↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生大賢者の現代生活  作者: サクラ近衛将監
第二章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/35

2―18 政府との交渉 その五

 堀内慎吾首相との約束を守るために、儂は48時間経過までは動かぬつもりじゃった。

 ところが、いつでもお邪魔虫は居るもので、その日の夕刻に我が家の前に青いナンバーの車が止まったのじゃ。


 まぁ、確かめるまでもなく、USAの総領事か領事じゃった。

 駐日米国大使館は新東京に在るが、そのほかに九幌、逢坂(おおさか)、兵庫津(ひょうごつ)、那留覇(なるは)に総領事館があり、新名護屋(しんなごや)と富久丘(ふくおか)に領事館が有る。


 逢坂と名護屋は、以前の東京と同じく海面上昇に伴って、かなりの部分が海に飲み込まれておる。

 兵庫津も、一部海に飲まれたが、背後に山が控えているために大阪や名古屋程ではないし、背後の山地から土砂を運び、陸地部分を嵩上げ(かさあげ)して、何とか生き残っているところじゃな。


 海進が進んだために、名護屋は周辺都市と合併し、より北部の高台に新たな街を作り、新名護屋と名称を変えたようじゃ。

 昔の日本地図と比べると、随分と海に蝕(むしば)まれて変形しておるのが、儂のいる日本じゃよ。


 海岸線が徐々に変化することから、未だに正確な計測ができておらんようじゃが、国土が7%程度は減ったと言われておる。

 まぁ、これは余計な話ではあるのじゃが、・・・・。


 ところで青ナンバーの車に小さなUSAの旗を掲げておるので、間違いなく九幌にある総領事館の職員が来たのじゃろう。

 我が家に、わざわざUSAの外交官が尋ねて来る理由は、我が家の誰かが領事館職員と仲良しでもない限り、一つしか無いじゃろうな。


 例の平内幹事長が漏らした一件で確認を取りに来たに違いないが、さてどこまで知っておるのかな?

 平内幹事長が全部をばらしていたなら結構面倒なことにはなるが、それならそうで彼らも何の準備もなく儂に近寄っては来ない筈じゃが・・・。


 それにしても、我が家の周辺にはかなりの公務員も居るはずじゃが、この車を制止するだけの権限は無いのじゃろうか?

 青ナンバーの車に乗っていれば、外交特権を持っている人物と相場が決まっておる。


 その行動を正当な理由が無く阻害(そがい)したなら、場合によっては外交問題になるかも知れぬからのぉ。

 国対国の付き合いとは、誠に面倒なものよ。


 そもそも、儂はそれら国同士の勢力争いからは外れた存在じゃから、相手が外交特権保持者であろうが、元首であろうが、何の障害にもならぬ。

 首相に宣言した通り、我が道を進むまでの話じゃ。


 今のところ、我が家の周囲には敵意を持った者は居ないな。

 但し、例の青ナンバーの中は、敵意ではないようだが、何やら好奇心の塊のような気がするぞ。


 センサーで確認できる限り、前部座席に運転手が一人、後部座席に二人が乗っている、

 米国の場合、車に乗る際に、運転手が友人なら助手席の方に座るのが当たり前のようじゃが、送迎専門の車の場合は、右側後部が上席となる筈じゃ。


 おそらくは、総領事館の運転手が運転しておるのじゃろうから、後部座席は通常の場合だと右側に上位のものが座るんじゃろうが、日本では車は左側通行なので、時と場合により微妙に習慣を変えねばならぬようじゃ。

 従って、後部座席の左右どちらに偉いさんが座っているのかは儂もわからんな。


 いずれにしろ、儂の警戒範囲の中をゆっくりと我が家に向かって来ていたわい。

 まぁ、ここで徹底的に姿を隠して逃げておくのも一つの手なのじゃが、幸次郎の家族が色々と不利益を被ってもいかんので、話を聞いた上で釘を刺しておくしかないのじゃろうなぁ。


 総領事か或いは他の職員なのかは知らぬが、わざわざ来た当人には無論の事じゃし、本国でふんぞり返っておるじゃろう人物にも警告を与えることにするよ。

 さもなくば、向こうがつけあがるでな。


 USAは、間違いなく日本を下に見ておる。

 別にそのことを為政者(いせいしゃ)でもない儂がどうこうは言わんが、自分達の言うとおりに動けとばかりに無言の圧力をかけるような態度が気に食わんな。


 しかも駐日大使が総理と会って、儂との面会を保留されたにもかかわらず、その日のうちに我(が)を押し通すのはその表れよ。

 僅かに15歳の小僧に過ぎんのじゃから、どうとでも料理できると見ているのじゃろうな。


 金とか将来の地位とかをちらつかせ、若しくは脅して言うことをきかせようとするのが彼らの常套手段じゃろう。

 儂は、確かに見かけは小僧じゃが、生憎と中身は百七十有余年を生きておるでな。


 煮ても焼いても食えぬ、老獪(ろうかい)な魔導師じゃわい。

 還暦にも満たない鼻たれ小僧が、何を言おうと歯牙(しが)にもかけぬわ。


 しかしながら、儂の対応は、向こうの出方により異なるな。

 ふむ、やはり我が家の前で止まったか・・・。


 隣にでも行ってくれれば良かったに。

 やがて、我が家のインターホンが鳴り、未だ両親は帰っていない時間なので居間から祖母がインターホンで応対する。


「はい、どちら様でしょうか?」


 こちらからは、映像で相手の顔が見えるんじゃが、ここらでは見かけぬ外人さんなので祖母も用心しておるのぉ。

 医者の家に見知らぬ外人が来ることはかなり稀だし、こっちはプライベートな玄関で、病院の玄関口ではない。


「私は、在日米国総領事館の領事をしておりますハンス・ヴァートロンと申します。

 実は、コージロー・サジマさんと、面会しなければならない用事ができまして、こちらに参りましたが、コージローさんはいらっしゃるでしょうか?」


 意外と上手な日本語じゃし、丁寧な言い方をしておるな。

 それでも昨今(さっこん)は詐欺師(さぎし)が横行しておる時代じゃからのぅ。


 祖母は簡単にはドアを開けたりはせぬぞ。

 祖母が、再度云う。


「幸次郎に米国の領事館の方がどのようなご用事でしょうか?

 必要ならば幸次郎の親を呼びますが、何か厄介ごとでしょうか?」


 詰められて困るのは、やましいことが有る証拠なのじゃが、それを躱(かわ)すための一言が余計じゃったな。


「本国政府からコージローさんにお会いして話すようにと言われておりますので、ここでは申し上げられません。」


「おや、左様でございますか。

 人様に言えないようなお話であれば、聞く必要もございませんね。

 どうしても幸次郎に会いたいとおっしゃるなら、裁判所の接見命令でも取っていらっしゃったら如何でしょうか?

 失礼ながら、米国の使いと称されても、私にはそれが本当かどううかもわかりませんし、良く分からぬ貴方を孫に会わせる必要性も全く感じません。

 どうぞお帰りください。」


 おう、おう、凄いのぉ。

 昭和生まれの御婆ちゃんじゃが、しっかり者じゃよ。


 うーん、接(・)見(・)禁(・)止(・)命(・)令(・)はあるけれど、果たして接(・)見(・)命(・)令(・)ってあるのかな?

 いずれにしろ、エリート外人さんにも簡単には言い負けないようだ。


 じゃが、敵もさるものひっかくものじゃな。

 粘っておるわい。


 儂の話じゃから、割って入っても良いのじゃが、祖母が頑張っているのに台無しにはしたくない。

 そのまましばらく様子見たよ。


 ハンスと言う領事、それから40分ほども粘ったが、門番ならぬ祖母を説得できずに、最終的に諦めて撤退したようじゃ。

 まぁ、きっとこれで終わりではないのじゃろうな。


 我が家の周囲には、自衛隊さんやその他の公務員さんもかなり多いんじゃが、それを突破して来そうな者が数人いそうだな。

 いや、ひょっとしたらもっといるのかな?


 二町ほど先で何か騒ぎが起きておる。

 で、その反対側から怪しい数人が我が家に近づいているようじゃが、もしかして、騒ぎの方は囮(おとり)かのぉ?


 面白いのは、いずれも東洋人の顔立ちで、白人ではないことじゃ。

 USA以外に情報が漏れていたのなら別じゃが・・・、おそらく彼らはCIAその他の米国の組織の息のかかった連中であって、これから何事か起こす気なのじゃろうな。


 こんな時には、相手の出方を確かめるために餌(えさ)を撒(ま)くに限るわい。

 儂は、家の庭先に姿を現し、そこで柔軟体操と言うか、ストレッチと言うか、わざと周囲から見えるように動いてみたのじゃ。


 すぐに、さほど高くはないフェンス越しに二人が近づいて来ようとするが、流石に警護のプロ、儂との間に入るように動いて、相手の動きを阻止していたぞ。

 そこで多少の押し問答をしても、外交特権の持たぬ者に官憲の力は強いから、すぐに見えないところへ任意同行(という名の連行)となった。


 一旦、捕まると簡単には、放してはくれないのじゃろうな。

 彼らの役目は、無用の者が儂と接触しないようにすることなのじゃろう。


 しかしながら、向こうが外交特権と言う公権力を持ってい者なら、阻止が難しいということじゃ。

 きっと、性懲(しょうこ)りもなく明日も誰かがやって来るんじゃろうな?


 儂としては、場合により、黙って家出をするつもりじゃったが、祖母の頑張りを見た以上、今晩、夕食時にでも一応の簡単な事情を家族にも話しておくとしよう。

 詳細は・・・、ウン、話せんな。


 我が家の夕食は、比較的遅いのじゃ。

 何せ、父と母が、定時に帰ってくることは珍しいからのぉ。


 早くて8時前後、遅ければ9時過ぎの夕食じゃよ。

 朝は、ばらばらの時間帯での食事なので、せめて夕食は家族一緒にと云うのが我が佐島家の慣例じゃな。


 夕食の後、儂は異界への接続点について話を始めた。

 特(・)異(・)点(・)のことを、政府が「異界への接続点」と発表したのでそれを使うのが妥当じゃと判断したのじゃ。


 儂が特異な能力を持っていて、当該異界への接続点に誰にも知られずに入ることができること。

 その件を政府の高官と内密にコンタクトして、簡単に話してあること。


 その上で政府の対応如何によっては、家族に迷惑をかけないためにもこの家を出すつもりが有ること。

 儂は未成年ながらも、特異能力の所為(せい)もあって、生活力がそれなりにあることから、仮に家出してもちゃんと生きて行けること。


 家出しても、十日に一度ぐらいは、何らかの手段で連絡を入れることを言うたのじゃ。

 家族が皆驚いた表情を見せたが、いち早く姉の洋子が言った。


「最近、何となく様子が変だと思っていたら、アンタそんなことをやっていたのね。

 かおりちゃんが心配していたわよ。

 時々、前触れもなく幸次郎のスマホが圏外か、電源が切れていることが多いって・・・。

 大体、政府高官って誰ヨ。

 九幌にはそんな政治家は居なかった筈だけれど?」


「あぁ、お互いに顔見知りという意味でなら、総理大臣や〇×党副総裁、防衛省の幕僚長なんかもいるよ。」


「えぇっ?

 一体どこで会ったの?」


「うん、ちょっと新東京の防衛省でね。」


「・・・、それがアンタの特異能力なの?」


「あぁ、まぁね。

 詳しくは知らない方がいいよ。

 知れば姉ちゃんを含めて家族が巻き込まれることになる。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。