↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生大賢者の現代生活  作者: サクラ近衛将監
第二章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/35

2―17 政府との交渉 その四

 儂の回答を聞いて渋い表情を見せながら倉田副総裁が言った。


「ふむ、期待していた回答とは言えんが、そういう見方もあるのだな。

 但し、儂ら政治家にとっては随分と辛(から)い評価に聞こえるな。

 儂らもこの国を良かれと思って、色々と苦労しているのじゃが、それを否定されるような評価ではなぁ・・・。

 で、仮に君がこの国を率いるとしたなら、どうすれば今の評価が変わると思うかね?」


「先ほども申しましたが、僕が何かをできるというわけではありません。

 そもそも個人の力で出来ることは限られています。

 その中で出来ることを為すのが、社会人としての務めでしょう。

 ただ、僕はその社会人としても未だ認められていない存在ですから、少々のことを申し上げても、誰かを或いは何かを動かすということは非常に難しいだろうとは思っていますよ。

 ですから、このような場で検討していただくだけでも、随分と前進したとは思っています。

 正直に申し上げれば、ダメ元のお願いですからね。

 僕の方も、疾(と)うに覚悟ができています。」


「あー、その、なんじゃ。

 君が本気を出せば、この新東京の半分が吹き飛ぶというのは単なるホラでは無いのだね。」


「ええ、間違いなくできますよ。

 そんなことで嘘をついても仕方がないでしょう。

 仮に、あなた方が僕を制圧しようとしてきたなら、相応の力で反撃するだけのことですし、その際に、必要なら山でも都市でも破壊して力を見せつけるだけの話になります。

 まぁ、大量殺戮はしたくありませんけれどね。」


 そんなことを言っていたら、首相の到着が告げられた。

 席に座っている全員が立ったので、止む無く儂も立ち上がった。


 郷に入っては郷に従えじゃな。

 いたずらに歯向かうことだけが儂の本意ではない。


 颯爽(さっそう)と武道場の入り口から入って来た堀内慎吾首相は、戦後の歴代首相では二番目に若い総理大臣であり、53歳二カ月で首相になった中々精力的な人物だ。

 首相が席に着くと、一斉に居合わせた者が席に腰を下ろした。


 そこですかさず、首相が言う。


「お待たせして済まなかったね。

 米国の駐在大使が緊急の用件でやって来て、その対応に時間を取られたんだ。

 何処から漏れたかは知らんが、今回のこの秘密会合が米国のCIAあたりで掴んでいるようだ。

 特に、佐島君、君の名前が特殊な能力を有する人間として米国政府に知られているらしい。

 当然に、住所もだが・・・。

 地元警察と九幌の自衛隊には緊急連絡を入れて、警戒態勢を取らせている。

 米国の希望は、然るべき人物を君に合わせて欲しいということだったが、私の一存で保留している。」


 こいつは一応の爆弾発言ではあるな。

 だからと言って、別に儂がどうこうするわけでもないが・・・。


 まぁ、面倒な輩が増えただけの話じゃ。

 彼らが非合法な活動をしようものなら、ホワイトハウスに乗り込んで恫喝(どうかつ)するだけの話だな。


 その際には、どこぞの米軍基地に保管してある小型原爆でも土産に持って行ってやっても良かろう。

 あちらさんが、それで敵認定をするならば、それこそニューメキシコ州の荒野で原爆以上の破壊力を見せつけてやっても良かろう。


「で、すまないな、佐島君。

 君には迷惑はかけないつもりではあるのだが、名前と住所が知られれば、色々と難しい局面になることも予想される。」


「構いませんよ。

 僕自身は、この国が一応好きですからね。

 そうして嫌がらせをしてきそうな国は、逆に大嫌いです。

 僕や僕の家族、知人に手を出してくるなら、ホワイトハウスでもペンタゴンにでもカチコミに行きますよ。

 彼らが何をしようと、僕には何もできません。

 そのことをわからせるだけの話です。」


 すると慌てて首相が言う。


「いやいや、待ってくれ。

 国同士の体面と言うものがある。

 君に勝手に動かれると後処理が難しいんだ。」


「彼らが僕の何を知っているかは知れませんが、噂話で超能力者の類を取り込もうとしているのなら、無駄だと教えるだけの話です。

 それ以上の意味はありません。」


「場合によっては、君が我が国を出ることも聞いている。

 そんな君だから、多少の苦難はモノともしないのだろうが、大人達はこれまでの人生で得た知識と経験で動いているんだ。

 その常識に合わない存在が出現するとは思っていない傲慢(ごうまん)さがあるんだ。

 こいつはある意味で大きな慣性力を持っていて、生半可なことではひっくり返せない。

 そのことが、場合によって、数多くの悲劇と犠牲者を産みだすことが有る。

 大国とは、そういう危うさをいつでも抱えているんだ。

 特に、リーダーが過激なほどその兆候があり、今の米国大統領はその傾向が強いと見ている。

 だから、万が一にでも、動くときにはできる限り穏便に動いてほしいのだが・・・。」


「無理ですね。

 僕はこの国の政府はもとより、他国の政府の言うことを鵜呑みにするほど愚かじゃない。

 必要があれば、自分の責任と判断で勝手に動きます。

 その結果が家族や知人に迷惑をかけることになるとしても、自らの信条を変えるつもりはありませんよ。」


「私らの協力を得られなくなってもかね?」


「前回の防衛省との会議でも申し上げましたが、もう一度申し上げましょう。

 僕自身は、できるだけこの国にも迷惑をかけない方法の案を提示しました。

 それが受け入れられないのであれば、別の方法を取らざるを得ないだけの話であり、その際にはこの国を離れると云うことです。

 ある意味で決別ですから、その場合は、二度とこの国には戻らないことになります。

 別に、僕自身は、鬼と呼ばれる存在に愛着があるわけではありませんよ。

 ただ、古来彼らは人々に忌み嫌われ続けていました。

 役行者(えんのぎょうじゃ)が彼らを助け、人との共存では無いものの、人間社会に迷惑をかけないような生き方を彼らに示し、その教え守って彼らは1300年もの間を平穏に過ごしてきたのです。

 残念ながら、その平穏が、此度の異界の出現で破られ、彼らは役行者の庇護が無いまま、現世に目覚めてしまったのです。

 彼らが生きようとするならば、人間社会との摩擦は当然に起きることになりますし、人々が拒否する限り、共存はあり得ないでしょうね。

 まず、あなた方が恐怖に怯え、彼らを退治しようとする。

 種の生存のための最終戦争になるわけですが、彼らは野津幌(のつほろ)に出現した恐竜以上に強い生物であり、彼らの全員が全力を出せば、自衛隊の師団規模でも全滅を覚悟しなければならないでしょう。

 ですから、彼らを守り、同時にあなた方をも守る方法を提示したつもりでした。

 この交渉は、ほぼ破綻(はたん)していますね。

 部外者に漏れた時点で交渉の余地は、ほぼ無いも同然です。

 そうではありませんか?

 平内さん。」


 平内幹事長がはっとした顔で言う。


「ン、何で儂に聞く?」


「いえね。あなたのスマホの昨日の履歴に面白いところへの通話記録があるんですよ。

 相手は横須賀にある米海軍基地のNCIS所長のエバンズ大佐ですよね。

 その方、CIAのエージェントでもあるんですが、ご存知でしたか?」


 先程、儂が、魔導により、ここにいる全員のスマホの履歴を調べ、確認した事実じゃ。

 横須賀は、さほど遠くはないでな、儂の魔導も実行が可能じゃったから、当のエバンス大佐の事もわずかの時間で調べ上げておいたのじゃ。


「そんな馬鹿な・・・。

 儂が秘密を漏洩したとでも?」


「それを判断するのは僕じゃないですよね。

 いずれにしろ、もうやめましょうか。

 ある意味で茶番ですよ。

 漏らしてはならない秘密を国会議員でもある幹事長が漏らすなんて、・・・。

 そのおかげで首相が対応に困っている。

 ある意味で、交渉では面倒ごとが発生するだけで何も得られないことが分かりました。

 僕としては、これで失礼したいのですが、まだ何か仰りたいことがございますか?」


 首相が言った。


「いや、君の提案については、ここ一両日のうちに結論を出す。

 それまでは、この国を離れないでくれたまえ。

 これは、私の切なる願いだ。」


 そう言って首相は頭を下げた。


「わかりました、では、首相の仰せに従い、今から48時間だけお待ちします。

 なお、時間の延長はありません。

 では失礼します。」


 儂はその場から一瞬にして転移した。

 一旦、九幌の家に戻り、念のためにそれから米国への道筋をつけておく。


 九幌からまっすぐ東へ向かって進んでも良いのじゃが、大圏航路なるもので、移動距離を短くすることができるらしいので、それを利用し、海面高度30mを保ちながら北アメリカ大陸を目指した。

 飛翔と転移のくり返しにより、一時間余りで米国の西海岸に到達、そこから更に30分強でワシントンに到達したのじゃ。


 そこでホワイトハウスとペンタゴンの場所を確認。

 更に小型核兵器を保管している米国内の某基地を確認し、ミサイル搭載型の核弾頭の在り場所を確認しておいた。


 これでホワイトハウスの主を恫喝するネタは揃えられると思っている。

 しかし、ここまで国とか政治とかに介入するつもりは無かったのじゃが、やはり、前世に比べると統制の取れていない政治形態ではあるな。


 前世では、絶対君主制という枠組みながら、それなりに国同士の交渉事もすっきりしておった。

 文化程度と言う意味合いでははるかに遅れた世界でありながらも、そこに住む人間は牧歌的に暮らしていたように思う。


 無論、国家同士の戦もあったが、それなりのルールもあった。

 例えば、我ら魔導師が戦争の前面に立つことは余り無かった。


 此方の世界の核兵器と同じで最終兵器と同じ扱いじゃったからのぉ。

 互いに全力を振るえば、両方の国が亡ぶことにもなる。


 従って、相手を追い込む前に和睦をするのが戦のルールじゃったのだ。

 儂が、再度太平洋を渡って九幌へ戻ったのは、夕食直前であったな。


 我が家の外は、かなり広い範囲で一昨日よりもも厳めしい者が増えているのじゃが、我が家の家族は至って平穏な生活をしておるよ。

 夕食後の儂の仕事は、自室で魔導具のドローンを造ることじゃった。


 色々景色を撮影したりするようなドローンではないぞ。

 周囲を警戒するためのセンサーを搭載した浮遊装置じゃ。


 モノは直径が精々1センチほどの球体じゃが、闇属性の魔導で儂や儂の家族等に危害を加えようとする意志の存在を把握して儂に知らせてくれる代物じゃ。

 概ね半径500mの球状範囲がカバーできるので佐島家を中心に、重複しつつも半径800mほどの範囲をカバーできるように七個を造って空中に浮揚させておる。


 無論の事じゃが、魔導で隠蔽しておるので人に見つかることは無い。

 電磁気や電波を発するものでは無いので探知機にも引っ掛からない筈じゃ。


 これを電信柱程度の高さに浮揚させておけば、ヘリコプターなどの障害にもならぬ筈じゃ。

 尤も、飛行中の鳥などにぶつかるやもしれぬが、鳥がぶつかって壊れるような代物ではない。


 まぁ、これも万が一のことを想定しての予防処置に過ぎぬ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。