終幕
後日放映された『ジリアン・ルージュ』復帰回は大反響を呼んだ。
視聴率はうなぎ登りで、天界の上層部は小躍りして喜んだらしい。
そして、
「すご!一回の出場でもう一万貯まった!」
ピコン♪と断続的に鳴り続けるP表示ブレスレットを見て、私は声をあげた。
嫌われ者だったジリアンがここまで人気になるなんて、ちょっと信じられない気持ちだ。
これも、真面目に頑張ってやってきた成果だろうか?
「よし、じゃあ目標金額は貯まったな。戻ろう下界に」
対するブラックは面白くなさそうな顔で頬杖をついた。
ちなみに彼もラストシーンで大復活したので加算Pがとんでもないことになっていて、右腕のブレスレットが光り続けている。
もう一人か二人くらい生き返らせられる勢いだ。
……イエローとかに分けてあげれたらいいのに、P。
「まだ言ってるの?だからダメだって。諦めのわるい男ね」
「諦めわるくて結構!これ以上ジリアンの魅力に気付く奴を増やしたくないんだ、おれは!」
「魅力なんてないって言ってるじゃない、馬鹿ね」
「~頼むから、もっと自覚してくれ!」
ライバルが増えるばかりだ!と嘆く男は放っておいて、私は次の台本を確認する。
恋愛路線に変更すると言っていたが、まだまだアクションが中心のところが多い。
ここはホワイトと一緒に殺陣の練習をするべきか……
「おーい、ジリアン!」
と、手をブンブン振りながら駆け寄ってきたのは、くわえタバコのロクデナシ上司。
「なんですか室長。ここは禁煙だって何回言えば……」
「そんなのはどうでもいい!お前のおかげでまた『ヘブンレンジャー』が注目されてきた!『ジリアン・ルージュ』は最高だ!!」
『天界 界民課 自殺者職業案内室』室長は、上機嫌に笑った。
「いやーよかった!最初にお前を『悪の女幹部』役に抜擢した俺の目に狂いはなかったってことだ、そうだろ!?」
「――ま、そうね」
ふう、と息を吐き、台本を閉じて室長を仰ぎ見る。
これを言うのはひどく癪だけれど。
「私も天職だと思っているわ、文字通りね」
終




