↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生大賢者の現代生活  作者: サクラ近衛将監
第三章 異界の調査団

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/35

3―1 異界との闘い その一

 総理大臣から野津幌での活動を認められたので、その翌日には、野津幌の特異点、いや、異界への接続点が正式であったか?

 儂としては、『特異点』の方が言いやすいのじゃが、仕方あるまい。


 野津幌の異界の接続点から異界内部に入ることにした。

 一応、越智陸将からの要請で、入る際には、同地の警備責任者である第11旅団の中井一等陸佐に面会して大枠の予定を告げることになっている。


 何せ、異界の事ゆえ、計画通りに事が進むとは限らん。

 一応一週間単位での大枠の計画を説明し、儂は鬼達の管理責任者として、時折、現場本部に顔を出すことにしてはいるが、広報の類は一切受け付けないことにしている。


 このため、最初だけは素顔で正式な手続きを経て、中井一等陸佐と面会することにしたが、以後は中井一佐の幕舎に直接来るということを伝えておいた。

 無論中井一佐も、そのことは越智陸将から内々の連絡を受けているようだ。


 とにもかくにも、野津幌から入る異界では、鬼どもの餌場としてある程度自由にできるので、取り敢えず、何日か振りで鬼達を自由にさせた。

 無論、人には迷惑をかけないようにと云う制約の元でじゃ。


 異界の中ではもちろんじゃが、彼らとは離れていても異界の中と外界とでも意思疎通ができる故、困ったことが有れば連絡が来ることになっておる。

 今のところ、その伝達範囲の限界は千キロ前後じゃから、野津幌の異界の接続点から一応500キロ圏内(古の昔に棲んでいた彼らの単位では千里ほど)に留(とど)まっているようにと、鬼どもには言っておる。


 逆に言えば、儂も野津幌からは500キロ圏内に居ることが必要になったようじゃが、これについてはティアが解決策を提示してくれた。

 儂が止むを得ず遠出をする際(例えば新東京)には、ティアが任意の場所に居(お)って、そこから連絡を中継してくれることになったのじゃ。


 尤も、その場合でもティアが異界の接続点から500キロ圏内に居る必要が有るので、ティアが例えば山形県の酒多(さかた)市内若しくは新条(しんじょう)市内あたりに居てくれると、北九州市くらいまでは儂も遠出できそうじゃ。

 因みに異界の接続点は、仲間山等野津幌近傍(概ねこちらの世界では直線で40キロ程度離れている)にもあるのじゃが・・・。


 鬼どもを野津幌の異界に残して、儂は仲間山の異界に内緒で入って、概ね野津幌の異界入り口が有ると思われる北東方向に順次千キロほど移動したところで、鬼どもとのリンクが切れた。

 従って、こちらの世界での野津幌と仲間山は非常に近いわけじゃが、異界に入るとその中では明らかに遠くに有ることになる。


 どの程度距離が有るのか、今の段階では儂も皆目見当がつかんのじゃ。

 鬼達が200キロほど入り口から離れておるらしいので、儂が仲間山の入り口から800キロ程度であれば何とかつながる。


 或いは時差があるように、そもそも方向が違うのかとも思って東西南北を含めて八方位で同じこ戸を繰り返してみたが、方位の問題ではなくやはり距離の問題じゃろうと思うのじゃ。

 それと、無線通信と異なり、思念による通信は時差をものともせなんだわい。


 異界と現世でも支障なく使えるところが凄いと思うぞよ。

 そんなことがどうして起きるかについては、儂も見当がつかぬな。


 まぁ、そんなことはさておいて、中井一佐からは、いずれ越智陸将から正式な依頼が有ると思うがとの前置きで、8月25日にはこの野津幌に科学者集団からなる調査委員会のメンバーが機材等と一緒に参集するそうな。

 そして、儂もその調査委員会の顧問役(?)或いは相談役(?)のような形で参加してもらいたいという話の様じゃな。


 但し、儂も一応は現役の高校生じゃから、学業もあるでな。

 仮に、この調査の件で頻繁に拘束されるようであれば、いっそのこと、高校卒業程度の学力を有すると認めてもらう為のなんちゃら試験を受けてみようかとも思っておるところじゃ。


 ネットで調べてみると、『高校卒業程度認定試験』というのが正式な名称じゃった。

 この試験、2032年度は、第一期が6月5日と6日に試験が有ったのじゃが、これは既に終了しておる。


 そうして第二期が11月6日と7日に試験日となっており、受験申込期間は7月1日(土曜日)から9月10日(金曜日)となっておるようじゃな。

 既に申込期間に入っておるわけじゃが、さてどうしたものか?


 受験すれば、九分九厘合格するであろうことはわかっておる。

 暇を見つけて相応の独学での自習を行っておるからのぉ。


 高校三年間に覚えるべき事項は、既に儂の頭に入っておる。

 従って、余程の難問でも出ない限りは、間違いなく合格するはずじゃが、一方で、そんなことをすればある意味で目立つのじゃよ。


 おそらくは史上最年少での合格者ということになるであろうのぉ。

 そんなことで注目を浴びても仕方がないじゃろうし、その一方で大学進学はどうするのかと云うことになろう。


 正直なところ儂自身は学力を重視はしておらんのじゃが、世間様はそうでは無いらしい。

 猫も杓子(しゃくし)も大学へ行くという世相が有り、有名大学を出れば、将来が約束されるという幻想が有るのじゃよ。


 大学を卒業して就職するなり、起業するなりして、将来的に成功するか否かは、本人の努力如何にかかっていると云うに・・・。

 いっそのこと、大学卒業程度認定試験なるものが有れば、それを当面の目標とすることも可能なのじゃが、どうもそんな制度は存在しないようじゃな。


 色々考えているうちにふと気づいて、受験年齢制限を調べてみた。

 幸次郎は今現在15歳で、今年の11月に誕生日が来るのじゃが、万一年齢制限に引っ掛かる様であれば、受験はできないということになる。


 うん、上限は無いが、下限の方は16歳以上とある。

 但し、今年の場合で言えば来年3月31日までに16歳の誕生日を迎えるものは受験できるということらしい。


 ふむ、この制度では少なくとも高校生ぐらいになっておかねば受験もできないということで、仮に優秀な中学生がいても満16歳に達する年度までは待たねばならんということじゃな。

 諸外国では飛び級制度が有ったりして、小学生の年齢で大学生になった事例もあるらしいが、この国ではそうした制度を認めてはいないようじゃな。


 もう一つ、大学受験についても、面白い制度になっておるようじゃ。

 大学受験は、原則として満年齢18歳以上とされておることじゃ。


 従って、このままでは仮に高校卒業程度認定試験に合格しても、受験ができるかどうか怪しいのじゃよ。

 ネット情報では、受験はできるが合格の効果が発生するのは18歳になってからなどと怪しいことを書いておる。


 まぁ、多分これは18歳の誕生日が来ていないうちに試験を受けて合格した場合の話であり、その後に年度内に18歳になれば、4月からは晴れて大学生になるという意味合いのものじゃろう。

 その意味では、高校卒業程度認定試験を受けても、余り役には立たんということなのか?


 ただまぁ、儂にとっては、高校の授業というわずらわしさから外れることができるというメリットがあるくらいじゃな。

 いっそのこと外国の大学でも受験するかとも思ったが、それを言えば日本政府が困るじゃろうな。


 当該外国で儂を取り込まれては大変じゃから、絶対に阻止をしてくるに違いない。

 まぁ、今のところ、どうしてもすぐに大学生になりたいというわけではないので、自由な時間を作るために高校卒業程度認定試験を受けてみようかと思う儂じゃった。


 そのために、儂は、その夜に両親と相談したぞ。

 儂にとっては、仮親も同然じゃが、幸次郎にとっては血を分けた両親じゃ。


 その将来にかかる話は相談しても良かろう。

 進学指導の先生?


 あれは駄目じゃ。

 高校を卒業してからの進路相談ならあり得るじゃろうが、高校一年生にして高校卒業程度試験を受験する進路についての相談などあり得ぬじゃろう。


 その夜、祖母や姉それに夏休みで帰省してきた兄の和俊(かずとし)をも交えて、儂の将来について話し合いを行ったわい。

 最終的に、儂が高校卒業程度認定試験を受験して、合格したなら城北高校を中退することについて家族から同意を貰ったよ。


 高校を中退した後の予定は、取り敢えずは政府のアルバイトに就くことになろじゃろうから、その点も家族に言っておる。

 異界の調査は例の魔素側身だけではなく多岐にわたることが予想されており、儂自身が異界のスペシャリストと知っておる政府は、科学者チームの調査団に加わることを希望しているのじゃ。


 事前にこそっと探ったところ、そのための報酬として、どうやら日額5万円を提示するつもりの様じゃ。

 じゃから、仮に儂が高校を中退して、毎日当該仕事に就けると知ったら、慌てるかもしれんな。


 まぁ、儂も毎日真面目に出勤する気はない。

 必要な都度、出向けばよいじゃろうし、生活費の足しになる程度の報酬が有ればよいと思っているだけの話じゃ。


 我が家に居候であるから、何となくニートを思い起こさせるが、週に二回程度で月に40万ほども収入が有れば家にも左程の負担にはならんじゃろうと思っている。

 そんなことで、その夜早速ネットで高校卒業程度認定試験の願書をダウンロードし、必要事項を記入した。


 後は住民票の入手と収入印紙(7千円程度)を添付して郵送するだけの話じゃ。

 願書は消印の日付で有効とされておるが、念のため書留で送付しておいたわい。


 受験する場所は、最寄りの受験会場である北海道立道民活動センターを選択しておいた。

 いずれにせよ、当該試験に合格するまでは、儂も高校に通わねばならぬでな。


 自由に動けるのは土、日、祭日と夜間ぐらいしか無い。

 仮に魔物外界からあふれるような事態になった場合は、高校を休むことは家族にも言ってある。


 祖母と母親は心配そうな素振りを見せていたのぉ。

 魔導を使って見せたりして、安心させることもできないわけでは無いのじゃが、心配するのも祖母や母親の特権じゃ。


 儂が悪戯(いたずら)に干渉すべきではなく、結果で見せればよいじゃろう。

 幸次郎として生き返ったからには、親孝行もせねばならんじゃろうな。


 前世では、余り親孝行などせぬうちに両親は他界していた。

 この現世と違い、衛生的にもかなり問題のある世界じゃったから、魔導を身につけていない者は、至極生きにくい世の中じゃった。


 因みに両親と家族は、儂が魔導師団に入るための試験を受けるために王都に居る間に、流行り病にかかってあっけなく死んでいた。

 試験が終わって郷里に戻った際には生まれ育った家さえも、流行り病を撲滅するために焼却処分をされておったわい。


 現世のこの世界でも、中世の頃に黒死病が流行った際は、未だ生きている患者を家ごと燃棄処分にしたそうじゃが、前世でも同じじゃったな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。