199話 それぞれの道へ。そして・・・
地上に戻る面々は、浮遊大陸勢の見送りを受けながらダンジョンへの転移部屋に入り、操作パネルを操作すると、
”ぶーーーーん”
と音がした。
ドアが開くとそこは地下ダンジョンの連絡通路だった。
戦士「戻ってきましたね。もう浮遊大陸に行くこともないのかな。それはそれで寂しいな」
僧侶「行けないわけじゃないので、時々遊びに行けばいいんじゃないですかね。
私はそうするつもりですよ!来るなとは言われてないし」
魔剣「言われてないが・・・」
スカウト「カードキーを管理するのは大聖堂だろ?OKがでればな」
僧侶の都合のいい捉え方に反論する面々。
補佐「連絡員として行くことはあるでしょうね。それ以外だと、要相談としましょう」
そう言って笑顔で返された。
僧侶「まあ十分浮遊大陸を楽しめたから、いいか。とは言いたくないな。
地上と全然違う世界をもっと楽しみたい」
魔法使い「あんた変わったわね」
ジト目でぼそりと呟かれてしまった。
それでも憧れの浮遊大陸への熱を尚も語る僧侶。
僧侶「ずっと行きたいと思っていた場所ですからね。遠慮しませんよ」
戦士「ほどほどにね。僧侶さん」
戦士も苦笑いだ。
補佐「まあ今回のやり取りをしたメンバー以外にとっては戦場となった場所であり、行きたい場所でもないかもしれないですからね。
攻略に参加した冒険者は浮遊大陸の存在を知っていますが、入島は制限するつもりです。
情報が変に漏れるのは避けたいですから」
スカウト「だな。大司祭のこととか、知られたくないことがあるからな」
側近「我々が黙っていれば、問題ないでしょう。
王城側としては今回確認できなかった非公開情報がまだあって、その確認に浮遊大陸を再度訪問する予定です。その時は補佐のところに寄らせていただきます」
補佐「承知しました。カードキーはすべて我々が所有しているので、必要があればどうぞ」
やり取りを終えると、転移魔法で地上へ移動した。
大聖堂まで移動すると、そこで各々散っていった・・・
地上勢力と浮遊大陸勢力。
それぞれが連絡を取り合い、争いになることなく、時は平和に流れていった。
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時は流れ、秘密の書庫で書物を読み漁った面々も1人また1人と亡くなっていった。
それでも引継ぎはされており、浮遊大陸と必要な連絡は続いていた。
あと何年で分離できるのか。そんなカウントを互いに確認しあうイベントを用意したりして、大聖堂と浮遊大陸は交流を続けていた。
何年何十年と経過し、浮遊大陸では書物の情報を元に闇の宝珠を分離するための分離技術者が誕生していた。
500年は分離不可という設定にされていたため、実際に分離作業のテストもできなかった。そのため、うまくいくかは未知数だ。
そんな分離技術者も次の代へ技術を伝承するだけで、実践する事なく亡くなることを繰り返していた。
更に時は流れ、あと100年ちょっとで宝珠の分離が可能になる時期になったある日のこと。
秘密の書庫で本を読み、最初に驚愕の事実に触れたメンバーで生存している者は、浮遊大陸側にも大聖堂側にももういない。そんな中、最後の生存者となった元冒険者の魔法使いは、死期が近づいたことを感じ取り、最後の浮遊大陸訪問をしていた。
数百年前、仲間と共に歩んだ浮遊大陸の各棟を通過し、司書長官室にこれまでと同じように、特別に入室を許可された。
驚愕の事実を次々に発見した司書長官室の秘密の書庫。そこに再び今代の司書長官と共に入った。
ペラペラと本をめくり、当時を思い返していた。
「あと少しだったんだけどな。残念」
最後にそう一言呟くと、部屋を退出し、地上へ帰っていった。
そして数年後、闇の宝珠の分離を見ることなく、秘密の書庫を発見したメンバーの最後の一人が旅立った。
更に時は流れて・・・
大司祭が天球システムを操作して500年が経過し、闇の宝珠を分離可能になっていた。
しかし・・・
そこにあったのは、闇の宝珠が分離され、昼だけとなった世界ではなかった・・・
あったのは、昼と夜を巡る戦いであった・・・
そう、昼だけの世界にしたい浮遊大陸勢力と昼夜の世界を守りたい地上勢力の戦いであった・・・・
はい。最悪な終わりですかね。
夜のある世界に慣れた地上種と獣人種たち。
彼らには昼だけの世界にする理由がもうありませんでした。
一方の浮遊大陸勢力には、昼だけの世界にしたい理由がありました。
夜の闇を忌避する天上人種にとって、昼だけの世界に戻すことがずっと目標であり続けたのです。
そころが、そんなものが無い地上種側にとっては、慣れた昼夜のある世界でよかったのです。
ここで夜が無くなると生態系や生活が大きく変わってしまいます。
大聖堂には夜の除去不要論が出ていましたが、それを抑える発言力を持っていた魔法使いも亡くなりました。
500年後の世界には、昼だけの世界を経験した人がいなかったのです。
こうして新たな争いの時代が始まりました。




