……!)」
オレたちの目の前に現れたのは、巨大な石のブロックをいくつも積み上げて組み立てたような、石造りの巨人だった。
「……アイツはおそらく、ゴーレム系の魔物」
「ブォン、ブロロロロロロロン!(こ、こんなのチェーンソーじゃ文字通り歯が立たねえよ~!)」




