↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生大賢者の現代生活  作者: サクラ近衛将監
第三章 異界の調査団

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/35

3―2 異界との闘い その二

 今日は8月25日、高校の夏休みも残すところ一週間を切った。

 数年前までは夏休みは8月25日又は26日頃までだったようじゃが、北海道も環境変化の所為か気温が高くなったので、夏休みを8月一杯とするようになったらしい。


 その所為(せい)もあって冬休みは短くなったらしいのぉ。

 いずれにせよ、今日の午前9時には、野津幌(のつほろ)で調査団の会議に出席することになっておるのじゃ。


 調査団の主な任務は異界の科学調査であり、異界の接続点の周囲の調査と、内部の調査に分かれることになる。

 地球物理学、放射線学、物性化学、電磁器学、光学、気象学、天文学等様々な分野の学者が一堂に会するようじゃ。


 彼ら科学者に魔物と戦う力が有る者は皆無か至って少ないはずじゃから、第11旅団以外にも各地の旅団から選抜された特殊隊員が彼らの警護に当たることになっている。

 通常の武器では対応できないことから、ジャベリン等を含む威力の高い武器を揃えており、今回は攻撃ヘリも10機を準備しているらしい。


 これまでにプレハブながら、現地本部が野津幌の異界接続点付近に設営され、多くの機材と事務員や助手たちが順次入り込んでいるらしい。

 また、異界の接続点の周辺は、壁が築き始められており、計画では高さが6mほどの厚い壁で覆うことになっており、この工事は野津幌だけではなく、国内に有る異界の接続点全てで始められている。


 今回の調査においては、異界内部での調査がメインであるので、物資の補給等ロジも重要な問題なので、かなり膨大な量の必要物資と弾薬を現地に堆積しているところらしい。

 何しろ異界の中では100倍近い速さで時間が経過する。


 中にいる人間は、内外の時差に関わらず、極普通に生活するだけなのだが、こちらの世界から見れば、一人1日分の食料の量が3か月分強ほどの量になる。

 仮に一人の者が1日2キロの食料を食べるとして、およそ200キロの量を、こちら側の1日で消費することになるのじゃ。


 警護の自衛隊員の数を含めると、凡そ200名規模の調査団(科学者はそのうちの2割程度)の異界駐屯が想定されることから、仮に調査団がこちらの時間で24時間(異界の時間では凡そ2300時間強:約96日分)異界に留まる場合、およそ40トンの水や食糧が必要になるということじゃ。

 今回の場合は、異界で発電機を運転して必要な電力を得ようとしているらしいので、その燃料等も必要なのである。


 而(しこう)して、異界へ持ち込む物資はかなりの量になったようじゃな。

 儂のインベントリを使えば運搬も至極楽になるのじゃが、敢えて儂の能力を披歴(ひれき)する必要は無かろう。


 例のごとく、儂は転移で10分前に野津幌に到着した。

 5分前でも良かったのじゃが、この仮設プレハブ群はかなり数が多いので、入り口で案内をしてもらわねば、会議場がどこかが分からぬのじゃ。


 敢えて事前に調べてはいなかったのじゃが、相応の警戒はしておるよ。

 何処に儂を敵視する者が居るかはわからぬでな。


 人は、嫉妬(しっと)や妬(なた)みから、思いもかけぬ異常な行動をとることが有るのじゃよ。

 例えば、前世においては、宗教にかぶれた熱狂的な信者の中には、魔法を使う者を、神の摂理に反する者として忌み嫌う者も居ったのじゃ。


 前世でア(・)ム(・)ラ(・)ム(・)教(・)なる怪しげな宗教が有って、この信者は魔導師を神に仇(あだ)なす者として神敵(しんてき)認定をしており、事あるごとに魔導師の暗殺を企む厄介な連中じゃった。

 『神の奇跡を人が為してはならない』という強迫観念からくる殺意であり、これがまた、魔力を持たぬ者達の間で大いに信者を増やしていたのじゃ。


 そのために、王宮魔導士団でも毎年一人か二人は、アムラム教の信徒によって殺害されておった。

 彼らは殉教者(ルビ)(?)であるがため、自らの死を恐れことで知られており、至極厄介な奴らなのじゃ。


 ところで、科学者チームは40名前後なのじゃが、その中には、それぞれの調査目的ごとにおおよそ4~6名前後のチームに分かれており、そのチームリーダーに大学の教授等がなっており、准教授あたりがサブリーダーで付いておるようだ。

 雑用を行うのは講師若しくは助手であるらしいが、学生を使っているところもあるようじゃ。


 打ち合わせ会議が、40畳ほどの広さのプレハブ建物の中で開催されたが、それぞれに名刺交換などを行って居ったが、儂に名刺なんぞはありゃぁせん。

 従って、そうして連中からは離れておるのじゃが、やはり大学生あたりとは明らかに異なる高校生の坊主は目立つようじゃな。


 会議場は26名ほどが座れるロの字型に整えられた折り畳みテーブルと折り畳み椅子からなり、置かれている名札を見ると、正面に文科省関係者、両脇に学者集団、対面に儂を含めた陸自職員が座るようだ。

 壁際には、随行員の席も40席ほどあるな。


 因みに、越智陸将と中井一佐も参加していたので、顔見知りはこの二人だけじゃったな。

 一応、二人には挨拶をしておいたわい。


 陸自からは、設営部隊の緑川(みどりかわ)二佐、異界内部警備部隊の菊池(きくち)一佐も参加していて、その二人については越智陸将から紹介を受けたよ。

 間もなく会議が始まった。


 司会は、文科省の合田(ごうだ)審議官が務め、最初に官側から自己紹介が有った。

 文官の出席者は、合田審議官以外に内閣安全保障室の崎山(さきやま)参事官、文科省の異界特別調査対策課の吉岡(よしおか)課長、国交省特別災害対策課の佐藤(さとう)課長の四人であった。


 司会の合田審議官から見て右側に、北海道大学の地球物理学部の山名(やまな)教授と芦田(あしだ)准教授、東北大学の放射線学科田所(たどころ)教授と廣澤(ひろさわ)准教授、京都大学物性化学の御手洗(みたらい)教授と嶋田(しまだ)准教授、東京大学光波・電磁器学の大岡(おおおか)教授と畠山(はたけやま)准教授の八人が並んでいる

 また左側に、筑波大学気象学の成島(なるしま)教授と須永(すなが)准教授、早稲田大学天文学部の金丸(かなまる)教授と城野(しろの)准教授、慶応大学生物学部の高島(たかしま)教授と桜井(さくらい)准教授、長崎大学高度感染症研究センターの安達(あだち)チーフリーダーと三条(さんじょう)サブリーダーの八人が並んでいる。


 次いで陸自サイドの自己紹介が終了し、その末席に座っている俺の自己紹介が一番最後で、司会の合田審議官が俺の身分と名前を言ってくれたから、特段に自己紹介することは思い浮かばず、立ち上がって「よろしく」とだけ言って置いた。

 合田審議官が苦笑しつつ、更に補足説明をした。


「えぇっと、これから話すことは口外禁止でございます。

 この場にいらっしゃる皆さんには、国家公務員に準ずる公務で知りえた情報をみだりに口外し、若しくは、公開してはならないという禁止条項がかかっており、違反すると罰則に触れますのでご注意願います。

 特に今回の場合は、事案の重大性に鑑みて、国家機密と位置付けられており、これまでの罰則が急遽変更になり、500万円以下の罰金に加え、状況によっては無期懲役の刑罰を科される可能性もございますので留意ください。

 なお、事前に取り交わした契約書裏面にその旨が記載されておりますので、必要があればご確認ください。

 なお、助手扱いとして各大学の学生さんも幾人かいらっしゃるようですが、この条項は身分にかかわらず適用されますのでご注意を。

 肝心の国家機密でございますが、佐島君の話であります。

 一介の高校生が、この会議に出席していることを、奇異に思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、彼の場合は、総理大臣の要請で特に参加して頂いている特殊能力を有する人物です。

 彼の場合は、伝説の鬼を複数手なずけているほか、九幌と新東京の間を一瞬で移動できるような異能を保有しております。

 生憎と彼の能力自体をあれこれと探るのが、今回の会議の目的ではございませんので、これ以上の言及は避けますが、彼の場合は学業もあり、当面は土日のみの参加となると思われますが、彼自身は種々の意味合いで、今回の調査の核になり得る人物と考えておりますので、よろしくご配慮願います。」


 うん、儂がしゃべらんものだから、事前に得ていた情報をバラしたようじゃな。

 ある程度は覚悟はしていたものの、●▼党だけでなく、高級官僚にもある程度は知れ渡っておるとみて間違いないじゃろうな。


 これはプライバシーの侵害とやらにはならんのか?

 まぁ、前世ではそんなものは無かったで、そもそも左程気にはせんが、前世と現世では情報の伝達速度が違うでな。


 一旦、秘匿情報が漏れると一気に世界中に広まってしまうのが危ういのぉ。

 まぁ、儂が協力する事項は、左程は多くは無いと思うぞ。


 確かに、大学受験ができる程度の勉強は色々としたが、最先端の研究をやっている学者連中と張り合うだけの知識は流石に無いじゃろう。

 有るとすれば、異界の事を自衛隊員以上に知っておることぐらいじゃろうか?


 あとは、異界のモンスターどもが襲ってきた際の防衛はできるじゃろうな。

 武力に限って言えば、陸自よりもあてになる筈じゃ。


 もう一つは、どの学者の範疇になるのかわからんが、魔素の関連じゃな。

 此方の世界ではこれまでになかった概念ではあるが、確かにこちら側にも異界側にも存在するものであり、こちら側の世界の濃度が低いために、気圧で空気が高い方から低い方に流れるが如く、異界側から魔素が徐々に浸透して来ておると思われるのじゃ。


 但し、このことは、飽くまで儂の勘のようなものであって定量的にわかるものでは無いし、同時にこちらと異界が同じ性質の魔素であるかどうかも不明じゃ。

 但し、一つ懸念されることは、前世において魔素溜まりというものが稀に発生することが有り、それができると、そこに侵入した動物が魔物化するとされていたことじゃ。


 前世でも原因は不明のままじゃが、少なくとも、かつてそこに居た魔物よりも数倍若しくは数十倍の強さとなって魔物が出現することがある。

 大元の動物が何かまでは大まかには判定できるが、明らかに異形の形態をしているし、その能力も桁外れに強くなっているものが多く、稀に明らかに以前の動物とはかけ離れた変異種も居るのじゃ。


 魔素溜まりの中に人間という動物が浸(つ)かればどうなるかはわからん。

 但し、古の文献には魔人と呼ばれる者が時に出現して、世界に大いなる災厄を齎(もたら)したとされておるのじゃ。


 儂が前世で生きていた間には、魔人なる者が出現したとの情報は無かったし、半ば伝説化した寓話(ぐうわ)になっておるものじゃ。

 会議では、今回の調査の日程と各種の調査目的が説明された。


 その上で、合田審議官から説明を求められたのは、儂が以前に言った魔素に関することの説明じゃった。

 ふむ、『魔素』の存在は儂の感性によるところが大きいので、科学的に詳細な説明は出来んのじゃが、一応ラノベにあった魔素なるものの仮定存在を引き合いに出した上で、異界とこちら側の濃度が違うという感覚的な問題を話しておいた。


 この俺の話で、種々興味を引いたらしいのが、京大物性化学の教授と、慶応大学生物学の教授であったようだ。

 儂の方からは、その際に、当面の予定として、高校卒業程度試験の受験をすること、同試験に合格したなら現在の九幌城北高校を中退することを伝え、中退した以降は、同調査団に頻繁に参加できるだろうが、それまでは土日限定の参加になると云うことを言っておいたわい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。