12 水浴びで死にかけたぜ!
「ブォンブォン……(酷い目に遭ったぜ……)」
「ごめんね、ぎゅいぎゅい」
焚き火にあたりながら、濡れた体を温めて乾かすオレとアナベル。
森の中で見つけた小さな泉に寄って、今までにぶっ殺してきたゴブリンやら山賊やらミッドウルフやらの返り血を完全に洗い流す……
まあそこまでは良かったのだが、問題はオレが人間じゃなくてチェーンソーだったということ。
そしてアナベルは、チェーンソーが水に弱い動力工具だという情報を知らなかったということ。
「(泉に突っ込まれた途端、エネルギーが減少し続けてヤバかったぜ)」
アナベルがオレを洗おうと水に入れた途端【水没中! -5%】のポップアップ表示が出続けて一気にエネルギーが減少。
ギュインギュインと鎖刃を回転させて暴れるオレを見てエネルギー減少に気付いたアナベルが急いで陸に上げ、なんとかエネルギー切れになる前に回復することが出来た。
「ぎゅいぎゅいは水に弱かったんだね。わたしが平気だから、同じようにやっちゃった」
「ギュイン、ブォンブォン(気にすんなってアナベル、オレが喋れないのが悪いんだからよ)」
自律式駆動人形のアナベルは、水に入っても全然平気らしい。
自分で考えて行動できるし、めちゃめちゃ頑丈なボディだし、見た目は完全に人間と変わらないし……いやあ、こっちの世界の人形はすげえんだな。
あとはその……ボディもちゃんとというか、かなり人間の女の子って感じだったぜ。
いやしょうがねえだろ! アナベルがオレのこと気にしないで服脱いで水浴びするんだから!
「ギュイン、ブォンブォン(まあ、こんな見た目じゃ気にするも何もねえか)」
オレを転生させてくれた女神は『オスのチェーンソー』とかワケ分かんねえこと言ってたけど、この見た目で男も女もねえからな。
もしかしてシステム画面のどっかに載ってたっけか……?
「(BS-SYSTEM、起動)」
【伐採スキルシステム起動】
・名称:チェーンソー/ヤイバ
・装備者:自律式駆動人形/アナベル
・エネルギー残量:62%
・必殺技:キックバックLv2[-5%]
・伐採ポイント:110BP
・習得スキル:自律駆動、言語理解、ソーラーチャージ
・習得可能スキル:自律駆動Lv2[100BP]、エコモード[150BP]、軽量化[150P]、ボイス機能[200BP]、ソーラーチャージLv2[200BP]、視界拡張[300BP]
うーん、性別とかはどこにも載ってないな……
「(おりょ? 伐採ポイントが貯まってんじゃん)」
そうか、さっきミッドウルフを倒した分が加算されたんだ。
「(110BPか……貯めといてもいいけど、自律駆動Lv2が習得できるんだよな)」
自律駆動はオレがチェーンソーになった最初から持っていたスキルだ。
自力でエンジンをフカしたり鎖刃を回したりできるのはこのスキルのおかげだと思う。
「(Lv2になったら何ができるんだろう……よし、習得してみるか)」
【100BPを消費して『自律駆動Lv2』を習得しますか?】
「ブォン!(習得するぜ!)」
【習得スキル『自律駆動』が『自律駆動Lv2』にアップグレードされました】
さてと、これでどうなるんだ……?
【『自律駆動Lv2』習得により、“自走”が可能になりました】
「(……ん? 自走?)」
そういえば、なんか体が軽くなったというか、下半身に力が入るような感覚がするな……
いやまあ、下半身とかねえんだけど。
「(試しにちょっと、自走とやらをしてみるか……)」
自分の体に追加された新たな感覚に従って、チェーンソーの鎖刃を動かしてみる。
ギュイン、ギュインギュイン……ギュンギュンギュンギュン……!
「ブォオン! ブロロロロロロロ!(うおー! めっちゃ走れるー!」
なんと、チェーンソーの鎖刃部分を地面につけて回転させることにより、自力で移動することが出来るようになってしまった。
なんだこれ、めっちゃ楽しい! ウィリーバイクみてえだ!
「ブロロロロロロン! ブィンブィイイイイイン!」
「……ぎゅいぎゅいを水に入れたら、走れるようになっちゃった」




